院内報
こあら通信 第145号 May 2010
目次
・子どもの姿勢
・ほたるだファミリーわははは歯
・「カリエス(虫歯)君のこと」
・ヨコピーのこども講座-「病気をしながら強くなる
・お知らせ
・編集後記
子どもの姿勢
気温の低い日が続いたり、アイスランドでは大きな火山の爆発があったりと、異常気象が気になります。しかし、長い地球の歴史からみればそれほど不思議なことではないのかもしれないと思ったりもします。
新学期が始まって、保育園や幼稚園、学校の定期健診に出かける機会が増えました。中には泣き出す子もいますが、ほとんどの子はとっても元気で、「よこた先生!」などと言われるととっても嬉しくなります。
ここ数年の健診で気になることがあります。それは姿勢の悪さです。定期健診では背骨の状態をみるために、「気をつけ」の姿勢で背中の状態を診ます。この「気をつけ」がきちんとできない子が多いのです。背中が丸まったままで伸びない子、身体がぐにゃぐにゃしていて真っすぐに立てない子が目立ちます。
小学校の現場ではずいぶん前から「からだぐにゃ」という言葉が使われていましたが、最近特にこの事を実感します。いろいろな理由が言われています。外で遊ぶことが減って背筋力なども弱くなったためにきちんと立つことができない、テレビやゲームの時間が増えて、悪い姿勢をとる時間が増えている、などです。
確かに、私が子どもだった頃に比べれば遊びは大きく変わりました。運動する時間も減ったでしょうし、少し危険かなと思うような体験をする機会もほとんどなくなっています。外で思いっきり遊ぶ時間と場所を与えてあげたいものだと思います。
姿勢が悪い理由としてもう一つ気になるのは、きちんと緊張すべきところで緊張できないことです。もちろん子どもですから、いつもきちんとした姿勢や態度をとることはできません。しかし、ここぞというときの正しい姿勢がとれないのは大きな問題です。日本人が長い時間をかけて築いてきた礼儀や作法の習慣が、どんどん衰えているように感じるのです。若い保護者にはピンと来ないことなのかもしれませんが、礼儀や作法を子どもに教える「きびしさ」が目に見えてなくなっています。良い習慣を築き上げるのはたいへんですが、壊すのはあっという間です。経済的に行き詰まるのは仕方ないにしても、日本人の良い習慣だけは壊れてほしくないと思います。
ほたるだファミリーわははは歯
「カリエス(虫歯)君のこと」
*どうして虫歯になるのですか?
お口の中に食べ物が入ってくると、それをエサにして虫歯菌が酸をつくります。すると、この酸によって歯の表面のミネラルが溶ける「脱灰」がおきます。食べ終わると唾液の力で酸が中和され、ミネラルが再び歯に戻る「再石灰
化」がおきます。規則正しい食習慣では、「脱灰」の時間が短いため、虫歯になりにくい環境になります。しかし、間食が多くおやつやジュースを何度も口に入れていると、一日中「脱灰」が続き「再石灰化」がなかなか行われない
ため、虫歯になるのです。
虫歯は一つだけの原因でできるものではなく、いくつもの危険因子(リスク)が重なるときできることがわかっています。リスクには、飲食回数の他に、虫歯菌がどれだけ口の中にいるのか、虫歯菌が出す酸を中和する唾液の量や
質、歯のミネラルが溶けないようにするフッ素の使用、などの要素がからみあっています。ですから、歯みがきだけでは虫歯をシャットアウトすることができないのです。それぞれのリスクを少なくしていくことが、効果的に健康な
歯を守ることにつながります。
虫歯リスク解説!
①お口の中のむし歯菌(ミュータンス菌、ラクトバチラス菌)が多いとカリエス君に!
ミュータンス菌は虫歯のきっかけになる菌でラクトバチラス菌は虫歯を進行させる菌です。
②飲食回数
一日3回の食事+ おやつ1回のような規則正しい食習慣では、虫歯になりにくい環境ですが、間食が多くおやつやジュースを何度も口に入れる場合は、歯の表面の溶けている時間が長いので、むし歯になる傾向が高くなります。虫
歯にならないためにはだらだら食べやながら食べをしないことが大切で
す。
③一日くらい・・はNO!
