院内報
こあら通信 第170号 June 2012
目次
・還暦
・発達相談室からの風景Q&A編No.13「勉強ができない?」
・ヨコピーの子ども講座-「虫さされ」
・お知らせ
・編集後記
還暦
5月は私の誕生月。ついに還暦、60歳を迎えました。古い写真で見た父方祖父の還暦のお祝いでの姿は、白くヒゲを伸ばし威厳に満ちていて、お爺さんそのものという気がしました。父は私たち夫婦の結婚式の翌々日に還暦を迎えました。まだ若々しく、祖父の写真のような印象はありませんでしたが、その父もそれから12年後に他界しました。
自分が還暦を迎えることを今まで何度も想像したことがあります。同じ干支の年に60年ぶりに戻り、還暦を過ぎたら新しい自分に生まれ変われるような、そんな気持ちを最近まで持っていました。そして5月26日ついにその日を迎えました。
しかし、朝目覚めてみてもいつもと変わらない自分がいて、犬の散歩に出かけ、同じように診療が待っています。突然自分が変わるはずもないと思い直していると、家内から「今日はこのユニフォーム」と新品の赤くて素敵な柄の‘かりゆし‘を渡されました。「そうか還暦だから…」と思って新しいユニフォームに袖を通し診察室に出てゆくと、スタッフが皆お揃いのユニフォームを着て出迎えてくれたのです。これにはちょっと感激しました。そして診療が終わってからもお祝いの会を開いてもらい、患者さんも含めた多くの人からのメッセージと素敵なお祝いのケーキもいただきました。その後も家族や多くの方々に祝っていただき、私にとっては思い出深い60歳の誕生日となりました。
昔、60歳は定年で、その後は隠居して悠々自適の生活を送るものと言われていました。たくさんの患者さんから頼りにされていますし、任されている仕事も多いので、まだまだ隠居はできませんが、気持ちの上では少し自由になりたいものです。何か新しいことに挑戦できないかと考えているのですが、考えるよりまずは実行することの方が大事ですね。
たくさんの人からお祝いの言葉をいただき、多くの人と繋がっていることを実感した還暦でした。これからも人とのつながりを大切にして人生を楽しんでいきたいと思います。まだまだ先のことと思っていても、時間が経つのはほんとうにはやいものです。若い人にも「今」を大切に暮らしてほしいと願っています。
発達相談室からの風景 No.13「勉強ができない?」
Q. 子どもが、漢字の勉強をとても嫌がります。学習障害という言葉を聞いたことがあるのですが、どのようなものでしょうか。
A. 学習障害(LDとも言われます)というのは、知的な遅れはないにもかかわらず、学習に関係する能力(「読む」「書く」「計算する」など)のうち1つまたは2つ以上に著しい苦手さ、習得の困難さを抱えている場合に判断される特性です。原因は特定されていませんが、本人の努力不足や親の育て方によるものではありません。学習を進める上で必要な、目で見たものを正確に覚えて記憶したり、耳で聞いたものを記憶して表現したりといった脳の働きが関係しているのではないかと考えられています。
LDをもつ人が示す特徴としては、以下のようなものがあります。
①読むことが苦手…行を飛ばして読んでしまう、文末を読みとばす、音読を嫌がる
②書くことが苦手…文字が枠の中に収まらない、漢字の偏とつくりが逆になる、鏡に映したような字を書く、似た文字を間違える
③計算が苦手…数の概念がもてない、くり上がりやくり下がりの計算が習得できない、筆算のケタが揃えられない
その他、空間認知が苦手で迷子になりやすい、身体を使うことが不器用で運動が苦手、言いたいことをまとめて話すことが苦手、などの症状を示す場合もあります。
勉強ができないわけではないのに、漢字の勉強だけを極端に嫌がる子どもさんの場合には、「書く」ことに困難さのある学習障害の可能性もあるでしょう。漢字の形を正確に覚えることが難しく、いつも間違えて書いてしまうために注意されてしまうとか、何度練習してもなかなか覚えられずに点数に結びつかないなどで、取り組むことが嫌になってしまったのかもしれません。
