院内報
こあら通信 第277号 May 2021
目次
・心と心を通わせる
・子どもの水の事故
・一時預かり保育室「pole pole(ポレポレ)」のご案内
・おたふくかぜワクチンの予約を停止しています
心と心を通わせる
コロナ禍で学会もオンラインでの開催が多くなっている中、4月の日本小児科学会学術集会をオンラインで視聴し、知識を新たにすることができました。その中で、特別公演の北山修先生の講演が面白かったので紹介させていただきます。
北山修先生は、「帰ってきたヨッパライ」で一躍有名になったザ・フォーク・クルセダーズのメンバーで、今回の学会の主管である京都府立医大を卒業して精神科医となり、九州大学精神科の教授も務めました。講演の題名は「日本文化の中の母子関係」。江戸時代の浮世絵を調べ、その中の約450組の母子像を取り出して分類してみたという内容です。西洋の文化の影響を受ける前の育児を調べることが目的で、浮世絵に描かれた世界では、同じ対象を共に眺める母子が頻繁に登場することを北山先生はみつけました。しかも、子どもの大部分は母親にしっかり抱かれたり、母親の足にしがみついたりしています。
犬を見つけると、子どもが母親の顔を見て犬を指差すことを「同意の指差し」と呼びますが、これと似たような意味があるのかもしれません。誰かとともに一つの対象を眺めるようになることは、子どもが他者の意図や心的状態を読み取り始めた証拠であり、発達の大きな変換点を示しているとされています。それによって言葉を覚え、他者との心の交流が拡がっていきます。幼児期の体験は成人の心に大きな影響を与えるので、精神分析を専門とする北山先生には興味のある分野なのです。
星の王子様の作者であるサン・テグジュペリの「愛とはお互い見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである。」という言葉を紹介して講演は終了しましたが、「心と心が通う」ことの大切さを考えさせられる講演でした。
子どもの水の事故
暖かくなり、水遊びが気持ちよくなる季節になりました。人混みを避け、お家での水遊びも多くなると思います。「子どもの事故の現状について」という調査によると年齢別の「不慮の事故」の原因のうち溺水は1歳~6歳までのワースト2位または3位にあがるほど頻発しています。水の事故のうち1歳代の約8割、2~4歳までの約2割は家の中で起きています。例えば:浴室・洗濯機・・・水をためておかない、その場所入れないようにしておく、ビニールプール・・・目を離さない、トイレ・洗面器の水・ペットの水槽etc.・・・
小さな子どもは足腰がしっかりしておらず体のバランスをとることが下手なので、すぐに姿勢を直すことができません。そのため、鼻と口を覆うだけの水があれば数㎝の水位でもおぼれてしまいます。戸外での水の事故が増えるのは、行動が活発になる3歳ごろからです。
子どもは体と比較して頭が大きいため、池や用水路をのぞき込んで遊んでいる時などに事故が起こります。他にも海や川・ため池・浄化槽など遊び慣れた場所であっても危険は潜んでいるので目を離さないようにしましょう。
一時預かり保育室「pole pole(ポレポレ)」のご案内
一時預かり保育室「pole pole(ポレポレ)」が5月10日よりスタートします。 「pole pole(ポレポレ)」にはスワヒリ語で「あせらないで」「ゆっくりゆっくり」という意味があります。保護者の方の楽しい子育てを一緒に応援したい思いで始めます。医療的ケア児の方もおあずかりいたします。詳しくは横田小児科医院のホームページをご覧ください。
おたふくかぜワクチンの予約を停止しています
通常当院では1歳で1回目、小学校入学前の年長さんで2回目のおたふくかぜワクチン接種をお勧めしています。ただ現在、メーカーで製造過程に不備がありワクチンの出荷が停まっています。このため当院でもweb予約を一時停止しました。予約再開は10月末を予定しています。ご迷惑をおかけしますが再開までしばらくお待ちください。