院内報
こあら通信 第14号 JUN 1999
目次
・なかなか止まらない咳
・ようこそよこたずーらしあへ!
・ホームケア・アドバイス
・『お母さんに伝えたい子どものくすり安心ガイド』
なかなか止まらない咳
5月は突然真夏へひとっ飛びしたような陽気でした。梅雨を前に喘息発作が起こる人も多くなってきました。気候の変化が大きい季節なので、生活に気をつけて上手に過ごしてください。
さて今回から「気になる症状」をテーマに、病気の説明と私の考えを伝えていきたいと思っています。第1回は「なかなか止まらない咳」です。
咳は、のどや気管に炎症があってそれが刺激になっているとき、たんや鼻水がのどや気管に溜まってそれを出そうとするとき、のどや気管が敏感になっているときなどに出るものです。
咳が長く続くときにまず考えるのは肺炎や気管支炎です。重症なときには高い熱が出るので見逃しませんが、あまり熱が出なくて咳だけが続くこともあります。有名なのはマイコプラズマによる肺炎です。聴診器で聞いただけでは異常がないのに、レントゲンを撮ると立派な肺炎ということもよくあります。この肺炎はあまり重症になることはなく自然に治ってしまうことも多いのですが、治った後も咳が続くことがよくあります。その他にも咳が長引くカゼがたくさんあります。
小さい子どもでもう一つ大事なのが百日咳です。顔を真っ赤にして咳き込み、咳き込んだ後にヒューという音を出して息を吸い込むのが特徴です。咳は特に夜に多く、小さい赤ちゃんでは呼吸が止まりそうになってしまいます。その名の通り治療しても1カ月以上咳が続きます。免疫がある年長児ではしつこい咳のカゼという軽い症状で終わってしまいます。予防にはできるだけ早く三種混合の予防接種を受けることが大切です。
細菌やウイルスが原因でない「なかなか止まらない咳」の代表は気管支喘息です。気管が敏感になっているためにちょっとした気温や気圧の変化、疲れなどがきっかけで咳が始まります。夜寝付いたとき、明け方などが咳の出やすい時間帯です。はっきりした喘息発作は誰にでもわかるのですが、しつこい咳だけが喘息の症状ということもあります。苦しそうな咳が続くときには喘息も考えて血液検査をすることもあります。喘息という名前を聞くと皆さんびっくりするのですが、咳が出やすい体質という程度に気軽に考えてはどうでしょうか。きちんと治療すれば咳は止まりますし、成長にともなって治っていきます。
そのほかにはアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)が原因で、鼻水がのどに落ちてくるために咳が続くこともあります。また、精神的な緊張が原因でせき払いが続くこともありますが、このときには眠っているときには咳が全く出ないのが特徴です。
病院へ行くべきかどうか迷うことも多いでしょうが、生活に困るような咳、眠れない・食べにくい・思いきり遊べないなどのときには診察を受けてください。
ようこそよこたずーらしあへ!
「どこかにできた所と名前が似てるけど、横田小児科でも動物をたくさん飼育して子ども達を喜ばせてくれるのかしら…?」なんて思うよね。あいさつが遅くなりましたが、僕は『よこたずーらしあ』の案内をするコアラのヨコピーです。よろしくね。まず『よこたずーらしあ』って何なのか説明しますね。みんな病院に来ると、受付 問診 診察 会計 薬局と進んで、薬を受け取り、家に帰るよね。そこでみんなにわかりやすいように院内全体を動物園に例え、病院に来てから家に帰るまでを、それぞれのゾーンに分けました。毎月各ゾーンをアドベンチャー風に説明していくわけです。スタッフも動物に変身するかもよ。院内のルールやマナーを知り、守ってくれればスムーズに診察もできるからね。また、何か困ったことや苦情があったらスタッフに気軽に声をかけて下さいね。動物園に遊びに来た様な楽しい気持ちになってくれたらスタッフと僕ヨコピーも嬉しいです。さあ、7月からみんなで『よこたずーらしあ』へ出発だー!!
ホームケア・アドバイス - ぎょう虫/頭しらみ
幼稚園や学校など集団生活をしていると、様々な病気をもらってくることがあります。「蟯虫(ぎょう虫)・虱(しらみ)」もその中の一つです。ぎょう虫・しらみというと不潔なイメージがありますが、治療すればすぐ治りますので悲観的にならないで下さい。
《頭しらみ》
●症状
毛髪に白い粒状の卵がつき、頭皮のかゆみ、湿疹、ふけなどが見られることもあります。
●治療
櫛でよくすき、虫と卵を除き、スミスリンパウダー・シャンプー(薬局で販売)を使用し、よく洗髪します。
《ぎょう虫》
●症状
長さ1・程度の白い寄生虫が夜間入眠中、肛門周囲に産卵するため、肛門のかゆみ、湿疹化、不眠、落ち着きがなくなるなどの症状が見られることもあります。
●治療
コンバントリンという駆虫薬を家族全員で内服します。一週間後に再び内服し、駆虫されたか調べるために一週間後に蟯虫検査をしましょう。
●予防
・下着は清潔に、布団もよく干しましょう
・手洗いは、こまめに(排泄後、食前は必ず!)、爪は短くしましょう
・できれば、毎朝おしりを洗いましょう
『お母さんに伝えたい子どものくすり安心ガイド』
病院でもらう子供の薬の名前、使う時の注意、効果、副作用について、お母さんも知っておきたいと思いませんか。外来小児科学研究会の小児科医が、薬についてお母さんに伝えたいことをまとめて本にしました。ご家庭に一冊どうですか。