対応を考える上で、まずは状態像(どんな能力の苦手さなのか)を正確に把握することが必要です。相談機関で知能検査を受けることで、どこが得意でどこが苦手か、どの程度苦手か、ということが確認できます。
対応としては、たとえば
・読む部分だけ見えるようなシートを使う、ラインマーカーで強調する
・タテタテヨコヨコ…など、筆順を言いながら覚える
・書く分量を減らして、負担を減らす
・手本をなぞって書かせる
・生活の中の具体物で数に親しむ
・筆算はマス目の入った用紙を使う
などが考えられます。
苦手さそのものを克服させようとするより、負担なく、補う方法を考えていくことが重要です。大人になれば、たとえば漢字が書けなくてもパソコンを使えればよいですし、計算は電卓を使えればよいのです。また、歴史上の偉人には、坂本龍馬やエジソンなど、LDではないかと言われている人がたくさんいます。活躍しているトム・クルーズも、「読み」の学習障害のために、マネージャーに台本を読んでもらって、それを聞いて覚えて演じているそうです。一番大切なことは、「出来ない自分はダメだ」と気持ちがくじけないこと、自信をなくさないで得意な能力を伸ばしていくことだと思います。
ヨコピーの子ども講座-「虫さされ」
気温が上がり始め、半袖や半ズボンの季節になると多くみられる「虫さされ」。虫にさされた所が赤くなったりかゆみが出たり、ひどい時はしこりや水疱が出来ることもあります。これは、「虫が血液を吸うときに自分の唾液を残すことで体がアレルギー反応を起こしたから」と言われています。反応が強く出るか弱く出るかはその人の体質にも関係します。
赤ちゃんも虫に刺されます。初めて刺されたときは赤くなる程度でかゆみやしこりができることはほとんどありませんが、何度か刺されるうちにかゆみのある反応が現れるようになります。
刺された場合、刺された場所を清潔にする、かゆみが強いときは保冷材などで冷やし虫さされ薬を塗ります。刺されたところをかきむしったり、絆創膏などで密閉しないようにしましょう(密封すると細菌が繁殖しやすくなります)。?き壊すと「とびひ」になります。ジュクジュクしていたり、腫れがひどい時は受診しましょう。
刺されないためには、虫よけグッズを活用し、虫がいそうな場所に行くときは長袖や長ズボンをはくなど工夫し、楽しい夏生活を送りましょう。
蚊が媒介する病気の一つに「日本脳炎」があります。予防接種で防げる病気です。本格的な夏が始まる前に接種することをお勧めします。
お知らせ
1. 間違い電話にご注意を!
「最近、当医院の番号を間違えてかける方が多くて困っている」というご連絡をいただきました。特に、市内局番をよく確かめてからおかけいただきますよう、ご協力よろしくお願いいたします。
当医院の電話番号は
TEL 34?0666です。
2. こあらBoxのご意見より
1階入り口の階段上にある、こあらBoxをご存知ですか?皆様の声を聞く投書箱です。最近いただいた投書では「スタッフの紹介を掲示してほしい」というご意見をいただきました。ありがとうございます。現在作成中ですので、楽しみにお待ち下さい。
その他、困っていること、こうしてほしいこと、スタッフのこんなことが嬉しかった(その反対でも・・)ことなど頂けると、スタッフの励みになります。いつでも、皆さんの声に耳を傾けたいと思っていますので、お気軽にお寄せくださいね。
編集後記
窓を開けていると、蛙の声が聞こえるようになりました。今月は「父の日」ですね。新聞に載っていたのですが、三重県の知事が育休をとるのだとか。子どもができる前の彼は、文京区の区長の育児休暇に、異議を訴えたそうです。来院されるお子さんの中にも、お父さんが積極的に関わっている方が大勢いらっしゃいますね。先日、「泣いたらどうすればいいの」と泣く夫を残し、1時間程出かけてみました。帰宅すると、部屋の中におもちゃや絵本が散乱していました。僭越ですが妻を代表して。「お父さんありがとう。」そして目指せ育メン。