院内報
こあら通信 第336号 April 2026
百日咳ワクチンの接種を!
乳幼児、特に新生児が百日咳にかかると重症となり、無呼吸や肺炎、脳症などを合併して死亡することがあります。戦後間もない1940年代は毎年1万人あまりがこの病気で死亡していて、たいへん恐れられた病気です。
日本では1949年に百日咳ワクチンが始まり、1964年にはDPT三種混合ワクチンとなって接種されるようになり、患者数は激減しました。このワクチンは百日咳菌の菌全体を使ったワクチンで、発熱など副反応が出やすいことが問題でしたが、1975年にワクチン接種後の死亡例が出て接種が一時中止されました。その後、接種年齢を上げて(2歳から)再開されましたが、患者数が再び増加し死亡者も出たため、1982年に副反応少ない無細胞型ワクチンに開発され、1988年からは生後3ヶ月から接種するようになり現在に至っています。 新しいワクチンは副反応も少なく、感染の予防にも効果があったのですが、年月が経つにつれて、小学生くらいで免疫の効果が低下し、ワクチンを接種していたのに発病することもわかってきました。
百日咳の診断は簡単ではありませんが、百日咳菌の遺伝子を検出する方法などが開発されて診断技術が向上しました。2018年から百日咳はすべて報告する制度になり、実際の流行状況が明らかになってきています。診断された年齢を見ると、乳幼児期と同時に小学生の年齢で非常に多いことがわかってきています。
子どもの百日咳が増えると、かかってしまう赤ちゃんが増えます。NHKが全国およそ100か所の赤ちゃんの治療の基幹となる病院に取材したところ、2025年1年間に百日咳で入院したのは延べ480人以上、このうち少なくとも7人が治療を受けたものの亡くなっていたことが分かりました。このような赤ちゃんを守るためにも、小学校や中学校入学時の百日咳ワクチンが大切なのです。
百日咳単独のワクチンはないため、現在はDPT三種混合ワクチンを使っていて、小学校入学前の接種、中学校入学前の二種混合を三種混合に替えた接種をお勧めしています。また、新生児を百日咳から守るため、妊娠27〜36週の妊婦さんにDPT三種混合ワクチンを接種して抗体を上げることが認められるようになりました。妊娠中の方はご検討ください。 (院長)

