横田小児科医院

院内報

こあら通信 第38号 2001 June

目次

・治る力
・ホームケア・アドバイス
・ヨコピーのQ救箱
・新スタッフ紹介
・おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)

治る力

 田んぼに水が入って、梅雨の始まりを感じます。喘息気味の子ども達にとってはちょっぴりつらい季節です。そろそろ夏カゼも流行ってきて、咳も鼻水もないのに熱だけが高いという患者さんも増えてきました。
 こんな夏カゼに対して、お医者さんとして何か治療をしなくては・・と思うのですが、有効な治療法がありません。そもそもカゼのウイルスに効く薬がほとんどありませんし、対症療法をしようにも、熱くらいしか症状がありませんので困ったものです。
 何もしないで「様子をみて」と言いたいところなのですが、「薬も出さない」のは患者さんにとって不安なことだと思います。たいして効かないとわかっていても、薬をもらうことには「おまじない」の様な力があることも確かです。薬を飲んでいると何となく体が守られているような気がするものです。でも、薬にだって問題はあります。必要のないものは極力飲みたくないですね。
 人間には病気を治す力が備わっています。抗生剤や特別な薬が必要な病気や、脱水のように点滴が必要な病気ももちろんありますが、このような患者さんはごく一部です。大部分の病気は安静にしているだけで治ってしまうのです。
 お医者さんの一番大事な仕事は、薬を出すことではなく、病気が何かを見極めることです。薬にばかり頼ろうとしないで、治る力を信じて時間が経つのを待つことが、お医者さんにも、患者さんにももっと必要なのではないかと、毎日たくさんの処方箋を書きながら考えています。

ホームケア・アドバイス
とびひ

 虫にさされてかきこわしたらとびひになってしまいました。どうしたらいいの?

《原因》
 夏になると虫さされや汗もなどに炎症がおき、かゆがることが多くなります。
 このような場合に細菌のついた手でひっかくと、とびひの原因になります。とびひは伝染性膿痂疹という皮膚の感染症で、大部分はブドウ球菌によっておこります。最初は水疱から始まり、すぐに壊れてかさぶたのついたジクジクした発疹になっていきます。水疱にはたくさんの細菌がふくまれているので、つぶれてしまうと他の場所に次々に拡がります。火の粉が飛んだように増えていくのでとびひと呼ばれています。とびひの水疱はとても破れやすく、直接皮膚につくと他の場所や他の人にも感染してしまいます。保育園で集団生活をしている子どもは休ませた方がいい場合もありますので、医師に相談して下さい。

《治療法》
 症状の軽いものは抗生物質の軟膏をぬるだけでよくなりますが、少し重くなると抗生物質とかゆみ止めの薬を飲むことが必要です。完全に治りきらないうちにやめてしまうとぶり返すことがあります。また抗生物質の効きにくいブドウ球菌に感染している場合もありますので、最後まできちんと治療を受けましょう。乳児はブドウ球菌の毒素でやけどをしたような皮膚になって重症化することがありますので、そのようなときは急いで受診するようにして下さい。

《ホームケア》
 とびひの発疹が拡がらないためには、かかないとこが最も大切。爪を切ってよく手を洗い清潔にしておくようにこころがけて下さい。入浴は医師に禁止されてなければ大丈夫。石けんを使い、シャワーで体を洗って下さい。入浴後には必ず軟膏を塗るようにします。虫さされやあせもができたときは早めに治療しましょう。


ヨコピーのQ救箱

Q  熱がある時ってお風呂に入ってもいいの?

A  ちょっと前までは、「ねつがあったらお風呂はダメ」とよく言われていたよね。でも今は少し違うよ。長時間お風呂に入るということは、100m走をダッシュで走りきるくらいのエネルギー消費量があるんだ。だから体力消耗しないために「短時間」ということをおぼえていれば平気だよ。まず、37.0度前半ならシャワーはOK。これから暖かくなるから大丈夫かもしれないけど、寒い日には湯冷めに注意してね。38度くらいあって、ぐったりしているなら、さっと温かいタオルで拭いて着がえればさっぱりするよ。オムツをしている子なら、座浴かシャワーでお尻を流してあげるといいね。体を清潔に保っていると気分もそう快で、病気になんか負けないぞ!

新スタッフ紹介

事務
小川 加奈子

 こんにちは。小川加奈子と申します。昨年の春から先生の開業以外のお仕事、主に外来小児科学会のお仕事のお手伝いをさせていただいていましたが、今年の1月から午後は受付けに座っています。年齢も結構お姉さん(?)だし、ひとり白衣など着て、えらそうな顔をして座っていますが、実は、受付けの仕事も、医療関係の仕事もほとんど初心者なのです。どちらかというと、母の闘病、祖母の介護、息子の髄膜炎での入院と患者としての経験が豊かかなと思っています。私も、耳から血をながした息子を抱え、耳鼻科へ走ったり、熱性のけいれんをおこした息子を小児科に運び込んだりした母親として、横田先生のところへいらした患者さんたちの少しでもお手伝いができればな、と思っています。
 受付けに初めて座った日の印象は「楽しい」でした。お子さんたちの笑い声も泣き声も可愛くてしかたないという感じでした。今は楽しいとばかりはいっていられず、覚えなくてはならないこと、自分がやるべきこと、それからもちろん家事のことも育児のことも、とにかく課題が山積みです。
 こんな未熟な私に、もし気付いたことなどありましたら、ぜひ声をかけて下さい。よろしくお願いします。

おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
ふしぎなたまご(子どもがはじめてであう絵本第2集)

ディック・ブルーナ文・絵 石井桃子訳 福音館書店 630円 

雪のような真っ白い卵が落ちていた。いったい誰のたまごでしょう。次々と動物が出てきて自分のだと言い合います。そして、たまごからあかんぼが生まれ皆で協力して育てます。これは、先月号で紹介した「ちいさなさかな」と同じ作家の本です。単純化された美しい絵、簡潔で分かりやすい文章で、始めから終わりまで子ども達の気持ちを引きつけます。子ども達は誰のたまごかわくわくどきどき、そして動物たちと一緒になってあかんぼを育て楽しむことでしょう。小さな子も充分に楽しめる本です。

4月から「おはなしたんぽぽ」の協力を得て、絵本の読きかせの会を月1回(水曜日)開催しています。

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