横田小児科医院

院内報

こあら通信 第132号 April 2009

目次

・医師会の仕事
・「相談室からの風景から」
・ヨコピーの子ども講座-「鉄欠乏貧血」
・ヨコピーの子育て知恵袋
・編集後記

医師会の仕事

 予想通り例年より早く桜の花が咲き始め、一気に春らしくなってきました。卒業と入学・就職という人生の節目となる季節ですが、私にとっても大きな転機がやってきます。父の後を継いで開業したのが平成5年4月、平成7年4月から14年間医師会の理事・副会長を務めてきましたが、4月から小田原医師会の会長に就任することになりました。

 小田原へ戻ってきたときに、地域に根ざした医療をすることを目標としていましたので、開業したてでも医師会の理事になることに躊躇はありませんでした。特に自分の分野である母子保健や学校保健が担当でしたので、やりがいもあり勉強にもなりました。

 次第に医師会の運営に係わる仕事も増えて、行政との交渉や各種委員会へ参加することも多くなりました。クリニックを頼りにしてくれる患者さんに迷惑をかけることになってまでも、そのような仕事に係わる必要があるのだろうかという疑問もなかったといえば嘘になります。それでも医師会の仕事にこだわってきたのは、やはりそれだけの意味がある仕事だと感じてきたからに他なりません。

 マスコミでは医師会は傲慢で自分たちの利益だけを追求する団体…というような論調のこともありますが、果たしてそうでしょうか。無報酬で自分の時間を削ってまでも活動しているのはなぜでしょうか。地域住民の健康を守るには、医師会の活動を抜きにして考えることはできません。私たちはそのことを自認していますし、だからこそ忙しい中でもその活動に参加しているのです。

 新しく正確な医学知識をもっているだけではなく、地域の医療関係者との連携が医療の現場には欠かせません。自分の手に負えない患者さんをすぐに最適な場所へ紹介できることこそが地域医療の現場では求められていて、そのために一緒に勉強し懇親を深めているのです。

 会長としての仕事が増え、急な休診などでご迷惑をおかけする可能性もありますが、医師会での活動が最終的には当院のかかりつけの患者さん方に還元されるように頑張りたいと思いますので、どうか暖かく見守ってください。

「相談室からの風景から」
「寺小屋お師匠の不登校ってなんだろう」

 「相談室からの風景から」新章スタートです。担当は教育カウンセラーの浅井先生です。浅井先生は当院にて不登校の相談、院外では寺小屋を開いて親子の相談と活動されています。このシリーズでは、不登校は悪いこと?原因は?対応は?なおる?etc・・不登校にまつわる様々な疑問をわかりやすく解説していただきます。

「不登校」って、なに?

最近、テレビのニュースや新聞で「不登校」と言う文字をよく目にします。「不登校」って何でしょう?「不登校」について、少し考えてみましょう。

Q1:不登校になったらどうなるの?

 A:昔は、「登校拒否」と言われていました。最近は、「不登校」と言われるようになりました。学校に行かれなくなり、家に籠もるようになります。人と会うのを嫌がり、学校との繋がりも少なくなります。友達も少なくなります。着替えをしなくなったり、一日中パジャマで居たりします。生活が不規則になり、昼夜逆転の生活をします。勉強もあまりせず、ゲームやパソコンをして一日を過ごすことが多くなります。

Q2:不登校かもしれない?

 A:学校に行きたい気持ちはあるのですが、行かれない状態になります。具体的には、朝起きられない。朝お腹が痛くなる。朝熱が出る。気持ち悪くなって、嘔吐する。玄関で靴を履こうとすると体が動かない、などの症状が出ます。学校を休ませてあげると、治まります。
 具合が悪いので、病院に連れて行って診て貰っても、何処も悪くありません。精密検査をしても結果は異常なしです。不登校の場合は、病院で検査しても何処も具合が悪くないのが、特徴です。

Q3:不登校は、中学生がなるの?

 A:中学生が一番多いですが、小学生でもおきます。最近は、「不登園」とでも言うのでしょうか。幼稚園でも起きています。勿論、高校生でも起きます。学校に行かなくなった大人でも起きます。社会人になっても「出社拒否」が起きます。名前が違いますが、皆同じです。

Q4:不登校になる子?ならない子?

 A:不登校が始まるまでは、普通の生活をしていることが多いようです。学校へも普通に通っていて、友達もいて、仲良く遊んで居るようです。勉強も真面目にしているようです

どうして、不登校になるんでしょう?これについては、また次の機会に考えてみましょう。

ヨコピーの『こども講座』
「鉄欠乏貧血」

 鉄欠乏貧血とは,血液中のヘモグロビンを作る材料である鉄が足りなくなる為に起こる貧血です。ヘモグロビンは、肺から取り入れた酸素を隅々まで配る役割を果たしています。貧血は、生後6ヶ月?1才6ヶ月頃の乳幼児に起こりやすいと言われています。それは赤ちゃんが、胎盤でもらった鉄分を生後6ヶ月頃に使い果たしてしまうため、離乳食から鉄分を補給できないと不足しがちになります。ですから、離乳食には鉄の多いレバーや肉・大豆・海藻など積極的に取り入れましょう。又、果汁や果物、じゃがいも・ピーマンなどのビタミンCが多く含まれているものは、鉄分の吸収を助けます。貧血が強い時は、精神や運動発達に影響が出る場合があります。顔色が悪い、疲れやすいなどの症状がみられたら、相談してみて下さい。
 
 鉄欠乏貧血は、思春期の急激な成長の頃にも起こりやすいと言われています。
 
 日頃から、鉄分を多く含む食品、上記以外にマグロ、しじみ、あさりなどの貝類をとると効果的です。

ヨコピーの『子育て知恵袋』
「夜眠らない赤ちゃん」

 訳がわからず泣き続けることが赤ちゃんにはあります。小児科の先生でさえその理由はよくわかりません。こうしたときには部屋を明るくしてしっかり目を覚まさせる、抱っこして外へ出かけてみる、自動車に乗せてドライブしてみるなどの対処法で落ち着くことが多いものです。「雰囲気を変える」ということがキーワードかと思います。  また、赤ちゃんは大人の気持ちにとても敏感です。「早く寝てほしい」とお母さんが焦っているときほど、なかなか寝つかないものです。子育ての経験を積んでいくと、自分の気持ちを切り替えて、ゆったりと付き合うよう腹を据えることが、かえって近道だということに気づいてきます。気持ちの切り替えがうまくいかない時には、お父さんにもいっしょにつき合ってもらったり、友達に愚痴をこぼしたりすることでストレスをうまく解消してみましょう。

編集後記

こあら通信、新シリーズが始まりました。ホームページも少しずつ変わる予定です。医院にも新しいスタッフが加わりました。来月にてご紹介いたします。さて、新入生の皆さんおめでとうございます。桜の咲く4月はいつも清々しさとともに桜色の未来を期待させます。新しい出来事(と書いて“モンダイ”と読む)は恐れず、勇気をもって挑戦です。

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