院内報
こあら通信 第189号 January 2014
目次
・子育て
・お薬のはなし「薬がキライ」
・ヨコピー講座「感染性胃腸炎」
・お知らせ
・編集後記
子育て
新年明けましておめでとうございます。今年は午年。新しいことにも取り組んで跳躍の年にしたいと思いますので、よろしくお願いします。
11月に長女が2番目の男の子を出産し、年末まで5週間余り小田原に里帰りをしていました。生まれたての赤ちゃんが日に日に体重が増え、しっかりみつめるようになり、自己主張するかのように泣くのを目の当たりにするのは、ほんとうに面白いものものです。自分の娘たちの時には気づかなかったこともあり、余裕を持って赤ちゃんと接することの大切さを感じたりしました。
そして何よりも驚いたのは3歳になった長男です。言葉も達者になり、運動能力も向上しているのですが、何とも気分の変動が大きく、乱暴で反抗的です。天使と悪魔を行ったり来たりという感じなのです。娘3人を育てましたが、やはり男の子は違います。もちろん今まで何度も遊びに来ているのですが、どんなにたいへんでも数日で帰ったので笑っておしまいでした。でもこれだけ長期間滞在していると、育てる人の苦労が身にしみて判った気がします。
私が小さい頃はほんとうに悪い子でたいへんだった・・と両親に言われたことを思い出します。父に怒鳴られたり、押し入れの中に閉じこめられたり、お尻を叩かれたりしたことが記憶の中に残っていますが、この孫をみていると、そうされたのもしかたなかったのではないかと思ったりもします。「たたかない子育て」や「テレビやパソコン、スマホに子守りをさせない」ことが大切なことはよくわかりますが、子どものことでイライラしても、保護者がそれを上手にやり過ごせるような精神状態でいることが、何よりも大切なのだろうと感じます。
私たちは時間に追われていたり、やらなくてはならないことでがんじがらめになっていたりします。そのような状況では、やんちゃな子どもたちをじょうずに育てるのはなかなかたいへんです。でも、子どもらしさがしっかり保証されるような子育てこそが大切なのだと思います。子ども子育て会議が開かれ、子育て支援を進める政策が始まりましたが、小手先の対応ではない、本当の支援が行われるよう期待しています。
お薬のはなし「薬がキライ」
薬局で薬の説明をしているときに保護者の方から「薬が嫌いな子供が薬を飲めるようになる方法ってありますか?」と聞かれることが多々あります。答えは「どんな薬嫌いな子でもすぐ飲ませられる上手い方法なんてありません。残念ながら・・・」です。
何年か上手い飲ませ方ってないだろうか探してきました。横田先生が会長をされた外来小児科学会に毎年、参加させていただいて全国の小児科にかかわる先輩薬剤師の方に聞いても「誰もがすぐ飲める方法はない」というのが結論です。
ただ、簡単な方法はなくてもアドバイスは出来ます。がっかりせずに続きをお読みください。
まず、皆様に知っていただきたいのは、薬は嫌いな子の方が多いということです。薬はお菓子や料理ではありませんので、けっしておいしい物ではありません。はっきり言って不味いです。(中には美味しいと言って飲んでくれることもありますが・・)
そう言う訳で、薬が嫌いな子の方が普通なのです。そして、薬が嫌いで飲めない子は決して悪い子ではありません。薬剤師側から見ると、薬が嫌いな子は、どうにか飲ませてあげたいと頑張らなければいけないやりがいのある子であります。他にも、その辺に薬を放置していても勝手に薬を誤飲しない安全な子です。(なんて良い子なのでしょう!)
忙しいなか薬を飲ませなければならない保護者の方にとっては大変だろうと思いますが、飲めなかったことを怒って無理やり飲ませないでください。つい、いらいらして怖い顔になってしまった人から無理やり意味の分からない物(薬)を飲ませる。トラウマになりそうです。そして無理やり飲ませた次の薬の時間はより強い抵抗をしてもっと無理やり飲ませなければならない。抵抗はどんどん大きくなり薬が本当に飲めなくなってしまいます。
話がある程度理解出来る4歳児以上の子の場合は説得してみましょう。何で飲まなければいけないのかを伝えましょう。そのためには飲ませる人が飲ませる理由を理解しましょう。
なんで飲みたくないのかも聞いてあげてください。嫌な理由が分かれば手段も少しならあります。他にも薬を飲んで元気になったら何がしたいか聞いてあげると頑張れるかもしれません。
「うちの子、薬が飲めないんです!」と言われる保護者の方がいますが、能力的には薬が飲めない子は、ほとんどいないと思います。薬を飲まない子が多いのです。(何かの理由で・・・)
どんなに良い薬を先生が処方されても、その薬を正しく薬局で作り、飲ませ方を説明しても薬を飲ませるのは保護者の方です。お子さんの治療の最終段階は保護者の方にかかっていると言っても言い過ぎではないと思います。
しかしながら、もっと頑張ってくださいとは言いません。もう、十分頑張っていると思いますので少し肩の力をぬいて一緒にその子に合う飲ませ方を考えていきましょう。
薬剤師として出来るかぎり頑張りたいと思います。
齋藤栄二(あおば薬局薬剤師)
ヨコピー講座「感染性胃腸炎」
寒さが本格的になり、冬の胃腸炎(吐き下しのカゼ)が流行してきました。
胃腸炎の原因は細菌性(病原性大腸炎、カンピロバクタ)とウイルス性(ノロ、ロタなど)があります。ノロは11~1月、ロタは2~4月が流行のピークになります。胃腸炎の症状は主に嘔吐、下痢ですが発熱することもあります。嘔吐は半日から長くても1日でよくなりますが、下痢は長引くことがあります。
嘔吐や下痢が続くと水分が失われやすいので、吐き気が落ち着いたら経口補水液(OS-1)や湯冷まし、麦茶などを与えて水分を補給しましょう。一度に多く与えると吐きやすいのでスプーン1杯程度を5~10分おきに飲ませます。食事は無理に食べさせなくてもかまいません。吐き気が落ち着き、水分がとれるようになったら、消化吸収がよく水分補給もできるおかゆやうどんを取り入れましょう。ぐったりして水分を受け付けない、尿が半日以上でないときは受診しましょう。
吐物・下痢便の中にウイルスが多量に含まれています。少量のウイルスが体にはいっただけで感染しますので塩素系の消毒薬でふき取るとよいです。アルコールは効果がありません。
お知らせ
1. 靴の履き間違いにご注意ください
診療が混み合ってくると、「私の靴がない!」という事件が度々起こります。お帰りの際、つい急いで気づかないこともあると思いますが、お間違えのないようにご協力ください。
目印として、洗濯バサミに何かをつけた(イニシャルやマスコットなど)目立つご自分専門のアイテムを靴につけておくといいかも・・?間違い防止策としていかがでしょうか。
2. 看護学校の実習生がきます
地域医療の育成の一環として、度々実習生を受け入れています。忙しい時期になりますが、皆様のご理解とご協力宜しくお願いいたします。
編集後記
明けましておめでとうございます。今年は午年ということもあり、ダーラナホースをイメージして壁飾りを作りました。本物はスウェーデンの木工細工で、木製の馬に華やかな飾りが描かれています。ダーラナホースを贈られた人、贈った人にも幸せが訪れるそうです。皆さんにも私にも幸せな年になりますように! さて、今月より短期連載で、あおば薬局の薬剤師さんのコラムが始まりました。薬を飲ませるのが大変!と困っていらっしゃる保護者の方のよい読み物になれば幸いです。お薬先生の優しい眼差し、今回改めて再認識しました。