院内報
こあら通信 第58号 2003 February
目次
・インフルエンザを考える
・ホームケアアドバイス-鼻水・鼻ヅマリ!! 効果的なケア方法は?
・ヨコピ-のQ救箱
・おすすめの絵本
・お知らせ
インフルエンザを考える
インフルエンザの流行が続いています。今年は流行の立ち上がりが例年になく早く、マスコミの報道も過熱して、小さなお子さんを持った親の不安を不必要なまでにかき立てているように思えてしかたありません。
「インフルエンザは風邪じゃない」というキャッチフレーズのもとに、インフルエンザの怖さが語られています。確かにインフルエンザが流行すると、「超過死亡」といって通常の死亡率を超える死亡が起こり肺炎などの入院を必要とする病気が増えます。しかし、その大半はお年よりや特別な病気を持った方々の問題なのです。健康な小児にとっては、熱が高くつらい感じがするものの、やはり「風邪」なのだと私は思います。
インフルエンザ脳症が子どもの怖い合併症として知られていて、このことが保護者の方々の不安をあおっています。しかし、この脳症はインフルエンザの発病後1-2日で起こり、抗インフルエンザ薬の使用で発病を抑えられるとは考えられていません。一種の交通事故のようなものですが、おそらく本当の交通事故より発生率は低いのではないかと思います。インフルエンザで脳症を心配するなら、道を歩いていたり車に乗っているときに気をつけるほうが、命を守るという観点からはずっと効果が大きいかもしれません。
もちろんインフルエンザを軽視してよいというわけではありません。予防接種も行った方が良いと思いますし、日常の生活に気をつけて早めに診察も受けたほうがよいと思います。しかし、抗インフルエンザ薬がないと治らない、夜中でも熱が出たらすぐに診てもらわなければならない・・と考えるのは、どこかおかしいと思うのです。
インフルエンザは昔からありました。最近になって重い病気になったわけでもありません。「怖い病気」というイメージは最近になってマスコミで作られたもので、けっしてインフルエンザそのものが変わったわけではないのです。正しい知識を持って、冷静に対処していただきたいと願っています。
ホームケアアドバイス-鼻水・鼻ヅマリ!! 効果的なケア方法は??
《原因》
鼻水、鼻づまりはかぜが原因で出てくることが多のですが、気温の変化に対する過敏症、ほこりやダニ、花粉などによるアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、アデノイド肥大などでおこることもあります。
《鼻水》
鼻の粘膜が炎症を起こして分泌が増えることによって出てきます。炎症がひどくなったり、細菌が感染したりすると分泌物の中に白血球が出てきて黄色の濃い鼻水に変わってきます。
鼻水の治療の第一は鼻水を取り除くこと!
鼻水があると苦しいだけではなく、副鼻腔炎や中耳炎を起こしやすくなります。まずは片鼻を押さえてかんでみましょう。かめない場合は、堅い鼻垢なら綿棒で取り、市販の鼻水吸い器でよく吸ってあげるようにします。(口で吸うタイプがおすすめです。)お母さんが直接吸ってあげるということもありますが、かぜがうつりやすいので緊急の場合だけにしてください。
《鼻づまり》
鼻水・鼻垢が詰まったときにも起こりますが、鼻の粘膜が腫れていることも大きな原因です。
蒸しタオルで鼻を温めると楽になる!
粘膜の腫れをやわらげるためには、血行をよくし湿気を与えることが大切です。蒸しタオルで鼻を温めるのは一つの方法です。部屋は加湿器などで乾燥しないようにしたり、高熱でなく元気であれば、疲れない程度に入浴することもおすすめです。鼻粘膜のむくみを取る点鼻薬が使われることもありますが必ず医師の指示で使うようにしてください。(長時間使用すると悪化することもあるので注意しましょう。)
鼻水・鼻づまりがあっても充分な睡眠がとれ、日常生活に支障がなければあまり問題にはなりません。神経質になりすぎないことも大切です。まず、原因は何か、その原因の治療や除去も同時に行うことが必要ですね。
ヨコピ-のQ救箱
Q. 子供にも花粉症ってあるの?
A. 花粉症は、花粉がアレルゲンとなり鼻の粘膜でアレルギー反応が起こり症状が現れるんだ。症状は、くしゃみ・鼻みず・鼻づまり・目のかゆみがあるけれど、生まれて初めての花粉シーズンで症状が出ることはないんだよ。2回目の花粉シーズンから症状が出る可能性があって、早くて2~3歳で現れることもあるんだよ。たえず鼻をすすったり、鼻をこすったりする子も多く、鼻づまりがひどいと口で呼吸するんだ。注意力がなくなり、夜間いびきをかいたり、しばしば目覚めたり寝つけない子もいるから、まずはちゃんと診断を受けてね。花粉症が発見されたら、マスクをしたり、必要以外は外出をしないなどして花粉をさけることが大切なんだよ。それでもひどければ、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を医師の指示通り上手に使って症状をおさえるといいね。
おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
「まりーちゃんとひつじ」
フランソワーズ ぶん え 与田準一 やく 岩波の子どもの本
まりーちゃんは、羊のぱたぽんが、子供を産んだら、自分のどんな夢が叶えられるだろうかと夢をふくらませます。その度にぱたぽんは「みどりのはらっぱには、ひなぎくのはながきれい きれい、おひさまがいちんちきらきら、そこにすんでいればほかにはなんにもいらないわ」と答えます。素朴で牧歌的な幸せのイメージは何度も繰り返され、お話全体がぽかぽかした春の陽ざしにあふれ、このリズミカルなくり返しが、子どもたちは大好きです。
お知らせ
アレルギー外来を担当していただいていた高橋先生が2月末でやめられることになりました。4月からは後任の先生でアレルギー外来を再開します。3月に診察・お薬が必要な方は横田先生が担当しますのでよろしくお願いします。