院内報
こあら通信 第62号 2003 June
目次
・新しい感染症
・ホームケアアドバイス-食中毒が多くなる季節!食品の衛生管理はだいじょうぶ?
・ヨコピーのQ急箱
・おすすめの絵本
・お知らせ
新しい感染症
SARSに感染した外国人医師の入国騒ぎで、脅威の新しい感染症がより身近なものに感じられるようになりました。報道によると多くの日本人がいずれ日本にもSARSが入ってくるのではないかと考えています。また、SARSウイルスは寒い時期に感染が拡大する性質があるので、今度の冬に大流行するのではないかと心配している学者もいるようです。
幸い子どもではほとんど重症にならないようですが、死亡率の高い感染症が日本に入ってくるのは本当に心配です。しかしよく考えてみると、人類の歴史の中で人間は常に感染症の恐怖の中で生きてきたことに気が付きます。天然痘、結核、はしか、インフルエンザなどは多くの人の命を奪ってきましたし、ペストはヨーロッパの人口を大幅に減少させるほどの猛威をふるいました。
感染症で命を落とすことがほとんどなくなって、安心して生活できることが当たり前になっていますが、これもつい最近になって実現したことです。SARSの流行をきっかけに、私たちは健康に生活していることのありがたさを考え直してみなければならないように思います。いつも死と隣り合わせで生きてきた人たちと、感染症で亡くなることを忘れてしまったような私たちとでは、「生きている」ということに対する気持に微妙な違いがあるのではないでしょうか。
新しい感染症の勃発で、私は毎日を健康に充実して生きることの大切さをあらためて教えられたような気がしています。また、生きることの意味をもう一度考えてみるきっかけにもなったように感じています。
SARSは確かに心配な病気ですが、正確な情報を手に入れてパニックに陥らず、冷静で堅実な対応を心がけることが私たちに求められているのだと思います。
ホームケアアドバイス-食中毒が多くなる季節!食品の衛生管理はだいじょうぶ?
食中毒は飲食物中に入り込んだ有害物質を食べることによって起こる病気のことをいいます。キノコやフグの毒によるものも食中毒のひと
つですが、ほとんどは食品中で繁殖した大量の細菌や、その菌が生んだ毒素によって起こります。日本の夏は高温多湿なので、食物の中で
細菌が繁殖しやすく、食中毒が起こりやすくなります。
食中毒の原因となる菌で代表的なものは、腸炎ビブリオ(魚介類から)、サルモネラ菌属(肉類や卵から)、ブドウ球菌(牛乳・クリーム・チーズ・ポテトサラダなどから)の3つです。このほか、キャンピロバクター(鶏肉や牛乳)、病原大腸菌(汚染された水や食物)から感染が起こります。症状としては、腹痛・嘔吐・下痢が共通した症状で、多くの場合、発熱を伴います。サルモネラ菌やキャンピロバクターによる食中毒は、血便を伴うことも多くあります。病原性大腸菌も血便を伴う胃腸炎を起こすことがあり、菌が生む毒素によって腎不全や脳症などの重い症状に陥ることもあります。症状が現れる時間は、細菌によるものは、食後5~6時間から数日以内、ブドウ球菌の場合は数時間以内です。
治療は飲食物の摂取を中止し、吐き気止め、腹痛止め、下痢止めなどの対症療法だけでよくなりますが、嘔吐が長く続き脱水症を起こしている場合には、点滴治療を行います。
食中毒を予防するには、
1. 生ものを食べる時には、充分に注意をする。匂いや色を見て怪しいと感じたら必ず火をいれてから食べるようにします。生水もできるだけ避けるようにします。
2. 調理をする前には充分に手を洗う。ブドウ球菌による食中毒の多くは、調理者から感染を起こします。
3. 冷蔵庫を過信しないこと。夏場は食品が腐りやすく、冷蔵庫の中でも細菌の感染は起こります。
ヨコピーのQ急箱
Q. テレビやゲームに釘づけの子ども、バランスよく遊ばせるにはどうしたらいいの?
A. 3歳にもなると、買い物に行きたがったり、お菓子の買い方を覚えたりするんだ。こうした子どもの気持をうまく利用して、一番お気に入りのテレビが始まる1~2時間前に一緒にお使いに出かける習慣をつけよう。帰り道はまっすぐ帰らず、公園など子どもの集まる場所に連れて行き、声をかけさせて人とのコミュニケーションの楽しさを教えてあげてね。小学生にもなると、ゲームが遊びに入ってくるけど、テレビと同様、時間を決めて楽しませることが大切だよ。家事や仕事の忙しさに負けず、1日の生活時間をテレビの時間・お使いの時間・お友達とコミュニケーションをとる時間・食事の時間などメリハリのあるスケジュールを作ってあげてね。そしてテレビやゲームの時間をちゃんと知らせて安心させ、約束通り楽しませてあげよう。
おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
ひよことあひるのこ
ミラ・ギンズバーグ:ぶん さとうとしお:やく
ホセ・アルエーゴ、エーリアン・アルエーゴ:え
アリス館
一瞬早く生まれたあひるのこのすることを、次々と真似をするひよこ。そして、あひるのこが「ぼく、およいでみよう」と言うと・・・。
単純だけれど、幼い子そのものが大らかに描かれているおはなしに、明るい、表情豊かな絵がついて、何度読んでも、心がパッと開放される心地よさが味わえます。幼い子だけではなく、大きな子も大好きです。
お知らせ
小田原看護学校学生の実習が5月、6月、7月、10月に各々週3回2週間の予定で行われます。第2回目の実習は6月2日から始まります。皆様の御協力をよろしくお願いいたします。