院内報
こあら通信 第244号 Aug 2018
目次
・病児保育室開設4年
・手足口病
・暑さを乗り切ろう!
・暑さを乗り切ろう!~食事編~
・全国病児保育研究大会に参加して
・インフルエンザ予防接種の予約が始まります
病児保育室開設4年
暑い日が続いています。熱中症の報道が多くなり、急に熱が出ると熱中症を心配して受診する方が増えてきました。実は意外に子どもの熱中症は少なく、本当の熱中症に出会うことはめったにありません。熱中症の最初の症状は元気がない、ぐったりしているというもので、急な発熱の原因の大部分は夏風邪です。高温多湿な場所に長時間いないようにし、水分補給をこまめにして暑い夏を乗り切ってください。
7月で病児保育を初めて4年が経ちました。おかげで利用する方も増え、多くの方に喜んでいただいています。病児保育を始めるきっかけは、日本外来小児科学会の仲間の「始めてよかった」という言葉に後押しされたからです。「究極の子育て支援」という先輩のキャッチフレーズにも心が動かされました。行政の理解があってこそできる事業であることも忘れてはなりません。7月に高松で開催された第28回全国病児保育研究大会にスタッフ4人といっしょに参加してきました。
大会では、病児保育がお母さんの就労支援という方向から、子育て支援の基地としての役割へと、活動が少しずつシフトしてきているのがわかりました。子どもの安全を第一において、感染症対策や保育室での過ごし方など、全国の病児保育施設が研究を行い改善に取り組んでいます。
保護者にとって子育ての一番の危機は子どもの病気かもしれません。その危機をクリニックといっしょになって助けるのが病児保育です。意外に認知度が低く、クリニックを受診するまで知らなかったというお母さんも少なくありません。ほんとうに支援を必要としてる親子に病児保育の情報が伝わるよう、これからも皆で努力していきたいと思います。
手足口病
夏になると薄着になり、手足の露出が多くなります。集団生活では、普段から子ども達をよく見てくれている保育士さんが発疹に気付き「何かの感染症では?」と心配して受診を勧めることもあります。もちろん毎日見ている保護者の方もうつるような発疹ではないか?と、とても心配になりますね。代表的な夏かぜの一つに「手足口病」があります。口の中の粘膜や手の平・足の裏・足の甲・膝やお尻に赤い発疹や小さな水疱が現れます。発熱することもありますが、今年の手足口病はほとんどは平熱~微熱程度です。原因となるウイルスが複数あるので、毎年かかることもあります。飛沫・接触・経口で感染し潜伏期間は3~6日です。1週間ほどで自然治癒します。回復後も便から2~4週間にわたってウイルスが排泄されますが、熱・発疹もひどくなく日常生活ができれば登園してもかまいません。口内炎が痛く食べられない場合は、集団生活はお休みしましょう。食事は無理強いせず喉ごしのよい冷たい物や刺激が少なく噛まずに飲み込めるものを選んでみましょう。
暑さを乗り切ろう!
観測史上例のない速さで梅雨明けをしてから夏日、猛暑日、酷暑日と呼び方は変われど厳しい暑さが続いています。診察室でもお子様のあせもや冷房の使用方法を質問する声が多くきかれます。「できてしまったあせもに塗り薬を処方することはできますが、あせもができる原因を取り除かないと解決にはなりません」と先生はお話ししています。あせもをつくらないためには汗をかかないことですがこの暑さの中それは難しいですよね。汗をかいたらシャワーを浴びたりぬるめのお風呂で汗を流して体をきれいにすることが一番です。そして、冷房も上手に使いましょう。寒くなりすぎないように、冷たい風が直接体に当たらないように気をつけましょう。室温は28℃に設定、とよく言われますがそれに限らずお家のかたがちょうどよいと感じられる温度でお子さんも大丈夫です。夜間の使用も同様です。暑さと上手に付き合って楽しい夏を過ごしましょう。
暑さを乗り切ろう!~食事編~
夏は子どもでも「食欲がない」、「だるい」、「おなかの調子が悪い」といった夏バテの症状を訴えることがあります。これは気温が高くなり、暑さによって消化機能が低下することが要因の一つと考えられます。トマト、キュウリ、トウモロコシ、ナス、オクラ、枝豆、夏野菜の多くや、スイカ、メロンなどの果物、ほかに豚肉などにも利尿作用のある「カリウム」が豊富にふくまれ、水分と一緒に体内の熱を排出し体温上昇を抑えてくれる効果があるため積極的に摂ることをお勧めします。子どもも食欲がなくなるため、喉ごしの良いものばかりを食べたがりますが、しっかりとかまない食事は体力の低下にもつながりかねません。食事の時間は、おうちの方もお子さまと一緒に、よくかむ事を心がけて暑い夏を乗り切りましょう。
全国病児保育研究大会に参加して
香川県で行われた全国病児保育研究大会に参加してきました。病児保育についてだけではなく食についての講演もあり、その中では最近増加している子どもの自殺や犯罪の低年齢化の問題について、食を通して支援できることがあることも知りました。また子育て支援の話題も多く聞きました。「誰のための病児保育か」私達は病気の子どものケアをするだけでなく、保護者の気持ちに寄り添い耳を傾け、時に受け止め見守ることの必要性を改めて感じ、子どもの回復が保護者支援にも繋がっていける様な存在でありたいと思いました。横田先生の「小児科も心身共に健康な成人へ育て上げるための手助けをすることに重心が移ってきている」というお話は病児保育でも通じるものがあり、子どもも大人も心身共に健康であることが何より大切だと再認識しました。その支援のために私たちが出来ることを考え、いつでも安心して預けて頂ける様な保育室を今後も目指していきたいと思います。(土屋、青木、田村、田所)
インフルエンザ予防接種の予約が始まります
8月31日(金)19時からインターネットで、 9月6日(木)から窓口・電話で予約をお受けします。6ヶ月~小学生のお子さまは、接種回数2回です。ただし小学4年生以上で昨シーズンもワクチンを接種したお子さまは原則1回の接種とします。2回接種の場合、1回目の予約の際に、必ず2回目も予約してください。1回目終了後に2回目の予約を取ると既に予約が埋まっていてご希望の日程でとれないことがあります。1回目と2回目の間は4週間あけていただくようお願いいたします。