横田小児科医院

院内報

こあら通信 第154号 February 2011

目次

・幼児の食生活
・動物のお医者さんに聞く「ペットと暮らす」〜イヌとネコとヒトと〜
・「肌カサカサ」
・予防接種情報
・編集後記

幼児の食生活
 西高東低の冬特有の気圧配置が続き、日本海側では相変わらず大雪が降っています。インフルエンザの流行もそろそろピークを迎えているようですが、この後のスギ花粉症の重症化も今年は懸念されます。規則正しい生活で、体力を落とさないよう気をつけてください。

 日本医事出版社という小児科領域の本を作っている会社から「幼児の食生活」という本をいただき、読んでみました。幼稚園や保育園の家庭教育学級の講師を頼まれることがあり食事に関する質問もたくさんいただくのですが、いろいろと勉強になった一冊でした。

 「好き嫌いが多い」「噛まない」「食事に時間がかかる」など食べ方の問題や、サプリメントやコーヒーなどの嗜好品に関する質問にも的確な答えをみつけ出すことができました。離乳食までは厚労省が作成しているガイドラインがあって指標が示されていますが、幼児期になるとそれに相当するものがありませんので悩みもなかなか解消されません。

 食生活は個人差が大きく、生活文化の一部なので細かく決めることが難しいのです。しかし、食事の習慣は一生を左右する大切なものでもあります。この本に貫かれている姿勢は「楽しく食べる」ことこそ幼児食で最も大切なことだということです。「生活が貧しい時代のほうが食べることが楽しみで、豊かになったら食事を楽しめない」という言葉が出てくるのですが、確かに今子育てをしているご両親の時代はすでに飽食の時代であり、自分自身が食事を楽しむことをじゅうぶんに体験していない方も多いのではないかと思います。

 私が幼稚園の時代、まだお菓子の種類も少なく、簡単に買うこともできなかったのですが、たまに母がおやつに作ってくれた揚げ菓子の味は未だに忘れることができません。今の子どもたちはそのような思いをして育っているでしょうか。

 食事は成長や活動に必要な栄養を摂るという大事な目的がありますが、栄養失調などなくなったこの時代に、人生をより楽しく生きるために必要なのが食生活だと思います。まずは家族そろって、楽しく会話しながら食べる食事を復活させることから始めなくてはならないと思います。
動物のお医者さんに聞く「ペットと暮らす」〜イヌとネコとヒトと〜

 ヒトとイヌとネコとでは、体つきや体の動き方にそれぞれ特徴的な点が見られます。ヒトは、数百万年前という想像もつかないほどの昔から二足歩行をするようになり、両手を自由に使うようになったので、進化の過程で、物をつかんで操るという細かい動作ができるまでに、手先が器用になりました。また、イヌと異なって鎖骨があり、肩の関節が比較的自由に動きます。

 イヌは、短距離から割と長い距離まで、速く走ることができますが、ブロック塀の上や平均台の上では、歩くことすらままなりません。そもそも、そういった細長い台に自力で昇ることがありません。

 このように、イヌは平面的な移動が得意で、ヒトと一緒に暮らす場合には、体格が小さくて室内で十分に運動できるイヌを除けば、毎日散歩に連れ出されなければ不満を募らせてしまうかもしれません。運動不足でフラストレーションがたまると、むやみに吠えたり、乱暴になったりします。

 一方、ネコは、身軽で、体が柔軟で、垂直方向の移動を得意としています。屋外では、身長の倍以上の高さのブロック塀に跳び乗ってその上を歩いたり、木登りをしたりするのが好きです。したがって、ヒトの家の中で暮らす場合には、ネコが跳び乗れる台が柱のてっぺんや途中についている「キャットタワー」が用意されていないと、机やたんすの上に跳び乗って、そこにあった物を床に落としてしまうおそれがあります。ネコがいる部屋には、キャットタワーを設置したり、タンスの上に物を置かず、自由にそこに登れるようにするといいでしょう。

ヒトとイヌとネコとでは、食性も異なります。俗に「ねこまんま」と称される料理がありますが、ネコはほぼ完全な肉食動物で、ヒトが食べるような穀物や野菜は必要としません。これは、数千年の昔、ヒトの穀物貯蔵庫で、ネズミによる盗み食いから穀物を守る任に就いたゆえんです。

 イヌは肉を好んで食べますが、ヒトに近い雑食性で、この点で「ねこまんま」の実体は「いぬまんま」であると言えるでしょう。

 ただし、ネコもイヌも、ヒトが摂るほどの塩分は不要で、ヒトと同じ味付けは体に害をなすおそれがあるので、ヒトの食事をネコやイヌにおすそ分けするのは控えるべきでしょう。塩分の多い食事は、腎臓や心臓に良くない場合があります。

 次回は、ヒトとイヌとネコの共通点について述べたいと思います。

協力:あおのペットクリニック
 木村政治先生著/院長青野浩之先生

 あおのペットクリニックは、横田小児科から小田原方面斜め向かい(約1km先ですが)にあります。

「肌カサカサ」

 皮膚が乾燥するのは、皮膚の一番外側にある角層の水分が少なくなるからです。カサカサした皮膚はやがて痒くなる原因にもなります。もともと子どもの皮膚はカサつきやすいのですが、アトピー性皮膚炎ではそれが一層ひどくなります。しかし、汚れは落とさなければなりません。入浴は石けんをよく泡立てて、手のひらでやさしく洗いましょう。ゴシゴシこすったりするのは禁物です。洗い終わったら、石けん分が残らないよう十分洗い流し、柔らかいタオルで軽く押し当てるようにして水分を吸収させましょう。また、熱いお湯に長くつかっていると、体があたたまりすぎて、かゆみが強くなりますので注意が必要です。お風呂上がりの、肌がまだしっとりしているうちに、保湿剤やぬり薬を塗ると効果的です。

予防接種情報

1. MR(麻しん風しん)ワクチンは済みましたか?

 年長さん、中学1年生、高校3年生に該当する年齢の方は、公費で接種できます。3月末が締め切りとなりますので、お忘れの方は早めに接種しましょう。

2. ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンが4月から無料に!

 乳幼児の髄膜炎を予防するワクチンですが、4月より無料で接種できる予定です。まだ確定した情報が入っていませんので、詳細についてはスタッフまでお問い合わせ下さい。

3. 子宮頸がんも公費接種に!

 今年1月に入り、足柄上郡(南足柄市他)で中学生から高校1年生の年齢の方を対象に公費接種が始まっています。(※自治体によって対象年齢が異なります。)小田原市は2月14日から高校1年生が無料で接種できるようになります。未確定の情報もありますので、詳細についてはスタッフまでお問い合わせ下さい。

編集後記

あっという間に1月が去っていきました。例年より、寒く乾燥しています。そのせいか?インフルエンザも今年は流行しております。園や学校が始まってから、爆発的に多くなりました。「肌カサカサ」も今年は多いようにみられます。私も今年は保湿剤が手放せません。
花粉症も今年は早いし多いし・・と、なんだか散々な話になってしまいますが、良い情報も入ってきました。ヒブや肺炎球菌、子宮頸がんワクチンが無料になります。対象外の方もいらっしゃいますが、次世代の為により良い環境を築いていきたいですね。

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