院内報
こあら通信 第98号 2006 June
目次
・子どものしつけ
・ホームケア
・ヨコピ-の子育て知恵袋
・おすすめの絵本
・お知らせ
子どものしつけ
朝が早くなり、水の入った田んぼではカエルの鳴き声が聞こえるようになりました。外来では五月病かな、と心配した子どもたちもいましたが、だんだん日常の生活に慣れてきているように感じます。
小田原市では、しつけ教育が今話題になっています。社会や子どもたちに起こっている様々な問題を、小さい頃からの「しつけ」という観点から見直そうというものです。
私たちは知らず知らずのうちに、生活の中で様々なことを習慣として身に付けてきました。人に会ったら挨拶する、ご飯の前に「いただきます」を言う、ものを大切にする、生き物を大事にする、など数えきれないほどたくさんあります。しかし、最近の世の中ではこうした習慣に対して、「どうして?」「ほんとうに必要なの?」という思いがあり、自信を持てない人がとても多くなってきているように感じます。
電車の中で大きな声で携帯電話をかけている人、駅の床に座り込んで話し合っている高校生、どうみても許しがたい行為に私には見えます。でも「どうしていけないの?」と言われると、理論整然と答えるのは意外に難しいのです。しかし、いけないものはいけません。悪いことに理由などないのです。人が作り上げた社会の中、特に日本という固有の社会の中で、長い時間をかけてでき上がった習慣なのですね。
こうした習慣は、小さい頃から繰り返し家庭の中で教え込むしかありません。理由をつけて教えるようなものではないのです。社会を守るために必要だと長い歴史の中で生まれてきたもの、日本人のもつ「美しい」という感性に合うような生き方そのものなのだと思います。
しかし、日本人が持っていた良い習慣は戦後の家庭教育、学校教育の崩壊の中で、まさに危機に瀕しています。失われかけた良い習慣を取り戻すためには、まず大人がもっと自信を持たなくてはなりません。「ダメなものはダメ」とはっきり言えるような自分になることが、今求められているのです。
ホームケア-肺炎
《原因》
肺炎というと命に関わる恐ろしい病気というイメージがありますが、肺炎にもいろいろな肺炎があります。
日常の外来でみる肺炎の多くはウイルス、マイコプラズマ、肺炎クラミジアなどによるもので、重症でなければほとんどが外来通院で治ってしまいます。ウイルスではインフルエンザやアデノウイルスが原因として多いものです。マイコプラズマや肺炎クラミジアは学童など比較的年齢の高い子どもに多くみられます。
一方、細菌性の肺炎は重症になることが多く、入院して抗菌薬を点滴で使わなくてはならなくなります。カゼなどに引き続いて、鼻の奥に住みついている肺炎球菌などの細菌が肺の奥へ入り込んでいくものと考えられています。
《症状》
長く続く発熱と咳が主な症状です。呼吸が速くなったり、肋骨の間が息を吸うたびにへこんだり、小鼻をぴくぴく動かすような呼吸になったりします。月齢の低い赤ちゃんは、高熱やひどい咳の症状が現れないこともあるので、注意深く様子を観察することが大事です。呼吸が速く、ぐったりしておっぱいも飲めないようなら早めに受診しましょう。
《診断・治療》
注意深い聴診と胸部レントゲン検査で診断がつきます。細菌によるものかどうかを判断するためには血液検査が必要です。細菌性の肺炎では白血球数が増え、抗菌薬による治療が必要になります。
ヨコピ-の子育て知恵袋
<へそのごま>
へそのごまというのは、へその中央部の臍乳頭や、これを取り囲む臍輪と呼ばれる部分に褐色、もしくは黒褐色の小さな粒子をいいます。「へそのごみ」、「へその垢」という呼び名もあります。へそのごまには、角質細胞、うぶ毛、ホコリ、細菌などのほか、皮脂や汗の成分が含まれています。これを除去するには、オリーブ油などをしみこませて、やわらかくなったところで拭き取るか、石けんで洗い落とすのがよいようです。俗にへそのごまを取ると、お腹が痛くなるとか、具合が悪くなるなどと言い伝えられているのは、無理に除去したり、汚い手でさわったりすると、わずかな傷から感染を起こして大事にいたることがあるからではないかと思われます。へそは臍帯の名残りで、すでに役割は終わっているとはいえ、付近には太い静脈やリンパ管が走っていますから、感染が拡大する危険性があるので清潔にしておきましょう。
おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
「ねずみのほん1,2,3」
ヘレン・ピアス作
松岡 享子訳 童話屋
「ねずみのいえさがし」「ねずみのともだちさがし」「よかったね ねずみさん」の3冊からなっている写真絵本。主人公のねずみが、いろいろなものを探して冒険し、最後は「よかったね」で終わる、楽しくわかりやすく温かいお話です。幼い子ども達はねずみと一緒に、お話の世界を楽しみ、最後には安心し、大きな満足感を味わうことでしょう。幼い子ども達にぴったりの絵本です。
お知らせ
1.井田先生、星野先生が診察に加わりました
4月から星野英紀先生、5月から井田孔明先生が診察に加わりました。井田先生、星野先生ともに東京大学付属病院小児科に勤務されています。今後、両先生ともに月1回づつ(原則土曜日)診察をお願いする予定です。尚、アレルギ-外来は当面横田先生が担当いたします。
2.こあら通信が100号を迎えます
8月号でこあら通信が100号を迎えます。記念誌の発行等を企画中ですが、その一環として皆様の感想を募集いたします。こあら通信を読まれた感想等何でも結構です。長さ、形式等も特に指定はありません。原稿は電子メール(ycc@ycc.or.jp)、ファックス(0465-35-0756)で送っていただくか、直接受付(または入り口のこあらボックス)にご提出ください。