横田小児科医院

院内報

こあら通信 第158号 June 2011

目次

・放射線被爆
・相談室からの風景 「Q&A」編 No.2 「言葉が遅い」
・ヨコピーの子ども講座-「頭シラミ」
・お知らせ
・編集後記

放射線被爆

 大震災から2ヶ月を過ぎ、子どもを持つ保護者の関心事は放射線被ばくに移ってきました。遊び盛りの子どもたちを外で遊ばせてよいのか、屋外プールに入ってよいのか、など日常生活の不安が募っています。

 様々な報道や意見があって、私たちは判断に悩まされています。そんな中、日本小児科学会が「東京電力福島原子力発電所事故が小児に与える影響についての日本小児科学会の考え方」を5月19日に発表しました。日本小児科学会のホームページで誰でも見ることができます。子どものことを第一に考える学会が出したものとして、現時点での正当な意見と考えてよいかと思い紹介します。

 これによると被ばくの世界平均は年間2.4ミリシーベルトであり、地方によっては10ミリシーベルトを超える地域もあります。これが1000ミリシーベルトを超えるとがん発生の確率が1.5倍に増加するとされていますが約150ミリシーベルト以下の原爆被ばく者のがんの頻度の増加は確認されていないと書かれています。

 被ばくには、大気中に放出された放射性物質により体外から受けるものと、飲料水、野菜や牛乳などの食品や大気中に含まれる放射性ヨウ素やセシウムなどを食べたり飲んだり呼吸したりすることで体内に取り込んだものから受けるものがあります。国は1年間の被ばくを1-20ミリシーベルトの範囲に抑えるという基準のもとに様々な規制を行っています。これに従えば大きな健康障害が起こる可能性は少ないと考えてよさそうですが、20ミリシーベルトという値の根拠は希薄であり、国は更なる調査と慎重な対策をとるべきだと日本医師会は指摘しており、小児科関係の団体もこれに賛同しています。

 日常生活で子どもの被ばくを減らすには、屋外での活動後に手や顔を荒いうがいをする、土や砂を口に入れないようにする、入った場合にはよくうがいをする、屋内に入るときに靴の泥をできるだけ落とす、土ぼこりが多いときには窓を閉めるなどの対策をとることを勧めています。また、赤ちゃんに母乳を与えることにも問題はありません。しかし、将来の長い子どもたちについては不安が残るので、国や自治体のいっそうの慎重な取り組みを希望したいと述べられています

相談室からの風景 「Q&A」編 No.2 「言葉が遅い」

Q. 2歳になる男の子です。言葉が遅いのではないかと気になっています。どこかに相談した方がよいでしょうか?

A. 子どもが言葉を話すようになるのは、個人差も大変大きいのですが、おおむね1歳ごろに、「パパ」、「ママ」、「わんわん」など数語を話し始め、1歳半ばごろに、語彙が爆発的に増えてきて、2歳ごろから少しずつ、「パパ、会社」「ブーブー、ない」など2語文になっていきます。3歳ごろには、「お名前は?」「好きな食べ物は?」といった質問に答えるような、会話が成立し始めてきます。言葉の遅れに関しては男の子の相談を受ける事が多いのは確かですが、性別に関わらず、遅い子もいれば早い子もいますので、まずは子どもがどのようにコミュニケーションをしているか、じっくり観察してみましょう。

 発語自体が少なくても、こちらの言っている事をよく理解していて、「これ兄ちゃんに持ってって」「(ごみ箱に)ポイしてきて」など簡単な指示に従うことができ、自分が言いたい事も「ワ、タ!(わんわん、いた!)」など、簡単な発語を使ってジェスチャーや指差しと共に目を見て伝えてくるようであれば、それほど心配しなくてよいでしょう。言いたい事を先回りするのでなく、本人からの訴えを待ったり、同年齢の子どもと遊ぶ場を作ってあげることで、少しずつ出てきます。

 よく理解しているのに、極端に理解語の数が少なかったり、こちらの顔を見ているときでないと指示が入りにくい、といった場合は、耳の聞こえが悪い場合もありますので、一度、専門医で診てもらうとよいでしょう。