プラーク(歯垢)は一日溜まるだけで危険度が増します。プラークとは、歯の表面に付いた白っぽいネバネバ。食べカスではありません。これは細菌の塊です。その中の虫歯菌は、砂糖をエサにベタベタした物質を出して歯にこびりつき、歯を溶かすまでに半日ぐらいかかります。一日2回以上、特に寝る前のていねいなブラッシングが必要です。
④フッ素は味方
フッ素は再石灰化を促進し、虫歯菌が出す酸に負けない強い歯質をつくります。
⑤実は唾液は味方!
唾液は、細菌を洗い流したり、酸を中和したり、溶けた歯を修復したり(再石灰化)など、常に虫歯にならないように働いています。ですから、唾液の量が少ないと、リスクも高くなります。
⑥キシリトールガムが味方の人
ミュータンス菌の多い人には有効です。ミュータンス菌に酸をつくらせません。さらに唾液を出やすくして虫歯になりにくい環境をつくります。効果的な噛み方は、1日3回以上、食後やおやつの後に100%キシリトールのガム
を噛む。それを、3ヶ月続けると口の中の環境に変化が出てきます。
⑥定期健診で虫歯チェック
大人は、リスクによって3ヶ月~6ヶ月、小児は口の中の環境の変化が早いので3ヶ月~4ヶ月に1回がお勧めです。
協力:ほたるだ歯科医院山下伸司先生&
歯科衛生士の皆さん
ヨコピーのこども講座-「病気をしながら強くなる
来院されたお母さん方に「よく風邪をひくけど、うちの子どこかおかしいの?」と聞かれることがあります。風邪をよくひく、症状が一旦良くなったのにぶり返してしまった、という経験はありませんか? 子どもは1年間に10 回 以上風邪をひくと言われています。赤ちゃんは、生まれてしばらくお母さんにもらった抗体に守られています。抗体の寿命は半年くらいですので、お誕生日を迎える頃にはなくなってしまいますが、赤ちゃんはウィルスや細菌と戦う力がまだ強くないため、病気にかかりやすいと言えます。成長する過程で、病気は避けられません。子どもの健康に気を使うことは大切ですが、かからせまいと神経質にならず、病気になってしまったらどう乗り切るか考えていきましょう。そのためには、日頃から一緒に生活しているお母さん方の「いつもと様子が違うな~?」というカンが大切になります。いつもと比べて、食欲・機嫌・元気・睡眠はどうですか? お母さんが一番心配なことは何でしょう?
子どもが病気にかかることは、ある程度仕方ありません。病気にかかる度に、1つ1つ病気に対する抵抗力が身につき強くなっていきます。病気にかかることは、マイナス面だけとは言えないですね。
お知らせ
1. 発達相談(月曜日)に新しい先生を迎えます
5月より、杉崎雅子先生が加わります。吉川先生は引き続き、月1回のペースでいらっしゃいます。
2. 4月の保険点数改訂により診療明細書を発行しています
先月より、会計時に「診療明細書」を発行しています。どんな検査をしたのか?処置をしたのか?など、診察の内容が記されたものです。4月の時点では、医療証のある方にも発行されていました。今月からは、乳児医療証、ひとり親、障害、生活保護等、会計時に無料になる方には、基本的に発行されません。明細書をご希望の方は、受付までお申し出下さい。
3. 麗実先生に変わる時があります
横田先生の外出時に、横田先生長女の麗実先生に診察の変わる時があります。先生は、現在、埼玉県のさいたま市民医療センターに勤務されています。
編集後記
新緑の美しい季節になりました。新生活はどうでしょう?落ち着いてきましたか?スタッフの子ども達も「1年生」がいます。爽やかな季節で、気持ちも爽やかになりますが、疲れた時は上手に気分転換して乗り越えてほしいですね
。先月の異常気象もあってか、4月に胃腸炎がはやり、病気の流行が読めなくなっています。今月の「病気をしながら強くなる」ではありませんが、色んな病気をしながら(この年齢になっても)丈夫な体になりたいですね。