院内報
こあら通信 第316号 August 2024
目次
夏風邪の流行から感じること
お知らせ
夏風邪の流行から感じること
新型コロナが九州から再び増え始めています。ここ神奈川県西部でも成人の患者さんの増加は明らかで、子どもの新型コロナも少しずつ増えています。一方で、手足口病が今までにない大流行となっています。どちらも急に高熱が出ることが多いので不安になりますが、手足口病は手足の発疹と口内炎を見つければ診断は難しくありません。手足口病も新型コロナも子どもに特効薬はなく、また重症になることも少ないので、自然に治るのを待つしかありません。
実は咳・鼻水・熱が主症状の「かぜ」の大部分も、特効薬がないという点では同じです。症状を緩和する薬も使いますが、効果は限定的です。家で静かにして、食事睡眠がきちんととれていれば自然に治ります。ただ、納得いく病名がつかないので、肺炎が心配、髄膜炎が心配・・と不安が広がります。家族の不安が強いと医療側にも心配が伝わり、必要のない検査や投薬に繋がることも少なくありません。
このような「症状→不安→受診」というサイクルは、私が小児科医をしている40年以上の歳月の中で大きく変わらず、「同じことの繰り返し」が続いていると感じることもあります。ここから抜け出すためには感染症についての正しい知識、子どもの状態を冷静に判断する力を持つことが大切なのですが、それを全ての人に求めることは簡単ではありません。重大な病気や合併症を見落とさないことももちろん大切です。しかし、より大切なことは保護者の皆さんの不安に寄り添い、ゆとりを持ちながら子どもたちの成長を見守ることができるよう、お手伝いをすることなのかもしれません。
横田俊一郎
お知らせ
2024年12月2日から、現行の保険証は発行されなくなります。マイナンバーカードで資格確認を行いますのでお持ちください。なお、医療証は引き続き必要となりますのでかならずご持参ください。