 はっきりした発語がなく、話しかけてもこちらに興味を持たない、目が合いにくく、マイペースで一人遊びが多い、バイバイや指差しがなく、「ちょうだい」に応答をしない、絵本に興味を示さないなど、言葉以前のコミュニケーションそのものが取りにくい場合には、早めに保健センター等で相談を受け、適切な教室や療育などで、対人関係の基礎を育てる取り組みを始めるとよいでしょう。保健センターで実施している2歳児歯科相談に、心理相談を受けられる機会を用意している自治体も増えていますし、そうでなくても、心理相談ができる日程を調整してくれます。

 また、語彙はたくさんあるのに、「オウム返し」や、関係ない場面でブツブツ言っている事が多く、コミュニケーションにならない、落ち着きがなく、興味がある事なら通じる時もあるけれど毎回ではない、気に入らない事があるとかんしゃくがひどい、などの気になる様子がある場合も、一度、相談してみるとよいでしょう。

 お家では、1日に10分程度でも構いませんので、TVを消し、じっくり遊んであげて下さい。マテマテと追いかけっこをしたり、カーテンの後ろに隠れて「イナイイナイバー」をしたり、本人が興味を向けた所に「電車、あったね」と声をかけたり、積み木を一緒に積んで「あー、倒れちゃったー」と共感したり。「人と関わる事が心地良い」という体験をたくさん積んで、「ことばの根っこ」を豊かに育てていきましょう。 

ヨコピーの『こども講座』「頭シラミ」

 シラミはニンゲンに寄生する寄生中の一つで、いくつかの種類があります。なかでも、頭シラミは保育園や幼稚園、小学校などで集団発生することがあります。成虫は体長2~4㎜で、毛髪に寄生し頭皮から吸血するために、頭のかゆみや湿疹を起こすことがあります。毛髪の生え際から数㎝のところに白っぽい卵(0.5㎜の楕円形)を産みつけます。この卵は毛髪にしっかりとくっついて取れにくく、フケとは簡単に区別ができます。約1週間で孵化し、幼虫は3週間で3回脱皮して成虫になります。成虫の寿命は1~1.5ヶ月で、1日約5個の卵を産みつけます。頭から離れたシラミは数日間生き続けることができます。

 感染は、頭の接触、ロッカーや脱衣カゴの使用、寝具やタオルの共有などでうつり、学校や園でのプールの開始時間と関係があります。

 治療は市販されているスミスリンシャンプーを使います。家族全員で一斉に治療することが効果的です。

 卵、幼虫、成虫は55℃以上の温水で5分間処理すると、100%殺虫できるので、使用したシーツ、布団カバー、タオルなどを熱湯につける、アイロンをかける、あるいはドライクリーニングをすると、駆除ができます。駆除すれば虫はすぐにいなくなります。園や学校を休む必要はありません。

お知らせ

1.6月10日(金)午後の診察はお休みです。

 横田先生外出のため、午後の診察は休診となります。午後の診察ご希望の方は、9日木曜日、または13日月曜日午後にお願いいたします。

2.6月14日(火)午後は金先生の診察です。

 午前から横田先生外出のため、午後は金先生の診察になります。金先生は東京大学病院の先生です。

3. 横田小児科スタッフの似顔絵募集中!

 来年の日本外来小児科学会のパンフレットに、お子さんに医院のスタッフ(先生、看護師、その他スタッフ)の似顔絵を描いてもらい、表紙にのせようと計画しております。ご応募お待ちしております!※6月10日締め切りです。

編集後記

雨上がりの新緑がまぶしく目に映ります。今年は早い梅雨を迎えました。大事な季節の一つですが、毎年この時期の過ごし方には悩ませられます。先月、「発達障害」についての勉強会に参加してきました。いわゆる「困ったちゃん」は、本当に「困った子」なのでしょうか?彼らには彼らしか見えない世界の中に住んでいて、私達が付き合い方を知らないだけであり、彼らもまた私達との付き合い方がわからないだけなのかもしれません。知ること、理解すること、そしてどうしたらお互いが幸せに暮らせるのか、難しい問題ですが、良い関係を築きたいものです。

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