院内報
こあら通信 第138号 October 2009
目次
・メディカルホーム
・外来小児科学会に行ってきました
・ヨコピーの子ども講座
・お知らせ
・編集後記
メディカルホーム
シルバーウィークも終り、新型インフルエンザの患者さんも少しずつ増えてきているようです。それでも家庭でのうがい、手洗いの励行や、不必要な外出の自粛で、思ったほど大きな流行になっていなようにも感じます。少しでも流行の山を小さくできるよう皆で頑張りましょう。
今年も8月の終りに日本外来小児科学会の年次集会にスタッフと一緒に参加してきました。今回の学会参加で得たものの一つが「メディカルホーム」の概念です。
私たち開業小児科医が健康上の問題を持ったお子さんのケアに関わるとき、病気の専門家として関わるだけではなく、子どもを取り囲む家族、保育園や幼稚園、地域の保健センターの保健師さん、その他の医療機関のスタッフなどと一緒になって、一人の子どもの健康のために働くことも大切な役目です。たとえ専門的な知識が不足していても、いろいろな機関の調整をして、どのようにチームを組んだら子どもによいかを考えることも仕事の一つなのです。私たちは小児科医であると同時に家庭医でもなくてはなりません。
米国ではこのことに早くから気付いていて、今は国を挙げて「メディカルホーム構想」を推進しています。子どもの家族と医療スタッフの関係も、医療を提供される側、提供する側という対立した関係ではなく、子どものケアにあたる「同僚」の関係にあるとされています。そして、あたかも家(ホーム)のように、医療・保健・福祉・教育の関係者が子どもを取り囲んでいるというのが、この構想の概念になっています。特に重い病気を持ったお子さんの在宅医療、発達上の問題を持ったお子さんに関わる医療では特に大切な概念になっています。
しかし、このように協働する仲間となるためにまず必要なことは、お互いを知り、何でも話せる関係を築くことなのだと思います。軽症の病気や予防接種に多くの時間を費やさなくてはならない日常診療の中で、良好なコミュニケーションを保ってゆくのは実は簡単ではありません。受診される皆さんも、当院のスタッフにどんどん話しかけて、お子さんの応援団を増やしていただければと考えています。
外来小児科学会に行ってきました
先月29日30日、さいたま市にて外来小児科学会が開催されました。全国の医師、看護師や事務、医院に付属する施設の心理士や保育士も参加しています。今年私たちが学んできたこと、日常に活用したいと考えたことなどを報告します。(WS=ワークショップ)
栗原(看護師) - 禁煙に関するWSでは、喫煙者の立場や気持ちになってみることで指導のあり方について考えさせられました。タバコの害について皆さんわかりきっていることでしょうから、禁煙によるメリットを考えてみました。たとえば、タバコ代(300円/1箱)とします。1ヶ月で9000円、1年で108,d000円。このお金で何ができるでしょう。食事、旅行、お買い物・・もし禁煙してみようかと思ったらチャンスです。失敗しても大丈夫。何度トライしてもよいのです。私達が応援いたします。気軽に声をかけてみて下さい。
小長谷(看護師) - 「コメディカルスタッフができる事故防止活動」に参加しました。事故、誤飲・転倒・転落などは、早い時期から起こりうる身近な事故です。生後8?10ヶ月までに約7割近くの子が経験しています。事故を起こさないためには、医院として家族にどう指導していくべきかを勉強しました。誤飲に多くみられる物をファイルしたり、実際に当院に受診・問い合わせされた事例を掲示して皆さんに情報提供していけたらと思います。
伊藤(事務) - 「家族志向の小児ケア」と「思春期の性の問題を考える」に出席させて頂きました。病気だけでなく、患児をとりまく環境、背景に目をむける事の大切さを、ロールプレイを通して学びました。「性の問題を考える」は、氾濫する性情報の中で正しい性教育をどのようにしていくか、私達が出来る事は?などを考えました。私にとって今学会は「目から鱗!」とても実り多いものとなりました。
高田(事務) - WS「子育て支援」
外来小児科学会へ初参加させていただきました。「子育て支援」を考えるWSと、接遇を中心に学ぶ講座を聴講しました。2つの講座を
