院内報
こあら通信 第121号 2008 May
目次
・子どもの社会力を育てる
・相談室からの風景-ファイル・5
・ヨコピーの子育て知恵袋
・自己紹介-事務
・お知らせ
・編集後記
子どもの社会力を育てる
新しい年度が始まり、入園入学した子どもたちのいきいきした顔が印象的です。5月になると「五月病」といわれるように、緊張した気持ちに疲れが出てくる子どもが増えてくるのが常です。じょうずに過ごしてほしい時期でもあります。
園や学校という新しい社会に入ると、今までは気付かなかったような問題も見えてきます。友達と上手に付き合えない、園や学校のきまりが守れないというように、家庭中心の生活では目立たなかったことが、集団生活の中では見えてきます。もともと社会性がじゅうぶんに育っていないのが子どもなのですが、昔に較べるとそういう子どもが増えてきているように感じます。
どうしたら社会性を育てることができるのだろうと、門脇厚司さんという教育学者の書いた「子どもの社会力」という新書本を読んでみました。この学者は今の子どもたちに欠けているのは社会性ではなく「社会力」だと言い切っています。社会性という言葉は既存の社会に重点を置いて、その社会に適応することを意味しますが、社会力は社会を作り、作った社会を運営しつつ、その社会を絶えず作り変えていくために必要な資
質や能力です。社会というと法律やきまりなど何か特別なものの様に聞こえますが、実体は生きた人間そのもので、人間同士の関わり合いこそが社会なのです。そして、社会力は子どもの中で育っていないだけでなく、今の大人の中でもじゅうぶんに育っていないのです。
今、学校教育では「生きる力」を育てることを大きな目標に掲げていますが、この生きる力こそが社会力と言えるかもしれません。では社会力を育てるにはどうしたらよいでしょうか。この本では、家庭や学校、地域の中で子どもと大人が互いに関わり合うことがとても大切だと説いています。仕事中心の生活から、子どもともっと関わる生活へライフスタイルを変えることがまず必要なのだと思いました。
今月は小田原市の市長選挙があります。地域のことを考え、私たちの社会力を磨くには格好のイベントではないでしょうか。
相談室からの風景-ファイル・5
乳児期前半の発達 -笑顔のために-
緊迫した一瞬、そして強烈なエネルギーの発散、安堵の空気。新しい生命の誕生に、父親やご家族の立ち会いも増えました。ヒトは、哺乳動物の中で唯一、産声をあげます。それは、誕生直後から、家族や社会の中で守り育てられることを前提として、この世に生まれるからです。
生後1か月ごろの新生児は、まだ一日中寝ているように見えます。何もできないと思われていましたが、新生児の研究が進み、実は、色、物体の動き、音の高さや調子、匂い、味、触覚など、あらゆる感覚において違いを知る力があることが分かってきました。快-不快の表現も徐々に分化し、授乳後の寝入りばなに、目を閉じたままにっこりすることがあります。「天使の微笑」とも呼ばれる、生理的微笑です。
生後3か月ごろには、首がすわり、仰向けで正面を見ることができます。このころになると人の顔を見てにっこりと笑うので、養育者の喜びはいっそう深まりますが、実は写真や人形など何を見ても笑う、普遍的微笑と呼ばれる微笑です。
生後4か月ごろには、例えば仰向けだけでなく、たて抱きにしても、よりエネルギッシュに活動が展開するようになり、視覚と聴覚、触覚など、各機能が連携をはじめます。音のする方を探して見つけ、まだ取れないが、見たものに手を伸ばします。目の輝きが深みを増し、じっと相手を見て、そして静かに笑うという、人に対する微笑の変化が見られます。
生後5か月ごろには、手で足を持って口に入れる、聞いた音の方を見ておもちゃを見つけ、5本の指を広げてつかむ、といった、なめらかな連係プレーができるようになります。体躯、手足につづき、さらに末端投射系である手指が、自分でコントロールできるようになるのです。この時期にはもう、何を見ても笑うのではなく、親しい人を見分けて、自分から笑いかけるようになり、これを社会的微笑と呼びます。乳児期前半は、自分で位置の移動ができず、主に寝た姿勢を基本として、胸の上で世界を取り入れていく時期です。窒息やSIDS(乳幼児突然死症候群)の危険から、寝てからのうつ伏せは避けつつも、目覚めているときには様々な姿勢で五感にはたらきかける、豊かな発達の世界を用意していきたいものです。
※ 「応用心理学辞典」丸善2006より改変
小倉
ヨコピーの子育て知恵袋
<チック>
チックにはいろいろなパターンの症状があります。まばたきをする、顔をしかめる、頭を振る、うなずく、肩や手足をピクッと動かすなどの動作を繰り返す運動チック、咳払いを繰り返す、思わず声を出す、その他同じ言葉を繰り返すという音声チックなど不規則に体の一部を繰り返し動かします。本人はわざとやっているのではなく、不安や心の重荷、緊張などがきっかけで起こるようです。感じやすい、傷つきやすいなどの性格にも関係あります。ほとんどが一時的な「くせ」のようなものですから、心配ありません。『ほらまた!』と注意したり、『止めなさい!』と叱ることは何の意味もありません。むしろ子どもが、ますます緊張して治りにくくなります。あまり長引いたり、症状が強くなってきたら、相談にいらして下さい。
自己紹介
事務 吉田美佐子
こんにちは。2月から新しくスタッフに加わった事務の吉田です。
生まれは東京ですが,育ちは九州で鹿児島、宮崎、福岡に住んでいました。
以前、小・中学校に勤務し、保健室で子ども達のケガの手当や身体の健康にかかわる仕事をしていました。
結婚し小田原にきてから、北ノ窪に住んでいます。夫と子ども(小1の女の子と小2の男の子の年子)と母の5人で暮らしています。下の子がこの4月に小学校へ入学し、2人で出かけていくとシーンとした家の中で「あ?年子って一緒に成長して,手が離れていくんだ?」とラクに感じる反面、ちょっぴり寂しさを感じるこの頃です。
毎日が勉強の日々で、慣れるまで時間がかかると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
おしらせ
1.ゴールデンウィーク - 休診のお知らせ
5月3日(土)から5月8日(木)まで休診となります。休診の間は、休日診療所をご利用ください。
2.看護学生実習
5月12日と13日 5月26日と27日
2週に分けて学生が参ります。皆様にも教えて頂くことがあると思います。ご協力お願いいたします。
編集後記
新緑の気持ち良い季節になりました。全ての生き物が生き生きとしている中、うちの猫も例外なく・・・。夜の散歩に連れたある日、のら猫を発見して私の腕を噛んで大脱走。飼い猫に手を噛まれるとは・・。共生力が必要のようです。