院内報
こあら通信 第142号 February 2010
目次
・一度死んだ命は甦るか
・子宮頸がんワクチンについて
・絵本の紹介
・お知らせ
・編集後記
一度死んだ命は甦るか
1月の中旬、朝の犬の散歩の途中で、葉っぱのない枯れた梅の木に小さな白い花をみつけました。手がかじかむような寒さの中でも、春が近づいていることを感じます。
年の初めに新聞で子どもについてのいろいろなニュースを読みましたが、その中でも「死の実体験がなくなり、人が生き返ると考える子どもが増えてきた」という記事に、考えさせられることがありました。
2004年長崎県で小学生の少女が同級生を刺し殺すという事件がありましたが、この少女が「生き返ってほしい」と言ったことが話題になりました。そして、この少女と同じクラスの生徒33人への「一度死んだ命が再び甦ることがあると思うか」という担任の質問に、28人が「そう思う」と手を挙げた場面がテレビで放映されたのです。
昔は家族や自分の周りの生き物が死ぬという体験を何度もしたものですが、最近では本当の死はどこか遠くで隠されていて、ゲームの中などでしか体験できなくなっているように感じます。そして、ゲームの中では死んだものはすぐに生き返り、小さな子どもたちは、それが現実であるかのように感じています。
小さい頃、竹筒の中に生きたカエルといっしょに爆竹のようなものを入れて爆発させ、死んでしまったカエルを見たときの気持ち。毎日家に来ていた魚屋さんのお兄さんが、乗っていたバスが急停車したときに頭をぶつけ、そのまま亡くなってしまったと聞いたときの気持ち。こうした一度死んだものはけっして戻ってこないという体験が、自分自身の中では生きるものの大切さを感じる原点になっているように思います。
命は必ずどこかで終わります。そのことを子どもたちにきちんと伝え、だからこそ命が大切だということを教えることが必要です。テレビやゲーム、携帯電話などメディア中心のバーチャルな生活では、本当の体験はできず、健全な心が育たないのではないでしょうか。食事も遊びも運動も、本物を体験することが今の子どもたちにはあまりにも欠けているように思えるのです。
子どもたちに自然の素晴らしさ、命の尊さをもっともっと知ってもらいたいと願っています。
子宮頸がんワクチンについて
子宮頸がんは、20?30歳代の女性に起こるがんの中では最も多いものです。
子宮頸がんの原因は発がん性HPV(ヒトパピローマウイルス)です。このウイルスにはいくつもの型がありますが、16型/18型に感染すると発がん率が高く、このウイルスに対するワクチンが作られました。海外の多くの先進国では公費で接種されているワクチンですが、日本では任意接種(自費)になります。
10歳代から始まる早い性交渉も20歳代の発症率を高めている理由の1つになっています。性にどう向き合うか、皆様もご家庭で話題にしてみて下さい。
1. 子宮頸がんとは・・・
膣の奥、子宮の入り口にできます。初期症状はありません。少し進行すると、生理でない時に出血があったり、性行為時の出血やいつもと違うおりものが増えたりします。治療は、外科手術が一般的です。症状が進行してくると、妊娠・出産にも影響がでてきます。
2. ワクチンの有効性
16型/18型ウィルスに対しては100%の効果があり、予防効果は最低6年以上続くことが確認されています。
3. 子どもこそ必要?
発がん性HPVに感染してから発症まで数年?数十年かかるといわれています。(大部分の女性は感染してもウイルスを排除し、がんにはなりません)感染する前の10歳代前半に接種することで、子宮頸がんの発症をより効果的に予防できます。なお、このウイルスは性交渉を介して感染しますが、男性には病気を起こさないことがわかっています。
接種年齢対象:10歳?45歳の女性
接種回数:3回
①1回目
↓1ヶ月あける
②2回目
↓5ヶ月あける
③3回目
費用:1回15,000円(合計45,000)
ご希望の方、ご質問ある方はスタッフにお問い合わせ下さい。予約は直接事務までご連絡下さい。
子宮頸がんの多くは早期のうちに検診で発見できます。20歳を過ぎたら、ワクチン予防と共に毎年婦人科での検診も受けましょう。
絵本の紹介
『うさこちゃんとどうぶつえん』
ぶんとえ ディック・ブルーナ
福音館書店
作者はオランダ出身のディック・ブルーナです。ミッフィーという呼び名は英語の読み方で、オランダ語ではナインツェ、日本ではうさこちゃんと呼ばれています。
わかりやすいイラストと色使い、美しい文章で小さなお子さんから大人まで楽しめる名作です。
今回紹介の『うさこちゃんとどうぶつえん』は、うさこちゃんがお父さんと動物園へ行くお話です。たくさんの動物がでてきますので、小さなお子さんも楽しめる1冊ではないでしょうか。
まだ絵本は早いかなと思う赤ちゃんと楽しむには、「あ、鳥さんだよ。」「みてみて、かわいいぞうさんがいるよ。」というお母さんの声かけが、お子さんにとっては何より楽しいと思いますよ。もう少し大きいお子さんには丁寧にしっかり文章を読んであげてください。読み終えたあとに満足感が残り「動物園に行ったね」「きりんさん、大きかったね」と絵本の外にお話が広がるのではないでしょうか。絵本をきっかけに色んなお話ができたらすてきですね。医院の飾りも動物園ができるよう企画しています。今年の夏は待合室に水族館、感染室に北極と南極が出現するはず・・です。
お知らせ
1.おたふく?水痘?インフルエンザ?かもしれない時は・・。
昨年末より、おたふく・水痘が一部の地域で流行しています。インフルエンザの流行とも重なっているので、待合室/診察室を分けているため、どうしても混み合ってしまうことがあります。感染防止のため、おたふく、水痘、インフルエンザの疑いがある方は、駐車場に着いたらまず受付までご連絡下さい。別室を用意いたしますが、空いていない場合は車の中でお待ちいただきます。ご協力お願いいたします。
2.予防接種のお願い。
最近、医院の体温計の数が少なくなってきています。お持ち帰りのないようご確認下さい。お出かけ前に、体温を測ってから来て頂けると入室までスムーズです。重ねてご協力お願いいたします。
3.ヒブワクチン追加接種のご案内
ヒブワクチン追加接種は、1回目の接種が0歳代だったお子さんのみが該当します。追加接種は、最後の接種から1年後になりますので、該当する方はご連絡下さい
編集後記
子宮頸がんワクチンを接種しようかと、お財布と相談中です。名古屋では全額公費負担だそうです。うらやましい・・。費用の計算をしてしましますが、将来のリスクを考えると受けざるをえないかな、と考えます。さて、次回は中耳炎の予防にもなる肺炎球菌ワクチンについて取り上げます。昨年より予防接種の話題がつきませんが、4月から新たな企画が始まりますので、ご期待下さい。