横田小児科医院

院内報

こあら通信 第164号 December 2011

目次

・人見知り
・発達相談室からの風景Q&A編No,7「偏食?食べるって楽しい!」
・ヨコピーの子ども講座-「乳腺腫大・乳房腫大」
・お知らせ
・編集後記

人見知り

 今年もあと1カ月となりました。東日本大震災に始まり、9月の台風12号など自然災害の怖さを身にしみて感じた年でした。災害への備えが大切なこともよくわかりましたが、大自然の力の前には人の力はあまりにも微力です。そんな自然の中で私たち人間が生きているということも、忘れてはならない大切なことだろうと思います。

 そのさなかにも、社会の変化にはお構いなしに子どもたちはどんどん成長しています。我が家の孫も先日 1歳の誕生日を迎えました。いろいろ病気もしましたが、体格も大きくどこへでも上手に歩くことができるようになってきました。愛想が良くて、誰にでも笑うし、抱っこされてもだいじょうぶというのが特技です。

 この時期には人見知りが強い赤ちゃんも多く、外来の診療でも悩まされることが多いのですが、人見知りは赤ちゃんによって様々です。それまでは優しくしてくれる人なら誰でもよかったのが、他の人とお母さんや家族との区別がつくようになり、他の人に会うと不安そうな顔をしたり、泣き出したりするのが人見知りです。正常な発育のどの子どもにもあることなのですが、お母さんとの間に築かれた絆がまわりの人にひろがってゆくと、次第に人見知りは治まっていきます。

 「診察するときに子どもが泣くようでは一人前の小児科医とは言えない」と言った小児科の先輩もいるようですが、「泣く子と地頭には勝てない」というのが本当の所でしょう。「怖いお兄さんと1歳頃の赤ちゃんは、じっと顔を見てはいけない」と小児科の実習でも教わりました。しかし、どんなにひどい人見知りも、赤ちゃんとお母さんのコミュニケーションがきちんと取れていれば、必ず落ち着いてきますので、安心してください。

 時にはぜんぜん人見知りしないので心配…というお母さんもいますが、よく見ると「この人誰だろう?」という表情をするのが分かることが多く、泣かなくても人見知りをしていることが分かります。大きくなっても人見知りが強い人も少なくありません。それは個性なので仕方ありませんが、一度しかない人生ですからより多くの人と仲よくなりたいものです。来年もまた新しい友達ができますように。

発達相談室からの風景

Q&A編No.7「偏食?食べるって楽しい!」
Q.2歳半です。偏食がひどくて困っています。

A. 約20年ほど前(!)になりますが、私が初めて子育てをした保育園では、給食室の先生たちが子どもたちに素材のおいしさを伝えようと心を配っておられました。離乳食の「試食会」で、だしで煮た蕪を食べさせてもらい、新米母ちゃんはそのうまさに驚愕いたしました。今でいう「食育」を、新米父母に施してもらっていたのですね。

 結論から言うと、子どもの偏食はそれほど気にする必要はありません。まわりの大人たちや、クラスのお友達が、野菜でも何でも、おいしいおいしいといってパクパク食べていれば、(そんなものかな?)と、なんとなく食べ始めてしまうものです。逆にいえば、大人が「食べる」ことに興味がなかったり、食事前のおやつやジュース、牛乳でおなかがいっぱいで食べられなかったりする場合には、少し生活全体を見直す必要はあるかもしれません。ですが、そうでなければ、少々「いや」と言ったからといって、「うちの子はこれ嫌いだから」「食べないから」と食卓に出さないのではなく、またタイミングを見て何度か出してみるとよいでしょう。

 いきなり調理されたものが出てきて、なんだか分からなくて拒否したとしても、家庭菜園で自分でミニトマトを収穫したり、スーパーで人参をかごに入れたり、キュウリを洗ったり、キャベツをはがしたり、玉ねぎの皮をむいてもらったりして、「○○ちゃんが選んでくれた人参さん、おいしいね」「これ、洗ってくれたキュウリだよ、ぱりぱりいってるね」など、調理のプロセスに「お手伝い」として関わってもらうことで、その素材や料理に興味が向いて、食べてみようとする事もあるでしょう。お父さんと釣りに行って、お魚を焼いて食べた!なんて経験ができたら素敵。ですが、そこまででなくても、例えば、ゆで卵を切ったら、中から黄色い黄身が出た!という驚きと喜びであっても、子どもと一緒に「味わえたら」、毎日が楽しいですよね。

