院内報
こあら通信 第176号 December 2012
目次
・便利さと子育て
・発達相談室からの風景Q&A編No.18「相談する場所」
・ヨコピーの子ども講座-「子どもの薄着」
・お知らせ
・はじめまして! 新メンバー紹介「小俣 直恵さん」(事務)
・編集後記
便利さと子育て
急に冬の寒さがやってきて、今年も残り1ヶ月。師走に選挙もあり、慌ただしい年の瀬を迎えています。
毎年年末に家内と二人で人間ドックを受けて体のチェックをしています。年を取ったのでそれなりに問題もありますが、今年の結果もまずまず健康という所でした。そんな人間ドックの帰りに、病院近くのしゃぶしゃぶ食べ放題のファミリーレストランに立ち寄りました。昼食時間も終わり頃なのにほぼ満席、子どもも多くとても盛況です。味も良く、野菜も豊富、デザートもたくさんでお値段もそこそこ。こんな便利なものがあると、嬉しくなります。
でも、少し考えました。こんなに早くて美味しくて安いお店があると、確かに嬉しいし便利だけれど、何か失っているものがあるのではないか・・と思ってしまうのです。苦労して手に入れたものを、じっくりと時間をかけて食べることの大切さを忘れてしまいそうです。
世の中はますます便利になり、それが商売としてどんどん拡がっています。昔は食べることはきっと命がけの仕事だったのだろうと思います。先日NHKでアリューシャン列島でのクジラとシャチの闘いを放映していましたが、お互いの懸命な行動に、生きるということは命がけの闘いなのだなと感じました。
子育てもどんどん便利になってきました。働くお母さん方にとってはとても助かることですが、子育てに何かが欠けてきたのかもしれない、と感じている人は意外に多いようです。楽をした分、大切だった何かを失っているかもしれません。今のお父さん、お母さん世代はそうやって育てられた世代の始まりだったと言われます。その人たちが大人になり、自分で子育てをする時期に入りました。親は育てられたように子どもを育てます。
子どもを育てることは、昔からずっと命がけの仕事だったはずです。だからこそ大きな喜びも悲しみもありました。そうではない世界に育った保護者の方々は、自分の子育てを少し批判的な目を持って、見直してみることも必要かもしれません。
子育ては人生の中でおそらく最大の楽しみです。新しい年が子育てにとってもよい年となりますように。
発達相談室からの風景Q&A編No18「相談する場所」
Q. 学校の先生から、「子どもさんのことで相談に行かれたらいかがですか」とすすめられました。これまでどこかに相談に行ったことはなく、どのようにしたらいいのかわかりません。また、相談する場所もいろいろあるようで、どこに行ったらいいのかわかりません。
A. 「相談・・・?どんなことを訊かれるのかな?親の育て方のせいです、なんて叱られたら嫌だな・・・。」と不安になるかもしれませんね。どこの相談機関でも、相談に来られた方の困っていること、怒り、不安、戸惑いといったものを一緒に受け止めることから始めます。いきなり叱られたり、責められたりはしないので、安心してくださいね。
多くの相談機関では、電話で申し込みを受け付けています。どのようなことで困られているか、簡単に訊かれることがありますので、「子どもが学校に行かれていなくて」「学校から子どもの落ち着きがないと言われて」等、概略をお伝えください。
相談日時が決まったら、これまでの経過がわかるようなもの(母子手帳や学校での様子が書かれたもの等)があればお持ちになって来談されるといいでしょう。初回面接はこれまでの経緯を聞くことが中心になります。子どもさんについて(性格、発達のバランス、能力、嗜好)、環境について(ご家族の考えやかかわり、クラスの友人関係や担任の先生のかかわり)などを整理し、ポイントを絞って、どこから何に取り組むかを話し合います。具体的には、発達検査や知能検査をする場合、言葉かけなどかかわりの方法を変えてみる場合、学校での環境調整をお願いする場合などが考えられます。
また、具体的な取り組みに結びつかなくても、お話をするうちに、不安や迷いが軽減され、明日からまた元気に子育てに向かっていただけるようになることもあります。なので、少しでも「行ってみようかな」と思われたときに、勇気を出していただけたらいいなと思います。
主な相談機関と特徴を挙げます。
①児童相談所・・・子どもに手を挙げてしまう、育てる自信がない等の養育の問題を中心に、不登校、非行、障害者手帳の交付など18歳以下の子どもの相談全般が対象。
