院内報
こあら通信 第167号 March 2012
目次
・東京オリンピック
・発達相談室からの風景Q&A編No.10「片付けさせたい!」
・ヨコピーの子ども講座-「乳幼児のためのワクチン接種」
・お知らせ
・編集後記
東京オリンピック
寒さが続き、冬らしい冬を過ごしている気がします。しもやけで外来を訪れる子もちらほら。若いお母さんの中にはしもやけを見たことがない方も多いのですね。
今年はうるう年、オリンピックイヤーです。1964年、今から48年前にアジアで初めてのオリンピックが東京で開かれました。私は当時小学校6年生。小学校の体育の授業でテレビの前に集まり、いろいろな競技を観戦したのをよく覚えています。新幹線が開通し、まさに日本は豊かな新しい時代へ進み出した時でした。
こんなことを思い出したのも、1月に封切られた映画「ALWAYS 続・3丁目の夕日’64」を観てきたからです。東京オリンピックの時の情景が思い出され、ほんとうに懐かしい気持ちになりました。何もかも進歩して、生活はどんどん快適になっていく中で、どこまでも進歩が続くような錯覚に陥っていた時代でした。今になれば幻想だったと分かることも、その当時は真剣に信じて生きていました。それはそれで、希望に満ちあふれ、よい時代だったのだと感じます。
子どもは3歳までに「自己有能感」を育てることが大切です。おなかが空いて泣けばオッパイがもらえ、退屈で泣けば抱っこしてもらえるということの繰り返しが、望めば手に入るという気持ちを育てることにつながります。これが基礎となって、将来の生きる意欲を作るのです。大人にとっても1960年代はまさにこのような自己有能感を延ばしてくれた時代だったように思います。
年を取れば、すべてが思い通りにはいかないとよくわかりますが、若い時代には「何でもできる」という体験が必要です。でも、現代を生きる若い人たちは「何でもできる」という体験をしているでしょうか。物質的には閉塞感に包まれた今の時代、あきらめにも似た雰囲気が漂っているようにさえ感じられます。取り越し苦労ならよいのですが、有能感を持つためには少し発想の転換も必要な気がします。「幸せってお金持ちになるとか、出世するとか、そういうことだけじゃないんじゃないか。」という映画の中の言葉にあるように、心から幸せを感じるような体験を増やしてほしいと思います。
発達相談室からの風景No.10「片付けさせたい!」
A. 自分の部屋をずっと片づけずに、ホコリがたまっていたり、散らかって物をなくしたり。キレイ好きできちんとしている方は耐えられず、「ちゃんとしなさい!」と言いたくなってしまいますよね。
もともと片づけが苦手な子どもの中には、キレイにしたい、やらなくちゃ…という気持ちはあっても、そのゴールまで至るプロセスを思い描けず、どこをどうしていくことが「片づける」ことに繋がっていくのか、イメージできない子がいます。「段取りをつける」ことが苦手なので、要領も悪く、労力の割に作業が進まないため達成感が持てず、途中で嫌になってしまうのです。
こういったお子さんの場合は、取り組みやすいようにしてあげる必要があります。まず何をして、次に何をするのかというプロセスを分かりやすく書き出してあげるのもひとつの方法でしょう。たとえば、
①机の上の本を本棚に入れる
②机の上をぞうきんで拭く
③床の洋服をハンガーにかける…などです。
ひとつ終わるごとにチェックして○をつけてあげると、達成感に繋がります。また、もともと苦手なことなので、一度にたくさんの作業をすると、ますます嫌になってしまいます。一回の作業量を少なくしてあげたり、「今日は部屋のこの部分だけでいいよ」など範囲を狭めてあげたり、分類までは求めず、とにかく遊び道具はこの大きな箱の中に入っていればOKとしたり、そういった工夫ができるといいですね。
片づけに限らず、料理などの家事全般は、「段取りをつける」ことの練習になります。手伝いを通して身体で覚えていけるとよいと思います。
