院内報
こあら通信 第49号 2002 May
目次
・子どもをタバコの煙から守る
・ホームケア・アドバイス-起立性調節障害ってなあに?
・ヨコピ-のQ救箱
・健診・予防接種のお知らせ
・おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
子どもをタバコの煙から守る
5月を迎えます。新緑がきれいで、病院にはつばめも巣を作り始めています。5月は私の誕生月で、今年で50歳を迎えることになりました。半世紀を生きてきた割には短かったような、若いときに思ってたほど年をとっていないし物事を悟っていないそんな気持ちでいます。
病院を新築して今月で5年が経ちましたが、今回は子どもの健康にもっとも影響の大きい事柄の一つであるタバコについて書いてみます。子どもをタバコの害から守ることが大切だということは誰でも知っています。でも、どれだけの影響があるかということについて、真剣にしかも論理的に考えている人は非常に少ないのではないでしょうか。
今年の3月に日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会は「こどもの受動喫煙を減らすための提言」を出しました。この中で、一度タバコの煙が部屋の中に吐き出されると、煙は壁などに吸着されることなく、長時間部屋の中に漂っていることが述べられています。そして長時間その中にいると、直接、喫煙者のそばにいてタバコの煙を吸ったのと同じ、場合によってはその何倍もの煙を吸うことになるのです。
父親の喫煙はもとよりですが、母親の喫煙はより大きな影響を与えます。成人になってからの様々なガンの発生や心筋梗塞、肺気腫だけではなく、子どもの気管支ぜん息や乳幼児突然死症候群の発生にも大きく関係しているのです。
子どもの病気が心配で病院に向かう車の中で、母親がタバコを吸いながら運転をしているという光景は、どうしても理解ができません。本当に心配なことは何か、何が子どもにとって一番大切かということを真剣に考えてみなければなりません。
子どものいる家庭では室内や車の中でタバコを吸わない、万が一吸った場合には窓を開けて換気することを心がけてください。そして、何よりもすべての人がタバコをやめられるようになることを願っています。
ホームケアアドバイス-起立性調節障害ってなあに?
自律神経とは、自分で意識しなくても血圧を上げたり、心臓の働きを早くするなど体の働きを調節している神経です。起きている間に働く交感神経と、その反対の作用で眠っている間に働く副交感神経の2つがあります。
《原因》
1. 急に立ち上がったときなどの自律神経の反応が遅れる
2. 朝起きたときなどの自律神経の切り替えがズレる
3. 体の成長に自律神経の発達が追いつけない
《症状》
くらくらする・おなかが痛い・頭が痛い・体がだるい・食欲がない・顔色が悪い・吐き気がするなど症状はとても多彩です。子どもから大人へ心や体が変わっていく頃に起こる病気で、午前中は調子が悪く夜になると元気が出るのも特徴です。本人もどこが悪いのかわからないため、さぼり病と簡単に片付けないでこの病気のことを理解してあげましょう。小学校高学年から高校生の時期の女の子に多く、高校卒業の頃には軽くなってきますが中には長引く子もいます。心の状態が症状の出方に影響を与えていることもよくあります。
《治療&対処法》
この病気のことを本人と家族と学校の先生方が理解することがこの病気を乗り切るために一番大切になってきます。経過の長い病気なので本人のストレスにならないよう、できそうなことからのんびりとチャレンジして症状が軽くなっても続けていきましょう。
1. 早寝早起き・快食快便の生活リズムを大事にしましょう。
2. 早朝の散歩・薄着や外遊び・乾布摩擦や冷水刺激など環境からの刺激をたくさん受けることがとても効果的です。
3. 血圧を上げて安定させる薬を続けて飲んだり、頭痛腹痛などの症状が強い時にはその症状を軽くする為の薬や漢方薬を使うことがあります。
ヨコピ-のQ救箱
Q. 頚のまわりにグリグリしたものがあります。大丈夫かしら?
A. 足のつけ根や首のうしろなどでグリグリとふれるものをリンパ節というよ。全身のリンパ節は大小あわせて800個程あるんだよ。体の中に入った細菌が全身に広がらないようにするはたらきをしているんだ。かぜをひいたときやけがによる傷、湿疹、虫歯などでも細菌に感染するとリンパ節がはれることはよくあるよ。リンパ節がはれたというのはこのリンパ節がウィルスや細菌とたたかってはれている状態なんだよ。はれの原因が推測できるときはあまり心配ないよ。でも感染してからリンパ節がはれるまで1~2週間くらい間があくこともあるから注意してね。発熱などほかの症状があったり、リンパ節が大きくはれ、硬く動かず大きさが1週間しても変化がないときは、他の病気がかくれているかもしれないので早めに受診しよう。リンパ節がはれているだけなら、大きさの変化やほかの症状に注意し、痛むときは冷やして、はれが続くときは念のため受診してみてね。
健診・予防接種のお知らせ
毎週火曜日と金曜日の午後2時から4時を健診・予防接種の時間帯としていますが、午後を希望する方が多く予約がとりにくい状況が続いています。状況を少しでも改善できるよう、しばらくの間木曜日の午後3時から4時を健診・予防接種の時間帯とします。予約を希望される方は受付けまで。(34-0666)
おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
「アンガスとあひる」
マジョリー・フラック さく・え
瀬田貞二 やく
(福音館書店)
アンガスはスコッチ・テリアの子犬です。見るもの、かぐものなんでも知りたがり、たしかめにいくのですが、一番知りたかったのは、生垣の向こう側から聞こえてくる「ガー、ガー、ゲーック、ガー!」というやかましい音の正体でした。見開きいっぱいに踊るアンガスとあひるに迎えられて、子供たちはすっかり、この絵本の中に入り込み、アンガスの気持ちに、自分をぴったり重ね最後まで楽しむことでしょう。
作者の人間を見る目、児童観がしっかりとしていて、温かく、文章が簡潔で、絵に多くを語らせているという良い絵本の見本となるような本といえるでしょう。