院内報
こあら通信 第286号 February 2022
目次
・12歳未満のコロナワクチン
・子どもの鼻血について
・授乳中の新型コロナウィルスワクチン接種
・受診時のお願い~コロナかも・・と思ったら~
12歳未満のコロナワクチン
おそれていた通り、オミクロン株の感染拡大が起こっています。幸い重症になる人は少ないですが、今回は子どもの感染例が増え、幼稚園・保育園、小中学校の学級閉鎖や学校閉鎖が県西地区でも多くなっています。政府分科会の尾身茂会長が、これまでの人流を抑制する方針から柔軟に対応する路線への変更を打ち出して議論を巻き起こしていますが、子どもたちにとって普通の日常生活を早く取り戻すこともとても大事だという認識を忘れないようにしたいと思います。5〜11歳へのコロナワクチン接種について厚労省の専門部会が承認したことで、間もなく接種が始まるでしょう。子どもでは重症になることが少ないこと、ワクチン接種によって若い人に心筋炎が起こる頻度が高いことなどがわかっていて、接種すべきかどうか悩む人も多いはずです。
そんな中、1月19日に日本小児科学会が「5〜11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を発表し、誰でもホームページから読むことができます。承認されそうなのはファイザー社のワクチンのみで、従来のワクチンと比べ含有される mRNA量が1/3 の製剤 です。海外での報告では、有効性は高いもののオミクロン株に対する効果については十分なデータがまだ得られていません。副反応も上の年齢より低く、心筋炎も全て回復しています。
基礎疾患のある子どもでは重症化を防ぐことが期待され、12歳以上の健康な子どもへの接種と同様に意義がある、と述べられています。大切なのは本人と保護者がメリットとデメリットをよく理解すること、そして何よりも子どもの希望を優先することだと言われています。
子どもの鼻血について
子どもの鼻血の多くは、風邪・鼻炎・鼻周りの湿疹・鼻の中の乾燥・頻繁に鼻をいじる癖があることで起こります。鼻の入り口に近いところからの出血で、毛細血管が集っていて粘膜も薄いため比較的簡単に出血してしまうからです。
鼻血が出た時の対処法
① 慌てない
大人でも血を見るとびっくりしますが、驚いて慌てると血圧が上がり血が止まりにくくなります。子どもが泣いているようであれば安心させ、落ち着かせましょう。
② 小鼻をしっかりとおさえる
鼻には何も入れず、親指と人差し指で小鼻を5~10分間しっかりとつまんでおさえます。(小さな子どもでは息が苦しくなることもあるため出血している側の小鼻を真横から人差し指でおさえてもOK)ティッシュペーパーを詰めるということもやりがちですが、粘膜を傷つけたり抜くときにかさぶたがはがれてしまい再出血することもあるのでおすすめできません。
③ 顔はやや下向きに、座った姿勢で安静にする
上を向いたり横になったりすると、血液が喉に落ちて気持ち悪くなります。
子どもの鼻血のほとんどは病気などではなく医学的に問題のないものですが、出血が多い、なかなか止まらない、何度も繰り返すというようなことがあれば小児科または耳鼻科で相談しましょう。
授乳中の新型コロナウィルスワクチン接種
製造過程の不具合で入荷が止まっていたおたふくかぜワクチンですが、無事に問題が解決され、先月から当院でも接種の予約を再開しました。これに伴い、おたふくかぜワクチンを接種したお子さまの保護者の方に、接種後の副反応調査をお願いしています。調査は、接種後お渡しする書面に記載されたQRコードを携帯電話などから読み込んでいただき、接種4週間後と8週間後に発熱などの副反応があったかどうかをお答えいただくものです。この調査は、今後おたふくかぜワクチンの定期接種化を実現するためにデータを整える目的で、日本小児科学会が主体となり行っています。ご面倒をおかけしますが、一日も早くよりたくさんの子ども達がおたふくかぜワクチンを接種することができるよう、ご協力をお願いいたします。
新型コロナワクチン接種(1~2回目の方)の予約を再開します
新型コロナワクチン接種の際に「授乳中ですが大丈夫ですか?」と質問されることがあります。
WHO・厚生労働省は、新型コロナワクチンをはじめ現在行われている予防接種で授乳を中止する必要はないとしています。
mRNAワクチンを受けた方の母乳からは新型コロナウィルスへの抗体が確認されています。母乳育児の場合、母乳中の抗体が授乳中の子どもを感染から守る効果があると期待されています。mRNAワクチンを接種したことでミルク(人工乳)に変更する必要はありません。厚生労働省でも、現在日本で承認されている新型コロナワクチンが妊娠・胎児・母乳・生殖器に悪影響を及ぼす報告はないと伝えています。
新型コロナワクチンに限らず、赤ちゃんは受けることができないワクチンがあります。授乳をしていても予防接種は受けることができます。周りの大人が予防接種をすることで赤ちゃんを感染から守っていきましょう。
参考URL
① NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会(JALK)
② 厚生労働省
受診時のお願い~コロナかも・・と思ったら~
「保育園でコロナ陽性者が出ました。今朝からうちの子も発熱しています。受診できますか?」新型コロナウィルスが猛威を振るい、休園や学級閉鎖が相次ぐ中で最近目立つようになった電話でのお問い合わせです。もちろん診察させていただくことはできます。ただその際に以下①~④のお願いがあります。
① 予約時間は、できるだけ午前中11時台、もしくは午後17時台の時間帯をお取りください。
② ホームページのトップにある『Web問診』に入力してください。
入力内容 ➡1)現在の症状 2)周囲にコロナ陽性者、もしくはPCR検査を受けている人がいるか? 3)その人といつ、どのように接触したか?
③ Web問診の入力がすんだら受付までお電話をください。
④ 来院時間の指定をさせていただきます。可能であればお車でご来院ください。建物1Fの駐車場に停められたら再度受付にご連絡をお願いします。
お子さまの症状や状況によって、院内で診察、車中で検査など最善の方法を医師が判断します。お子さまの辛そうな様子を見て、不安で一刻も早く診察を受けさせたい、という保護者の方のお気持ちは私たちスタッフも十分承知しています。その上で、保護者の方のご協力が院内の感染防止や来院後のスムーズな診察につながります。どうかご協力をお願いいたします。