片づけが苦手というわけではないし、以前はきちんとしていたのに、最近はどうもダメで…という子どもの場合には、気持ちの要因が大きいのかもしれません。友だち関係で心配事があって神経を使っているとか、部活動や塾で忙しくなって気持ちに余裕がなくなっているとか、家の外で頑張っていると家の中でまできちんとすることができなくなることがあります。自分がホッとできる場所として、部屋では少しだらしなくしたり、寝たときに手に届く範囲に物を置いたままにしたりすることが、子どもなりの甘えだったり、疲れを回復するための癒しになっていたりする場合も考えられます。
このような状態のときは、「片づけなさい」といくら注意しても、「うるさい」「わかっている」と口答えされるばかりで、実行されないでしょう。「疲れているとわかっているよ」「ゴミだけ出せるときに出しておいて」「必要があれば手伝うからね」等の声かけをしておいて、あとは自分のタイミングを待つしかないときもあります。心に何か変化が起きて区切りがつくと、急に部屋を片づけ出すこともあります。部屋の様子を注意深く見ることは、子どもの心の状態の理解に繋がると言えるかもしれません。ただ、一定年齢以上の子どもの部屋を、断りなく勝手に片づけることは避けた方がよいでしょう。(杉崎)
ヨコピーの子ども講座-「乳幼児のためのワクチン接種」
乳幼児期には、病気に対する抵抗力が未発達です。そのため、様々な病気にかかりやすく、中にはカゼのように軽いものもありますが、かかると合併症により命を落としたり、後遺症を残してしまうものもあります。このような病気から守るためには予防が必要で、予防に有効とされているのが「ワクチン接種」です。
ワクチンは、病気を防ぐために必要な免疫をつけてくれます。接種する目的は、
①自分がかからないため
②かかっても症状が軽くすむため
③周りの人にうつさないための3つです。
では、接種をいつからスタートすればよいでしょう。生後2か月のお誕生からスタートです。1歳までに接種しなければならないワクチンは、任意のものも含めると7種類。何回か接種しなければならないものもあり、回数にすると17回以上にもなります。病気にかかる前にワクチン接種することが重要ですので、早期に開始しましょう。
そこで話題になった同時接種です。1種類ずつ接種しても大丈夫ですが、免疫が出来るまでに大変時間がかかってしまいます。病気は待っていてくれないため、早くから効果を発揮させる同時接種が行われています。メリットは、必要な免疫を早くつけることが出来る、予防接種スケジュールが簡単になり期間の短縮、保護者の来院回数が減るなどです。安全性や副反応も単独で接種した場合と変わりません。効率的・効果的に接種するため、同時接種を考えてみませんか?
お知らせ
1. 春休みのうちに予防接種を!
予防接種の受け忘れがないように、今一度母子手帳をご確認ください。特に、3月末までに接種しなければならないのは、MRワクチンです。
接種対象者は、①4月から小学1年生 ②現在中学1年生 ③現在高校3年生相当の年齢 のお子さんです。※小田原市在住の方(現在小学6年生・高校2年生)は、3月26日から前倒しして接種できます。また、日本脳炎ワクチン2期(9歳~)、2種混合ワクチン(11歳~)も接種し忘れがちです。対象年齢であれば、同時に接種できます。
※子宮頸がんワクチン・ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンは4月以降も公費で接種できます。
同時接種ご希望の方は、直接お電話ください。その他、スケジュール等ご質問あれば、お気軽にスタッフにご相談ください。
2. 医院の外壁等、修繕工事を行います
3月17日(土)~3月21日(水)まで工事予定の為、医院下の1階駐車場が一部使用できなくなります。ご迷惑おかけいたしますが、ご協力・ご注意の程、何卒お願いいたします。
編集後記
子どもの頃以来の寒さです。(つまり30年前!)隣家の白梅はまだ蕾さえ見せませんが、川沿いの桜の木は、うっすらと紫がかっています。厳しい寒さの中、春は少しずつ準備しているようです。卒園・卒業式を迎える皆さんも、きっと準備で忙しいでしょうね。体調を万全にして、当日をお迎えください。2ヶ月になった息子も、何だか準備をしているようです。寝かせていると横にのけ反ってウンウンやっています。色んな声を出しますが、「○※△~」と声をかけると「○※△~」と返しました。これからどう成長するのでしょう。楽しみです。