院内報
こあら通信 第175号 November 2012
目次
・うつる病気と集団生活
・発達相談室からの風景Q&A編No.17「幼稚園選びに迷います」
・ヨコピーの子ども講座-「赤ちゃんの風邪」
・お知らせはじめまして! 新メンバー紹介「岡本 友理子さん」(事務)
・編集後記
うつる病気と集団生活
秋の気配が色濃くなってきました。気温も下がり、カゼのシーズンの到来も間近です。集団生活をしいる乳幼児はどうしても感染症にかかりやすくなります。でも、それによって免疫もつくようになり、小学生になればとてもじょうぶになったように感じられるものです。
と思っていたら、「嘔吐下痢の子どもの場合、ノロ、ロタ、アデノのウイルス抗原検査を義務づけ、それが陰性になるまで通園を許可しない」という保育園が出てきたという話を小児科医のメーリングリストで知りました。皆さんはこのことをどう考えるでしょうか。このような方針には、いくつかの重大な誤りがあると私は考えています。
第1は迅速検査が万全のものではないということ。検査をする時期や患児の状態で、感染しているのに陽性に出ないということもあります。何でもそうですが、検査の結果しか信じられないという考え方には根本的に大きな思い違いがあるのです。
第2はどんな感染症にも軽症だったり症状がなかったりする患者が必ずいます。このような子どもは、症状がないので当然登園してきていますが、他の子どもへ感染させる力はもっています。症状のある子どもだけを隔離しても、感染の拡大を抑えきれないことが多いのです。
第3はどんな病気もかかってはいけないと考えること自体に問題があるということです。ノロもロタも1歳を過ぎてから受ける予防接種はありません。要するに、一度かからなければいつまでも免疫はつかず、大人になってかかればそこで苦しい思いをすることになります。感染症にかかることは、命にかかわるような病気でないかぎり、悪いことばかりではないのです。最近流行しているRSウイルスについても同じです。
第4に、すべての嘔吐下痢の患者に検査をすることは保険診療では認められていません。もし、保育園が検査を要求するのであれば、保育園がその費用を負担すべきです。
冬の感染性胃腸炎では手洗いを励行し、症状が落ち着き本人の元気が出てきたら登園させるという方針でじゅうぶんです。子どもを不必要に家に留めたり、不必要な検査を受けさせたりしてはならないのです
発達相談室からの風景Q&A編No17「幼稚園選びに迷います」
3年保育、完全給食、かわいい送迎バス、おそろいの制服とバック、それから、鼓笛、英会話、スイミング、絵画教室、バレエ教室、サッカー教室…魅力的なサービスがテンコ盛りで、どの園に願書を出そうかと、悩ましい季節ですね。
他にも、知っているお友達がいるかどうか、クラスや学年の人数、費用など、様々な要素が絡みます。園の行事や、そのお手伝いの保護者の「仕事」がどれくらいあるかも、先輩ママたちからの情報として入るでしょう。
公立園であれば、基本的には学区制を取っている所が多いので、園を選ぶことはできませんが、家から歩いて行ける近さ、お友達の多くが一緒に同じ小学校に入学できること、幼小の連携、費用の安さなど、私立の魅力とは違う、また別の安心感があります。
本格的に就業や職場復帰の方は、保育園選びですね。その場合、職場と家からの距離、就業時間+通勤時間と保育時間との兼ね合いも、大きな要素です。最近は幼稚園でも延長保育をしている所が多く、利用の仕方も様々です。
どのような園であっても、保育園であれば産休・育休あけから5年間、幼稚園であれば就学前の2~3年間、すべての子どもたちが、お友達と一緒に、毎日楽しく、思いっきり遊んできてほしいなあ、と思います。
その際、お子さんの性格やタイプによって、園の向き、不向きがあることも、知っておいて頂けるといいと思います。
