院内報
こあら通信 第153号 January 2011
目次
・お正月
・動物のお医者さんに聞く「ペットと暮らす」〜イヌとネコとヒトと〜
・マイコプラズマ肺炎」
・インフルエンザシーズン
・編集後記
お正月
卯の年を迎えました。中国の古い書物によると「卯」は草木が地面を蔽うようになった状態を表し、後に覚えやすくするために動物のうさぎが割り当てられた…とウィキペディアに書かれています。日本の子どもたちがおかれている状況をみると、子どもたちは健康な大人に成長するための良い環境の中で育っているとは言えないような気がします。今年の卯年に、子どもを大切にする機運が世の中全体に拡がることを期待したいと思います。
私が子どもの頃、お正月は1年の中でも最大のイベントでした。年末には大掃除をして、紅白歌合戦を見ることに決まっていました。こたつの中に入って、みかんを食べながらテレビを見たことを思い出します。気持ちの良さに眠くなって、除夜の鐘を聞くことができないまま眠りについたことが常だったように記憶しています。
元旦の朝には風呂に入り、母が用意してくれた新しい下着に着替え、いつもより奇麗な洋服で過ごしたものです。朝食はおせちと雑煮。栗きんとんが大好きで、ちびりちびり大事に食べたものでした。
正月2日には必ず東京深川の父の実家へ出かけました。車が好きだった父の運転で、家族5人が乗った車は旧東海道(国道1号線)を東京へ向かいました。東名高速などなかった時代ですから、時間もかかり疲れる旅でしたが、箱根駅伝にも何度か出会うことがありました。
兄弟の多かった父の実家にはたくさんの親戚が集まり、「あけましておめでとうございます」の挨拶をきちんとするよう言われました。集まった親戚からお年玉をもらい、たくさんの従兄弟たちで大いに遊びました。この頃の影響で、今でも「いとこ会」なるものを毎年開催していますので、親達には感謝しなければなりません。
最近はお正月といっても、ふだんと変わらないような気がします。子どもたちはどんな気持ちでお正月を迎えているのでしょうか。日常の生活が豊かになった分、お正月というイベントがあまり意味のないことになってしまったようにも感じます。それは悪いことではないのかもしれませんが、心を育てるために大切な「何か」が失われてしまったようにも思います。
動物のお医者さんに聞く
「ペットと暮らす」
〜イヌとネコとヒトと〜
一般にイヌやネコは、寿命がヒトよりもかなり短いことが知られています。これはイヌやネコの加齢のペースが、ヒトよりも格段に速いということでもあります。
ヒトの子がいる家庭に、ペットショップからイヌあるいはネコを迎えたとしましょう。やってきたイヌあるいはネコは、乳離れして間もないでしょうが、ほどなく乳歯から永久歯に生え変わり、ヒトの子の成長段階を追い抜いて、1年もしないうちに繁殖能力を持つまでになり、子だったヒトが成人に達する頃には、一生を終えるでしょう。
この間、感受性が強く、多くのことを学ぶ時期にあるヒトの子は、イヌあるいはネコというわれわれヒト以外の動物とも仲良く遊ぶ楽しみを覚えるでしょう。そして、そのイヌあるいはネコが運悪く怪我をしたり病気にかかったり、老齢になって体が弱ってきたりした場合には、心配もするでしょうし、最期のときを見守ることもあるでしょう。
こうした経験がヒトの子の情操の発達になにがしかの良い影響を与えるであろうと期待する人達もいるようです。
さて、先月号では、ヒトがイヌやネコと暮らし始めた経緯には、狩りが関係していたことを紹介しましたが、狩りのスタイルには違いがあり、ヒトやイヌは集団で獲物を追い、ネコは単独で獲物を狙います。
しかし、いずれにせよ、現代日本においては、狩りをするヒトはごく少数に限られるのに対し、イヌやネコは、ヒトと一緒に家の中に暮らして、ヒトから十分に食べ物をもらっていても、狩りをしたいという欲求を本能的に保持していて、家の中に侵入した虫やネズミ等を捕まえようとすることがあります。場合によっては、狩りの欲求が強いのに、家の中にいて狩りの機会が少なすぎるせいで、いらいらして、ヒトとの仲がぎくしゃくすることさえあります。
われわれヒトは、家の中で狩りをしたイヌやネコをむやみに叱ったりせず、ボールを投げてそれを追いかけさせたり、目の前で動くおもちゃに跳びかからせたりといった、狩りを模したような行為をさせることで、一緒に暮らしているイヌやネコが不満を溜め込まないように努めることが必要となるかもしれません。
協力:あおのペットクリニック
木村政治先生著/院長青野浩之先生
あおのペットクリニックは、横田小児科から小田原方面斜め向かい(約1km先ですが)にあります。
「マイコプラズマ肺炎」
最近ニュースなどで耳にする「マイコプラズマ肺炎」。この病気は、「マイコプラズマ」という微生物による感染です。初秋から冬に多く見られる傾向があり、職場や集団生活などヒトの集まる場所で流行します。幼児から学童期、若年成人に多いと言われています。感染している人の咳(飛沫)によって感染しますが、感染者と接触してもすぐ症状は現れず、通常2〜3週間の潜伏期間をおいて症状が出てきます。まず発熱から始まり(発熱せず微熱のこともある)、1,2日遅れて咳がでてきます。熱が下がっても咳だけが続き、だんだんと咳が強まってきます。乾いた咳(コンコン)から、徐々に痰がらみの咳になることが多いのですが、症状だけからの早期診断は難しく、最初は風邪と診断される事も多いです。咳はなかなか改善せず長引き、頑固な乾いた咳が早朝や夜間に強くなる傾向があります。治療は、抗生物質の投与と自宅での安静が主です。
「肺炎」と聞くと恐いイメージがありますが、軽い場合がほとんどです。あまり怖がらず、咳が苦しい場合は早めに受診しましょう。
インフルエンザシーズン
1月に入り、インフルエンザの本格的な流行シーズンになりました。3月までのシーズンを乗り切るには、予防が大事です。
〈症状〉インフルエンザは突然の高熱(38 度以上)、全身の関節痛や筋肉痛、頭痛、全身倦怠感(だるさ)など出現するのが特徴です。
〈感染経路〉インフルエンザウイルスは、患者の咳やくしゃみ・痰などで吐き出される微粒子を介して感染する「飛沫感染」が中心です。
〈恐いのは・・〉合併症は、肺炎や中耳炎は比較的多くみられ、病気の後半に起こってきます。ごくまれに急性脳症(インフルエンザ脳症)という命に関わる合併症があります。けいれんが長く続く(10
分以上)意識の状態がおかしいという場合はすぐに受診しましょう。
インフルエンザにかかってしまったら・・・と考える前に、まず予防が大切です。
①流行時期には人混みを避け、できたら外出時にはマスクを着用する。
②手洗いうがいを十分行う。
締め切った空間に長時間いると感染するリスクも高くなります。こまめに換気をし、湿度を高め(60%以上)に保つことが、ウイルスの増殖を抑える為にも有効と言われています。
編集後記
2011年も横田小児科医院をよろしくお願いします。