②保健センター・・就学前の子どもの発達に関する相談(言葉が遅い、お友達とうまく遊べない等)が中心。
③神奈川県警察・少年相談保護センター・・・非行や心配な交友関係、犯罪被害やいじめなどの相談が中心。
④神奈川県教育相談センター・・学習に関すること、いじめに関すること等、学校教育や家庭教育に関する相談全般が対象。
どこの相談機関が適しているのかわかりにくい場合は、小中学生であれば公立中学校区に配置されているスクールカウンセラーにまず、相談されることをお勧めします。スクールカウンセラーは必要に応じて学校と連携ができますし、学校外の相談機関が必要な場合に、どこの相談機関が適しているかの助言もしてくれます。
どこの相談機関にしても、相談担当者との相性の問題はどうしても避けられません。無理して従ったり、話したくないことを話したりする必要はありませんので、遠慮せず、希望を伝えていただいてかまいません。
子育て中に迷いが生じたり、心配になったりすることは、誰にもあることです。相談・・・などとかまえずに、お気軽にご活用いただけるといいと思います。
横田小児科発達と育児の相談室では、中学生までの、様々なご相談をお受けしています。詳しくはホームページをご覧ください
ヨコピーの子ども講座-「子どもの薄着」
このところ朝晩冷え込んできました。寒くなってくると着ているものも、秋物から冬物へと変わっていきます。来院する子どもたちを見ると、厚着になりモコモコしている子・薄着の子、中には日中が暖かいため半袖の子もいたり様々です。この時期保護者の方によく聞かれる質問があります。「手足が冷たいのでもっと着せた方がいいですか?」「着せるのは何枚くらいがよいでしょう?」「私が寒がりなのでどの位が適当かわからない」等です。
一般的に赤ちゃんは手足の末端が冷たくなる傾向があります。寒くなるとなおさらです。お子さんが元気で食欲もあるようなら、着せる必要はありません。では、着せる枚数は何枚くらいがいいでしょう?目安として言われているのは「大人より1枚少なめ」です。最近、発熱素材を使用した衣類が出回っているため、基準になる大人が薄着になっているので一概に1枚少なめとは言えなくなっています。子どもは大人より体温が高いこと、よく動き回ることを考え着せましょう。
薄着にすると自律神経の鍛錬になり、カゼもひきにくくなると言われています。「暑い」「寒い」などの適度な刺激を受け、本来持っている防御反応が高まるためです。個人差はありますが、無理のない程度に薄着をしてみるのもいいかもしれません。
お知らせ
1. 4種混合(不活化ポリオ+三種混合)について
11月より4種混合ワクチンが開始されました。当医院でも接種できますが、発売よりワクチンが不足しており十分に確保できず、安定供給の目処もたっていません。ワクチンを待っている間、予防接種を受けないと、百日咳などの病気にかかるリスクが高まります。4種混合ワクチンが入るのを待たずに、三種混合・不活化ポリオワクチン単独での接種をおすすめします。
2.冬期休診のお知らせ
12月28日(金)午後から1月6日(日)まで休診いたします。この間は、休日診療所、他の医療機関のご利用をお願いいたします。
はじめまして!新メンバー紹介「小俣 直恵さん」(事務)
9月からスタッフの仲間入りをさせていただきました小俣直恵と申します。診察や予防接種の介助をさせていただいている時、「こわい」とか「いやだ」と言っている子ども達に対して、その気持ちを少しでも和らげてあげられるように心掛けています。不安な気持ちでいる時、優しい言葉や笑顔に救われた経験が私にもたくさんあります。患者さんの心に寄り添えるスタッフになっていけるように、向上心を持って頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。
編集後記
晩秋の清里に行ってきました。木立はすっかり落葉していましたが、木々の重なりあう姿に詩的な雰囲気を感じました。街はすっかりクリスマス一色です。昨年は病院で過ごしましたが、今年は我が家で楽しく過ごせそうです。最近見た夢で、息子がいつの間にか抱っこひもに入らなくなるほど大きくなり、もっと抱っこしとけばよかった〜と後悔していました。日々追われていますが(実際には追っている)、時間がたてば、今を懐かしく恋しく思うでしょうね。一歩ずつ立ち止まりながら、慌てずに子どもと一緒に成長したいと思います。皆様もよいお年を!