通じて、医院を訪れる患者さんやご家族の心配や不安に寄り添い、安心していただけるまで力を尽くせるスタッフになりたいと思いました。まだまだ微力ですので、皆様、ご指導、ご協力お願いいたします。
長谷(事務) - 講演「子どもと大人の心を育てる待合室」絵本作家とよたかずひこさん、東京トイ美術館館長多田千尋さんのお話を聞きました。絵本を読んでもらう幸せ、日本語の美しさ、おもちゃの豊かな想像力を再発見してきました。待合室は、絵本やおもちゃを通して、子どもと大人が一緒に感動するところ!何か素敵なことと出会える待合室にしていきたいと思います。試行錯誤の部分もありますが、ご意見等ありましたら、お聞かせ下さい。
小笠原(事務) - 「あまえ療法」を学ぶ講座に参加してきました。あまえることで、子どもの心身症や異常行動が消えることもあるそうです。子どもはあまえを通じて大人との間に信頼関係を作っていくのだとか。小さい子には、あまえをそのまま受け入れてあげる、抱きしめてあげる。大きい子には、「よくわかるよ。がんばっているね」等の言葉で、受けとめてあげる。お父さんお母さん方が、子ども達のあまえを笑顔でゆったりと聞いてあげられるような場所、そんな医院を目指したいと思いました。
ヨコピーの『こども講座』
「歯が折れた」
打撲や転倒で歯をぶつけてしまった時、一部欠けたり、ぐらぐらしてしまったり、根元から抜けてしまうことがあります。まずは、口のケガ以外に症状がないか観察します。(9月号の「転落」を参考に)次に、歯や口の中の出血や腫れなどをみましょう。出血している時は、傷口を清潔なガーゼで軽く押さえ、できるだけ止血します。痛みが強い時は、唇や頬の上から冷たいタオルなどで冷やしましょう。歯が抜けた場合、抜けた歯を未開封の牛乳につけたり、誤飲しない年齢であれば、抜けた場所に歯を戻して(この時はできるだけ洗わず、汚れている時は水で流す程度)すぐに受診する方法があります。しかし、年齢や歯の状態によって対応が違います。まずは、歯科に問い合わせをし、指示に従って受診して下さい。ケガの程度がひどい場合は、大きな病院を受診しましょう。
お知らせ
1. 事務で「渡辺先生の診察でもよろしいですか」と聞かれるけど・・?
電話での予約や、受診した時にこう受付で聞かれることがあると思います。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、渡辺先生は、毎週木曜日午前中の健診や予防接種、診察をお願いしています。また、横田先生が急な外出になった時などもお願いしています。診察担当の変更があれば、インターネットや予約電話等で随時お知らせしていますが、ごくまれに「知らなかった!」という声をいただきます。「せっかく横田先生でみてもうらおうと思っていたのに・・」という方もいらっしゃるので、確認の為「渡辺先生の診察でもよろしいですか?」とお尋ねしています。こうした私達の気のまわしすぎる日本語で、不安に思われる方もいるようです。渡辺先生は、東京大学病院小児科の講師の先生です。予防接種のことに大変詳しく、8月にはNHK「今日の健康」でHibワクチンの講師として出演されました。とても気さくで、私達も気軽に相談できる先生です。これからは「渡辺先生の診察になります。」と簡潔に申し上げますが、こうした事情があることもお察し下さい。また、医師会の仕事で横田先生が度々外出しますが、何卒ご理解のほどお願いいたします。
2. 看護士の林さんが退職されました。
今年入職された林さんが、9月に退職されました。育児に専念されるということでしたが、またご活躍されるのを期待しています。ありがとうございました。 新しいスタッフが増えるまで、行き届かないところも出てくると思いますが、ご理解とご協力お願いいたします。
編集後記
10月はハロウィン!31日に来院すると、ちょーっとラッキーかも!? だけど、なぜ日本で?医院でイベント?・・考えてみました。古くから、日本では子どもは神聖なものです。その元気な姿、生命力は神様が姿を変えているものと思われていました。各地のお祭りでは、子どもの成長を願うものが数多くあり、子どもを大切にする習慣が日本にはあります。ハロウィンは西洋版お盆ですが、お祭りとかこつけて、子どもの成長を一緒にお祝いしませんか?