院内報
こあら通信 第40号 2001 August
目次
・夏休み
・ホームケア・アドバイス
・おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
夏休み!
今年は早くから真夏がやって来ました。夏かぜも増えて、外来は急な発熱とのどの痛みだけが症状のヘルパンギーナでにぎわっています。特効薬もないので、薬を出さずに様子をみてもらう患者さんが多くなっています。
夏休みは何となくほっとします。学校や園が休みになると病気が減って小児科の患者さんも少なくなりますし、いろいろな会議や行事もお休みで、暇な時間が多くなるからです。
日ごろ余裕のない生活を送っていても、夏休みになるとなぜか我に返ったような感じがします。私もそうですが、ふだんはやらなくてはならないことがあまりにも多く、道を歩いていても、空の美しさや花のあざやかさにさえ気がつかない毎日です。それでも夏休みになると旅行をしたり、ゆっくり散歩をしたりすることによって、見えなかったものが見えてきたり、聞こえなかったものが聞こえてきたりします。
暇が増えると自分の生活を見直すことも多くなります。少し手を抜いて、心のゆとりを持つことの大切さに気がつきます。休みは単なる休息ではなくて、生きるための原動力なのかもしれません。
子育ても同じような気がします。子どもが育つ姿は驚きと楽しさに満ちていますが、それに気がつかないまま時間が過ぎてはいないでしょうか。あまり大切とは思えないことに時間を掛けすぎて、本当に大事なものを見過ごしてはいないでしょうか。子どもはどんどん成長します。育てることだけに夢中にならずに、育つことの面白さをじっくり味わっておかないと、後で「失敗した!」と後悔することになりそうです。
これは自分自身への反省でもあります。
ホームケア・アドバイス
溺れた時の対処法!!
夏は水の事故のニュースがTVや新聞で多く見られます。うちの子はだいじょうぶかしらと心配になりますよね。しかし水の事故は季節に関係なく年間を通して発生しています。乳幼児の事故の1/3は水に溺れる事故で、浴室での事故が一番多いのです。家の中は、安全と思われますが、ちょっと目を離したすきに事故は起こります。
幼児から学童では、プール、用水路、海、川、池などで溺れる事故が多くなります。水のある場所で子どもを遊ばせる場合は、保護者の方はあらゆる危険が起こる可能性を考えて場所を選び行動しなければなりません。もちろん子どもだけで遊ばせてはいけません。水辺の事故は、命にかかわりますから細心の注意が必要です。
《もし溺れたときどうするか》
溺れているのを発見したらすぐに引き上げ意識があるか、呼吸をしているかを確かめます。意識があり、泣いていればひと安心、体を拭き、乾いた衣で体をあたためてあげます。意識がない場合、大声で人を呼び集め救急車の手配を頼みます。意識がないと水を吐かせることを考えがちですが、肺に入った水は血液に給集されますから、水を吐かせることよりも、気道を確保、人工呼吸が先決です。
1. まず気道の確保!
子どもをあおむけに寝かせ、あごに指をかけ、上に持ち上げるようにします。同時に頭を後ろのほうへそらせます。
2. 呼吸がない場合、人工呼吸!!
1回1回胸がふくらむのを確かめながら自然な呼吸に戻るまでつづけて下さい。
<赤ちゃんの場合>
鼻と口をおおい息を吹き込みますが目安は、3秒ごとに1回(1分間に20回程度)
<幼児の場合>
鼻をつまんで、口から口に4秒ごとに1回息を吹き込みます。(1分間に15回)
3. 脈がない場合、心臓マッサージ!!!
頚動脈を触り、脈があるかを確かめます。肌の色が紫色や白いようならば血液の循環が悪い証拠です。
<赤ちゃんの場合>
左右の乳頭を結んだ線より指1本分下を2-3本の指で胸が1-2.5cm位沈むほどの強い力で垂直に圧迫します。(1分間に100回以上)
<幼児の場合>
胸骨下端から指2本分上あたりを胸が2-3cm沈む強さで垂直に、片手で圧迫します。(1分間に100回)
呼吸も脈もない場合、人工呼吸1回、心臓マッサージを5回くり返し心臓がリズミカルに動き出すまでまたは救急車が到着するまで続けます。もし、1人の時は、まず1分間くらいは応急手当を行い、その後に救急車を手配します。
おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
「ちいさなヒッポ」
マーシャ・ブラウン 文・絵 内田 莉沙子 訳 福音館書店 1260円
かばの小さなヒッポは、生まれたときからお母さんのそばを離れたことがありません。ヒッポが、かばのことばを覚えるときがきてお母さんに[グアオ!]という吠え方を習います。ある日、大きなわにがヒッポのしっぽにかみつきました。お母さんかばは「グッ、グッ、グアオ!たすけて!」という叫び声をききつけて、ヒッポを助けてくれました。愛情のこもった暖かな雰囲気があふれている版画に心がひきつけられます。この本を読んでもらう子ども達は、自分がすっかりヒッポになってしまうでしょう。親も子も心が暖かくなる母親賛歌の本です。