院内報
こあら通信 第229号 May 2017
目次
・ワクチンによるがん予防
・食物アレルギー(その1)
・B型肝炎予防接種の接種期間が延長されました!
・待合室インフォメーション
・駐車についてのお願い
・JAMBO!工事のお知らせ
ワクチンによるがん予防
開花の遅れた桜も終わり、季節は夏に向かっています。新入学、新入園の子どもたちにも疲れが見え始めていますね。
子宮頸がんの予防ワクチン(HPVワクチン)は日本では2009年に接種が開始され、2013年4月から定期接種となりました。しかし、接種後、体の複数部分に慢性的な痛みが生じる重い副作用が報告され、2013年6月には積極的な勧奨が一時中止され、現在に至っています。国立がん研究センターのホームページには、子宮頚がんの年間患者数は約10,900例、20-40歳で増加しており年間死亡数は約2,900人と示されています。HPVワクチンは日本の子宮頚がんの50-70%の原因となるヒトパピローマウイルス(16型、18型)の感染を予防し、日本に先行している諸外国では子宮頚がんの前がん病変を減らす効果が認められています。一方、体の複数部分に慢性的な痛みが生じる重い副作用は10万接種に2例程度で、名古屋市で行われた調査、最近の厚労省の全国疫学調査でも、このような症状はワクチン接種者と一般集団の間で発生に差がないと報告されています。また、予防接種・ワクチンに関連する15学術団体(日本小児科学会・日本産婦人科学会を含む)で構成される予防接種推進専門協議会も、接種勧奨の再開を強く要望しています。
一方、日本の肝臓がんによる死亡数は年間約3万人で、15%がB型肝炎に関係した肝臓がんとされています。急性B型肝炎による入院数は年間1,800名程度と予想されていて、不顕性感染を加えればかなりの感染者があることが判っています。特に近年では性的接触による感染が増えています。
どちらのがんもかなりの部分がワクチンで予防が可能です。そろそろ真剣にがん予防を考えてみる必要があります。
食物アレルギー(その1)
食物アレルギーは、軽い症状からアナフィラキシーに至るような重症例まで幅広くあります。なぜアレルギー症状が出るのでしょう?私たちの体には、体内に侵入してきた異物に対して抗体(IgE)を作り体を守ろうとする働きがあります。この働きが、特定の食べ物に含まれるたんぱく質を異物(アレルゲン)と認識し、様々な症状を引き起こします。アレルギーの症状で最も多いのが、皮膚症状(皮膚の痒み・じんま疹・赤くなる)です。その他、呼吸症状(咳・ゼーゼー・息が苦しい)、粘膜症状(目の周りの痒み・口の中や口唇の腫れ・違和感)、消化器症状(吐き気・嘔吐・下痢)などの症状が、同時に出たり別々に出現することがあります。食物アレルギーは4つのタイプがあります。
1. 新生児・乳児消化管アレルギー⇒粉ミルクなどにより嘔吐・下痢・血便などの消化器症状を引き起こす
2. 即時型症状⇒原因物質を食べた後速やかにアレルギー症状が出る
3. 食物依存性運動誘発アナフィラキシー⇒特定の物を食べた後運動するとアナフィラキシーを起こす
4. 口腔アレルギー⇒果物や野菜を食べた直後に口の中がイガイガしたり腫れたりする。花粉症がある方に多くみられる
何かを食べた後に発疹が出ると「アレルギーでは?」と考えてしまう方が多くみられます。発疹が出た・過敏テストや血液検査で怪しいものが見つかった・・・それだけでは必ずアレルギーとは言い切れません。自己判断で除去したりせず、かかりつけの先生に相談してみましょう。
B型肝炎予防接種の接種期間が延長されました!
28年4月1日から7月31日までに生まれたお子さんで、満1歳の誕生日の前日までにB型肝炎予防接種を3回接種できなかったお子さんは、3回接種のうち不足する回数分を満1歳の誕生日以降、平成29年7月31日まで接種できることになりました。これまで、お誕生日直前で予約をお取りいただくようにご案内してきましたが、より高い抗体価を得るために通常2回目から5カ月以上間隔を開けて接種することをお勧めしています。この制度を活かして接種忘れのないようにご注意ください。
待合室インフォメーション
今月は、岡村未夢(おかむら みゆ)さんの作品を紹介します。いつも、お気に入りのカフェでスケッチをし、その中からモチーフを決めてアトリエで創作に向います。アトリエは肩の力を抜いて自分らしくいられる場所。大好きな動物に愛情と敬意をもったまなざしを注ぎ、独自の世界を描きます。2017年「FLAT展」などにも出展されています。
駐車についてのお願い
クリニック下の駐車スペースが狭く、ご来院頂く皆様にはたいへんご迷惑をおかけしています。多くの皆様が停められるように、定められた線の中に駐車をしていただきますようご協力をお願いします。また、大雄山線沿いの広い駐車スペースもあります。看板で駐車位置を確認の上、そちらも併せてご利用頂きますようお願いいたします。
JAMBO!工事のお知らせ
初夏の風を感じられる季節になりました。横田小児科医院では、隣接する病児保育室「JAMBO!」の2階部分の工事を進めています。今後は院長が日頃から想いを馳せる地域の子育て支援基地になるような魅力ある場所にしていきたいと思っています。「こんな場所になるといいな」、「こんなことしてほしいな」等ありましたら、こあらボックス、メール等ご意見を頂けると幸いです。工事期間中も「JAMBO!」をご利用いただけます。ご迷惑をおかけしますがお願いいたします。