院内報
こあら通信 第56号 2002 December
目次
・犬のいる暮らし
・ホームケアアドバイス-感染性胃腸炎
・ヨコピ-のQ救箱
・おすすめの絵本
・ワクチンと水銀化合物
犬のいる暮らし
今年も最後の月を迎えます。子どもたちにとって、今年も思い出に残るできごとがあったでしょうか。
我が家では子どもたちが家を離れている時間が増え、2頭の犬達との関係が深まった1年でした。犬がアレルギーの原因になったり、犬を介してうつる病気があるのも事実ですが、犬がいるために生活がゆたかになることも確かです。
はじめは外で飼っていたアイリッシュセッターのジオを家に入れてから、お互いの関係はすっかり変わりました。スキンシップの時間が増え、相手の気持がだんだんわかるようになります。後からやってきたミニチュアダックスのジェイジェイはジオの良き遊び相手ですし、ひょうきんなしぐさで家族の笑いを誘っています。散歩に行くようになって、周囲の自然の移り変わりに目が向くようになったり、悩まされていた腰痛がなくなったりと、効用もたくさんあります。
ただ、犬を飼うことは、犬に対して大きな責任を負うことになります。彼らにとっては飼い主がすべてであり、食事も散歩も飼い主の思い一つです。彼らの表情を見ればどんなに私たちが必要とされているかがわかります。どんなことがあっても、生涯が終わるまでしっかり面倒をみなければなりません。人間の勝手な都合で捨てられ処分されている犬が、年間数十万頭もいるという現実を忘れずにいたいと思います。
犬との生活は、負担も増えますが子育てに通じるものがたくさんあります。これからも犬のいる生活を楽しんでいこうと思っています。
どうぞ良いお年を!
ホームケアアドバイス-感染性胃腸炎
《どんな病気?》
ウィルスが胃腸に感染して、嘔吐や下痢、発熱を引き起こします。俗に「おなかのカゼ」といわれていて、ロタウィルス・小型球形ウィルス・アデノウィルスなどが原因として知られています。
乳児が下痢を起こす場合、便が緑色だったり粘液につぶつぶが混じっていたとしても、下痢以外にこれといった症状がなく、機嫌がよく母乳の飲みもよければ、「単一症候性下痢」といわれているもので特に心配はいりません。
《症状》
嘔吐から始まり、しだいに下痢が起こります。下痢は水様性でつぶつぶが混じることもありますが、ふつう血液は混じりません。脱水症状がすすめば元気がなくなり、ぐったりしてきて、尿の出が悪くなります。
《ホームケア》
<嘔吐の強い場合>
絶食して水分を少量(スプーン1杯, 一口)ずつ与えます。
<下痢がひどい場合>
乳幼児用のイオン飲料や野菜スープ・みそ汁のうわずみ・麦茶・番茶などを 与えます。
*イオン飲料のかわりに、湯ざまし1リットルに塩2g白糖40gを入れ、果汁をたらして同じようなものを作ることができます。
症状がおさまってきたら、おかゆやうどん・パンがゆなど消化のよいものを与えましょう。症状が強い場合には点滴で水分を補給します。特に乳幼児では、脱水症状の進行に注意し、ぐったりするようなら早めに受診しましょう。
ヨコピ-のQ救箱
Q. 手が黄色いけれど、だいじょうぶ?
A. 肌、とくに手のひらや足の裏が黄色いという場合には、柑皮症が疑われるよ。 柑皮とはみかんの皮のことで、柑皮症はみかんの中に含まれるカロチンという色素によって、肌が黄色くみえることをいうんだ。カロチンは、みかんの他にも、カボチャ・ニンジンなどにも多く含まれている。みかんは食べなくても、オレンジジュース・野菜ジュースをたくさん飲む子どもにもみられることがあるよ。柑皮症の場合には、目の白眼が黄色くなることはないので、黄疸と区別できるし、黄色いというだけで特別、からだに害があるというものでもないんだ。カロチンを多く含む食べものを制限すれば、自然に治ってしまうよ。
また、皮膚の血行が悪くなっているときも、肌の色が黄色いと感じられることがあるんだよ。一般に日本人の肌の色は、もともと黄色っぽい色なんだけれど皮膚の毛細血管を流れる血液によって赤味を帯びているんだ。皮膚を流れる血液が減少すると、黄色い皮膚の色が目立ってみえることもあり、貧血などがある場合にみられることがあるよ。
おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
『マイク・マリガンとスチームショベル』
バージニア・リー・バートン ぶん え
いしい ももこ やく
マイク・マリガンは、メアリ・アンという名前のスチーム・ショベルを持っていました。そして百人力の仕事ができると自慢していました。ところがそのうち新式のショベルカーが次々に発明されて、スチームショベルは廃品として捨てられていきました。でもマイクは、どうしてもメアリを捨てることができません。遠い田舎町に、仕事を見つけ出発しました。 『ちいさいおうち』でお馴染みのバージニア・リー・バートンの心あたたまる一冊です。
ワクチンと水銀化合物
テレビで報道されたこともあり、ワクチンに含まれているチメロサールという水銀化合物について、何件か問い合わせがありました。
ワクチンに細菌が入り込まないように添加されているもので、現在では生ワクチン以外のほとんど全てのワクチンに微量ですが含まれています。水銀というと「水俣病」を思い出しますが、人体への許容量を超えることはないとされています。自閉症との関係が米国で問題になっていることで心配が起こっているようですが、これを裏付けるような科学的な根拠はまだないようです。実際には水銀化合物を添加しない方向で検討が進んでいて、近いうちに日本でもチメロサールを含まないワクチンに切り替わっていくことになっています。予防接種には大切な役目がありますので、このことを理由に今すぐ予防接種を控えることはないと考えています。