横田小児科医院

院内報

こあら通信 第125号 September 2008

目次

・夏の終わり
・相談室からの風景-ファイル・9
・インフルエンザワクチン予約開始
・ヨコピーの知恵袋-百日咳
・編集後記

夏の終わり

 厳しかった暑さが落ち着いて、秋を感じる日が多くなりました。天気もぐずつき気味で、何となく寂しい気分。夏の終わりは物悲しい感じがするものです。
 
 小児科医になって30年、人生もとうに半ばを過ぎ、還暦だってそう遠くはないと思うと、人生の秋を感じる年でもあります。「少年老いやすく学成りがたし」というように、長く生きてきた割にはあまり成長していない自分にあきれてみたり、今の自分に焦りを感じたりもするものです。

 若い頃に持っていた夢が実現できていないことにがっかりもするのですが、それも仕方のないことかもしれません。すべての夢が実現できるわけもありません。オリンピックで活躍する選手を見ても、確かに勝利をつかんだことは素晴らしく、自分のことのようにうれしいのですが、それだけではけっして残りの一生は生きてゆけないのだな・・と思うのです。小児科医としてもまだまだやらなければならないことがたくさんあります。比較的仕事が少なかった夏の間に充電した力を、これからの秋に向けて使ってゆこうと気持ちを切り替えています。

 そんなときに思いがけなくチケットが手に入り、大雨の中、サザンオールスターズの30周年最後のコンサートに出かけてきました。サザンが「勝手にシンドバッド」でデビューした年は、私が医学部を卒業して医師として働き始めた年でした。結婚して出張病院から大学病院へ戻り、長女が生まれた頃には「いとしのエリー」が大流行でした。

 サザンの唄はそのときどきの人生の一コマと重なって、いつまでも忘れられません。楽しかったこと、心から感動したことに重なっているのです。手拍子を送っていると、自然に昔の気持ちに戻っているのが周囲の中年のファンを見ても手に取るようにわかりました。しかし、サザンの桑田さんがコンサートの中で言っていたように、「美しい過去を思い出すことも大切だけど、もっと大事なのは未来に夢を持って生きてゆくこと」だということを忘れずにゆきたいと思っています。

相談室からの風景-ファイル・8
3歳児の精 ― ミツゴノタマシヒ ―

際限なく拡大していくかにみえた「自我」も、2歳の後半ともなると「コウイウトキハ、コウスル!」「コウシタラ、コウナル!」など、生活の中での見通しや簡単な因果関係を理解するようになり、ずいぶん落ち着いてきます。

 手先が器用になって、左右の手が役割分担できるようになると、片方の手で紙を支えて、もう片方の手でハサミで切り進んだり、片方の手でボタンを持ってもう一方の手で穴をくぐらせて引っ張ったり、片方の手でボウルやお皿を支えながらもう片方の手で混ぜたりよそいだりできるようになります。これらは、製作活動や、身辺自立、「お手伝い」などの様々な場面で発揮され、「ジブンデヤル!」手ごたえを子ども自身が感じられるようになります。

 「ナンデ?」を連発し、あたかも哲学者のように、この世に無数に存在する深遠な問いを次から次へと吹っかけ、真摯に答えようとする大人の頭を「思考停止」させるのもこのころでしょう。(ちなみに、「ナンデ、夜ハ暗イノ?」と問う子に天文学的な地球の自転と太陽との位置関係を説明しようとしても無理で、「夜は暗いねえ。明るいのは?」などと、2次元の対比的な認識をふまえて返してやると、「ンーットネー、」と既に自分が持っている答えを自分で答えてくれたりします。)
3までの数を理解できるようになり、指でも示せるようになったころ、子どもたちは3歳のお誕生日を迎えます。1歳の時や2歳の時と違い、充実してきた「自我」を内に秘めた3歳児さんたちは、「もう(小さい)2歳じゃない、(大きい)3歳になった!」という喜びでうずうずした、「ウレシ、ハズカシ」という、格別の表情をしています。