 とはいえ、中には、色やにおい、味や食感に敏感な感覚を持っている子どもたちもいて、緑の物は「絶対に」口にしない!という、つわものもいるでしょう。1歳くらいまでは何でもよく食べていたのに、という相談もよく聞きますが、それまでは見分けがついていなかった食事の素材にまで、注意が向くようになったのだ、という育ちの姿でもあります。シチューやお味噌汁などに混ざっていると食べられる子もいれば、混ざるとダメだけど、単体なら安心して食べられる、という子もいます。自閉的な傾向があって、例えば「白ごはんしかダメ!」というような非常に強い偏食のある子どもでも、ある程度、何かしらで栄養が取れていれば、育ちとともに緩和してきますので、生活リズムの改善ははかりつつも、無理やり食べさせるような偏食指導はしないのが、最近の主流です。

 調理方法、食べる場所などを工夫しながら、まずは大人たちが楽しく食事を味わえる環境を作り、そこに子どもを巻き込んでしまいましょう。

ヨコピーの子ども講座-「乳腺腫大・乳房腫大」

 じんま疹は、突然強い痒みをともなって出てきます。皮膚が虫に刺されたようにミミズ腫れのように盛り上がるものから、小さなふくらみだけのものまで様々です。大部分は原因がみつけられず、血液検査も役に立ちません。風邪など、体調が悪い時にも起こりやすいことが分かっています。

 治療方法としては、抗アレルギー・抗ヒスタミン薬などの飲み薬を中心に、かゆみを沈める抗ヒスタミン薬入りの塗り薬などが処方されることもあります。じんま疹が出ている時は刺激の強い食べ物(カレーやキムチなど辛いもの、チョコレート)は避けてください。体が温まると増えることが多いので、入浴は熱いお風呂は避けてシャワーだけにし、体もこすりすぎないようにしましょう。激しい運動も避け、部屋も暑すぎないようにしてください。体調の悪い時は無理をせず体を休ませましょう。それでもかゆみが強い時は、冷やしたタオルを当てるとやわらぎます。汗で濡れた下着なども刺激になるので、汗をかいたらこまめに取り替えましょう。

 出たり消えたりを繰り返し、いつの間にかひいていることがほとんどですが、症状がある時は受診してみましょう。病院に来ると消えていることもあるので、携帯などで画像に残してから受診するのも一つの方法です。

お知らせ

1. 年末12月28日(水:午後)〜年始1月5日(木)まで休診いたします。

 12月28日(水)は午前のみ診療いたします。休診の間は、休日夜間診療所、又は他の医療機関をご利用ください。

2. ロタウイルスワクチン追加情報 ※11月号とあわせてご参照ください。

料金:¥13,500/回(飲む回数は2回です)

予約方法:受付に直接ご連絡ください。(webでの予約はしておりません)

その他:ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎ワクチンとの同時接種が可能です。生後24週までに2回終了させる為に、ロタウイルスのみの単独接種は行っておりません。

3. B型肝炎はワクチンで予防できる!

子どものB型肝炎は、母子(父子)感染や輸血などにより感染することが多いのですが、感染経路がはっきりしない事もあります。3歳以下の子どもが感染すると、慢性肝炎になり長期にわたる治療が必要です。更に重症化すると肝硬変や肝臓がんになることもあります。全世界では、約3億人の感染者、それによる死亡者は年間約60万人、日本では、約100万人の感染者がいるといわれています。大人では、性交渉により感染するケースが多いといわれています。

接種年齢:2ヶ月〜(年齢によって接種量が異なります)

接種間隔:1回目→2回目(4週間あける)→3回目(20〜24週間あける)

接種料金:¥5,000/回

4. 予約時にお願いがあります。

最近、受付時に「予約をとっていない兄弟の診察も」と希望される方が増えております。あまり増えると、待ち時間が長くなり、他の患者様のご迷惑となります。

緊急の場合を除いて、予約をとる際お子さん達の様子をよくみてからご予約をお願いいたします。皆さんに気持ちよく受診して頂く為に、ご協力お願いいたします。

編集後記

駅のホームで、ふと花の香りがしました。見ると桃紅色の山茶花が咲いています。さざんか、さざんか咲いた道・・と呟くと木枯らし吹く寒い季節を呼び起こしますが、暖かい日が続いています。いつもと違う時間を過ごす中で、何気ない会話の一つ一つが大切に思えるようになりました。忙しさを理由に見逃しやすくなりますが、私達にとって日常茶飯事の事は、皆さんにとって非日常であることを再認識します。今年をまた反省し、来年もまたよろしくお願いいたします。よいお年を!

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