院内報
こあら通信 第53号 2002 September
目次
・ベトナムで感じたこと
・ホームケア・アドバイス-皮膚カンジタ症(カンジタ皮膚炎)
・ヨコピ-のQ救箱
・おすすめの絵本
・インフルエンザ予防接種のお知らせ
・新スタッフ紹介
ベトナムで感じたこと
夏休みも終わりを迎えようとしています。いろいろな所へ出かけ、貴重な思い出を作った方も多いかと思います。
8月下旬日本小児科医会の要請を受け、京都に本部のある「ベトナムの子ども達を支援する会」のNGO活動に参加してきました。南部のホーチミン市から車で3時間ほどのメコンデルタにあるベンチェ州という所で、母子保健や障害児の支援活動に実際にかかわってきました。
車とバイクが溢れるきれいなホーチミンとは対照にベンチェは貧しく、私たちが訪問した村の人々の暮らしは、日本人には想像もできないくらいの生活でした。村の診療所では赤ちゃんの体重を、八百屋さんなどに置いてある台ばかりで測定していましたし、体温計も簡単には手に入らないという状態です。これでも十年前から比べれば、ずいぶん裕福で便利になったということです。
でも、本当に心を打たれたのは貧しさではありません。ある日、村の診療所に障害児の診療とカンファレンスをするために出かけました。途中ものすごいスコールに出会い歩かなければならなくなったのですが、道半ばでもう一歩も動けない状態になりました。現地の人たちはいつものことと平気な顔をしていましたが傘がない人にはバナナの葉を使うことを教えてくれ、足が汚れた人には水を出して洗いなさいと助けてくれました。また、結局通りすがりの民家の方が自ら場所を提供してくれて、患者さんをそこへ運んで診療を済ますことができました。
見ず知らずの人に親切にするという当たり前のことが、ここでは普通に行われています。余っているから人に与えるのではなく、困っていてもみんなで分かち合いながら生活をしています。それだけではなく、私たち日本人が忘れかけている「豊かなこころ」がそこにはあるように感じました。頭ではわかっていたはずのことが、体験として心で理解できた・・という不思議な気持ちです。
まだ頭がはっきりせず催眠術にかかったような感じですが、この気持ちを忘れないで診療に励みたいと思っています。
ホームケアアドバイス-皮膚カンジタ症(カンジタ皮膚炎)
オムツかぶれがなかなか治らないことがありますね。そんなとき、よく見るとふつうのオムツかぶれとは違った発疹があるのに気がつきます。
《症状》
関節の内側、腋の下、股、おしりなど皮膚がこすれやすいところが赤くなり、薄皮が白くむけたり、小さい水疱や膿を持った膿疱が混じって赤くただれます。健康な皮膚との境目がはっきりしていてその境目に小膿疱や薄皮のついた小水疱が見られるのが特徴です。乳児の場合はおむつの当たる部分や太もものしわの中にできやすくなるのが特徴です。
《原因》
カンジタというカビの一種が感染して起こります。このカビは健康な人の口の中や陰部などにも住んでいるもので、体の抵抗力が衰えたり、皮膚の温度や湿度が高くなると繁殖して病気を引き起こしたりするのです。
《治療》
抗真菌剤の軟膏・クリーム(水ムシの薬と同じ)を塗ります。すぐに止めずに根気強く塗ることが治療のコツです。
《ホームケア》
入浴時は、石けんでよく洗い、清潔と乾燥を保ちましょう。おむつかぶれと思いステロイド軟膏を長く使っていると、皮膚の抵抗力が落ちて悪化します。かぶれがひどく、なかなか治りにくいときは受診しましょう。
ヨコピ-のQ救箱
Q. おしっこが変なとき、どうしたらいいの?
A. おしっこの異常は大きく分けると、回数が多くなる頻尿(心因性の頻尿の場 合は、夜には症状が出ないことが特徴なんだ)・回数や量が減る乏尿・血が混ざる血尿・タンパクが出るタンパク尿などがあるんだよ。回数がおかしくても、おしっこの時に痛みを訴えたり、発熱など他の症状がなくて元気なら1-2日は変化に注意しながらようすをみよう。目で見て血尿が疑われるときにはすぐに受診してね。また、健診などでタンパク尿や血尿がみつかったときは必ず検査を受けてね。受診するときには、おしっこの量・回数(睡眠中はどうか)・色はどうか、痛み(排尿痛)があるか、発熱など他の症状はあるかなどを医師に伝えられるように観察しておいてね。尿を持ってきてもらえると、すぐに検査ができるのでとても助かるんだ。
おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
かしこいビル (ペンギン社)
ウイリアム・ニコルソン 作
まつおかきょうこ・よしだしんいち 訳
メリーはおばさんの家へ遊びに行くことになりました。おもちゃや身の回りの物など荷物を色々と詰め替えているうちに時間がなくなり、大切なお人形、「かしこいビル」を入れ忘れてしまいます。現実によくある話ですが、この後すーっとファンタジーの世界に入ります。ビルは走って走ってメリーの乗った汽車に追い着きます。「かしこいビル!」というメリーの言葉に、子ども達は嬉しく誇らしい気持ちをビルと分け合っている様です。
インフルエンザ予防接種のお知らせ
今年もまたインフルエンザの季節が近づいてきました。予防接種の予約を希望される方は、受付に直接、あるいは電話(0465-34-0666)にてお申し込みください。
《接種方法》
13才未満は2回、13才以上は1回です。1回目と2回目の間隔は1-4週間(3-4週間がお勧め)あけて接種します。
《接種対象者》
・喘息などの持病があって、インフルエンザにかかると重症になることが予想され る方
・受験などがあって長く休みたくない方
・集団生活(託児所、幼稚園、保育園など)にはいっている乳幼児
ただし、6ヶ月未満の方は免疫がつきにくいので接種しないことを原則とします。(注意-強い卵アレルギーのある方は接種できません。)
新スタッフ紹介
相談員 内倉真知子
みなさんはじめまして。8月より小倉先生が1年間留学される間、「発達と育児の相談室」で相談員をさせていただくことになりました内倉真知子といいます。
兵庫県の明石市という瀬戸内海に面した街で生まれ育ち、京都の大学に進学しました。その後、小倉先生と同じ大学院の研究室に入り、発達や臨床心理面接の勉強をしながら、こどものストレスとソーシャルサポートの研究をしていました。大学院修士課程修了後、働きはじめ、今年で3年目になります。昨年の春、東京転勤になった夫と結婚して、兵庫県より埼玉県に移り住んできました。
まだまだ勉強しなければならないことも多く、経験も少ないのですが、一年間教えて頂ながら、少しでも力になれるよう頑張りたいと思っていますので、よろしくお願い致します。
(「発達と育児の相談室」は8月より、第1・第3火曜日の9:00-17:00に変わりました。)