 3歳は幼児期の「青春時代」ともいわれます。「三歳児の精(たましい)百まで」という諺は、「3歳までのしつけ(や教育)で一生が決まる」という意味ではなく、この時期に身に付いた行動様式や、一人でできた!という自信、達成感などは、一生心に残る(記憶にも残る)ということが、新たな大脳生理学の知見としても報告されています。いっぱい遊び、いっぱいおしゃべりして、この世の「春」を謳歌してほしいものです。

 こうして3歳を過ぎると、2次元の対比的な認識も、より複雑に関係づけたり分類したりしながら、獲得されてきます。「大きい-小さい」だけでなく、「男-女」「姓-名」「強い-弱い」「好き-嫌い」「勝ち-負け」「こわい-やさしい」「きれい-きたない」といった、個別の要素や文化的な価値判断を含むような言葉が、子どもどうしの会話の中で生き生きと展開されます。(3歳児クラスになると、必ず「ケッコン」が子どもたちの話題になりますねえ・・・。)

 また、全身運動では、例えば片足ケンケンのように、「片足を上げながら前に進む」ことができるようになります。この「○○シナガラ、○○スル」操作のバリエーションは、4歳に向かって、確実に獲得されていきます。

(小倉)

インフルエンザワクチン予約開始

今年もインフルエンザがやってきます。

9月1日より、インフルエンザワクチンの予約開始です。Web,電話どちらでも予約できます。電話での対応は混雑が予想されます。Web予約にご協力下さい。

接種時期:10月?12月
接種対象者:受験を控えた方、集団生活をしている方、小さいお子さんのいる家族
※ 1歳未満のお子さんにはあまりおすすめしていません。ワクチンを打っても抗体がつきにくい、インフルエンザにかかっても重症化しないからです。
保育園や託児所など、集団生活をしているお子さんは、ご希望であれば接種します。
接種回数:1歳?12歳(小学校6年生まで)は2回接種
     1回目から、1週間たてば接種できますが、2?3週間あけて接種するのがベストです。
13歳以降(中学生以上)は1回接種
接種料金:3000円/1回

電話予約時のお願い
① 予定表はお手元にありますか?
 インフルエンザは通常の予防接種の時間帯以外にも、設定しています。
予定表はインターネットで見られます。また医院でも配布しているのでご利用下さい。どちらからも入手できない場合は、ファックスにて送信しますので、ご連絡下さい。
② 診療時間内に受付いたします。
 電話対応は診療時間内にお願いします。
ただし、早朝・火曜日と金曜日の午後3時?4時は、予防接種で受付が大変混雑いたします。この時間はなるべく避けて頂きますよう、お願い申し上げます。

ヨコピーの知恵袋
「百日咳」

 百日ぜきは、患者の鼻やのどから飛んできた百日咳菌に感染して発症します。

 潜伏期間は1、2週で、発熱などはなく、最初は普通のかぜとかわりませんが、次第に咳が多くなり、顔をまっ赤にして激しく咳き込むようになります。咳のために吐いたり、連続したひどい咳の後に急に息を吸い込むため、ヒューという音が鳴るなど、特有な咳の発作を特徴とする呼吸器の病気です。世界的に、予防接種を受けていない人々の間で、地域的な流行が3-5年ごとに起きています。2008年は流行が広がり、特に成人の感染者が増えています。成人では咳が長く続きますが、典型的な発作を示さず軽症で回復します。診断が見逃されやすく、また確定診断もつけにくいで、乳幼児への感染源となっています。生後6か月以下の赤ちゃんでは咳のため呼吸が止まってしまうことがあり、入院が必要となります。母体から免疫をもらえないため、生まれてすぐの赤ちゃんでもかかります。月齢が低いほど重症になるので、できるだけ早く三種混合(DPT)の予防接種を受けるのが理想的です

編集後記

ラジオで夏歌が流れてくると、学生時代の夏休みを思い出します。たった1ヶ月で服装がとてつもなく変わったり、なんだか頼もしくなったり・・。この日差しや風を感じて変化するのは植物だけではないようです。大人は夏の冒険や危険を知っていますが、子ども達には未知のワンダーシーズン。素晴らしい成長の季節を大事にしてほしいし、そうしてあげたい夏です。

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