例えば、これまで集団生活の経験がなく、人見知りが強い繊細なお子さんが、いきなり1クラス30人以上の大集団に入れられると、混乱してしまうかもしれません。また、とても元気で、少しもじっとしていられない活発なお子さんが、外遊びが少なくて、机に向かうお勉強が多い園に入ると、ストレスをためてしまうかもしれません。心配な方は、今からでも保健センター等の教室で、小集団の経験を積むとよいでしょう。相談して下さいね。
既に、言葉や発達の遅れ、落ち着きがないなどの心配があり、療育教室などを利用していたお子さんが地域の園に行く場合には、あらかじめ教育委員会や園にも相談して、必要なら加配をつけてもらったり、療育教室からきちんと引き継ぎをしてもらったり、入園後も並行通園や訪問事業など、なんらかの形で相談が継続できるようにしておくとよいでしょう。何か心配事ができてもすぐに相談できますし、園の先生たちも、専門家の助言を得ながら、安心して保育や教育ができます。
魅惑的な「サービス」や、親が楽できるかどうかだけに目を奪われることなく、自分の子どもにとって、どんな生活の中身を用意できるか、という視点で、今一度、考えてもらえたらと思います。園に巡回相談に行くと、悩みながらも、それでも本気で子どものために試行錯誤してくださっている素敵な先生方が、たくさんいます。これからは、園が、家族の生活と子どもたちの発達を守る、頼りになるパートナーとなります。一緒に我が子を育てていける、信頼できる先生方との出会いが、きっと待っていますよ。
ヨコピーの子ども講座-「赤ちゃんの風邪」
生まれたばかりの赤ちゃんでも風邪をひくの?と聞かれることがあります。お母さんからもらった免疫で、赤ちゃんがかかりにくい病気もありますが、その免疫は時間とともに低下します。また、ほとんどの原因はウイルス感染で200種以上もあります。お母さん自身がすべての免疫を持っているとは限りません。そのため、お母さんや周囲の人が風邪をひけば、くしゃみや咳などで赤ちゃんにもうつるのです。風邪をひくのは仕方のないこと、風邪をひくたびに自分自身で免疫力、抵抗力を身につけて成長して行くのです。1日1回咳をした、くしゃみをしたからといって、すぐ風邪をひいたと思わず、まず、子どもの全体のようすをみて普段の様子と比べて見てみましょう。ただし、生後3ヶ月未満で38度以上の熱や、機嫌が悪く元気がない、顔色が悪く食欲がないなど、『何となくいつもと様子が違う』と思ったら午前中の受診をお勧めします。
お知らせ
1. 大型車の方へお願い
医院下の駐車場が狭く、ご不便おかけいたしております。「大きな車が停車していると、他の車が停車しづらい」というお声を頂きました。お子さんの具合が悪くて、少しでも近い所へ・・というご事情もあるかと思いますが、不要の事故を避ける為にも、緊急の場合を除き、広い方の駐車場をご利用頂きますようお願い申し上げます。
2. 予約・問い合わせのお電話について
インフルエンザワクチンの接種が始まり、受付が大変混み合っております。その為、予防接種の時間にお問い合わせのお電話等を頂くと、すぐにお答えできない場合や、折り返しの電話も遅くなり、大変ご迷惑おかけしております。申し訳ありませんが、受付混雑緩和の為、できるだけ予防接種の時間を避けてお問い合わせいただきますよう、ご協力お願い申し上げます。※特に朝の予防接種の時間(8:15〜9:15)を避けて頂くと助かります。
はじめまして!新メンバー紹介「岡本 友理子さん」(事務)
7月からこちらの病院で勤務しています岡本友理子と申します。私自身も、7歳と4歳の女の子をもつ母で、毎日子育て奮闘中です。好きなことは食べること寝ること・・・です。皆様に笑顔で気配りができるようがんばりますので、今後とも宜しくお願い致します。
編集後記
先日、息子の予防接種に行きました。待合室で待っていると、まだ呼ばれないのかな〜という皆さんの気持ちに共感します。それだけではなく、お母さん達とお話する機会もできて楽しいこともありました。子どもができたことで、共感することが増えるのは、楽しいですね。待合室は、診察を「待つ」だけの場所ではなく、新しい人や事と出会うのを「待つ」場所であってほしい。そんな場所を作らないと・・と、改めて感じさせられました。