院内報
こあら通信 第12号 APR 1999
目次
・子どもは誰のもの?
・スタッフ紹介
・健診・予防接種チェック!
・ホ-ムケア・アドバイス
子どもは誰のもの?
あなたの子どもはあなたの子どもではない
彼らは人生の希望そのものの息子であり娘である
彼らはあなたを通じてくるがあなたからくるのではない
彼らはあなたとともにいるがあなたには属しない
あなたは彼らに愛情を与えてもいいが あなたの考えを与えてはならない
なんとなれば彼らは彼ら自身の考えをもっているからである
これはカーリール・ギブランというシリアの詩人の有名な詩の冒頭です。
子どもを育てていると、何とか親の思い通りに育ってほしい、こんなに苦労させられているのだから自分の思いどおりにならないのは許せない、と考えがちです。また逆に、可愛いあまり自分の所有物のように思ってしまうこともあります。
でも、子どもも一人の独立した人間なのです。自分の力では何もできない小さな赤ちゃんでも人間としての権利を持っていることを認めてあげなくてはなりません。親子としてここに存在していることは私たちの力だけによるものでありません。驚くべき偶然が積み重なって起こった出来事なのです。そこには超自然の力を感じずにはいられません。
そう考えると、子どもの行動や考え方がとても大切なものであることがわかってきますし、子育てに参加していることを感謝する気持ちが沸いてきます。子どもはけっして小さなおとなではありません。子どもをよく理解して、子どもにとって何が大事かをもう一度考えてみたいと思います。
スタッフ紹介
アレルギー外来担当
高橋由利子 先生
毎月2回アレルギー外来を担当させていただいています。以前より、外来中心にじっくり子どもたちと接していきたいと思っていましたので、理想的な小児科外来診療を実践されている横田先生と出会えたことに感謝しています。
生まれも育ちも小田原なので(ちなみに横田先生と同じ足柄小学校出身)、かつての同級生がお母さん・お父さんとなり、診察室でしばらくぶりに会うことがあります。大変気恥ずかしく、緊張します。
最近は、十数年ぶりにハンドルを握り、小田原近隣をドライブするのが、休日の楽しみです。
アレルギー外来は、時間を長めにとっていますので、ゆっくりとお話を伺うことができます。お困りのことがありましたら、一度相談にいらしてください。
健診・予防接種チェック!
健診・予防接種に来る前に「明日何を持っていけばよいのかしら?」とか、「鼻水とせきが出ているけれど注射打てるのかな?」など心配になることはありませんか。今回はその『心配』についてお答えします。
〈持ち物〉
●母子手帳
●8-9カ月(小田原)、10-11カ月(南足柄・足柄上郡)の公費負担の健診を予約した人は、健康診査票(必要事項を記入してきてください)
●保険証、診察券
〈体調について〉
●熱もなく多少の鼻水、せき、軟便程度は大丈夫。迷っている時は来院して診察を受けて判断してもらいましょう。もちろん相談もしてください。
〈注射を打てない場合〉
●当日熱が37.5度以上ある場合
●溶連菌感染症、突発性発疹、水痘などの感染症にかかってしまったら、治ってもすぐには打てないのでスタッフに相談してください。
《大事なお願い》
★健診を受ける方は、聞きたいことをメモしてください。
★ 予防接種を受ける方は、「予防接種と子どもの健康」を必ず読んできてください。
ホ-ムケア・アドバイス 『溶連菌感染症』
溶連菌感染症がどんな病気か御存知ですか?溶連菌感染症は溶血性連鎖球菌という細菌がのどに感染して起こります。 - 歳くらいの小児がかかりやすく、幼稚園や小学校で集団発生します。
【症状】
2-3日の潜伏期間の後、のどの痛み、発熱、体や手足に細かい発疹が出ます。小さな子どもは、吐いたり腹痛を訴えることもあります。また、3-4日すると舌がいちごのようにぶつぶつと目立ち(いちご舌)、口角が荒れるのも特徴です。のどの溶連菌を証明することで、正確な診断ができますが、現在は迅速診断キットで5分くらいでわかります。
治療を始めると2-3日で発疹や熱の症状は改善しますが、1-2週後に手指や手のひらの皮が薄く剥けてくることがあります。
【注意したい合併症】
回復して2-4週後に急性腎炎・リウマチ熱・アレルギー性紫斑病を起こすことがあります。発生率は多くはありませんが、腎炎などの早期発見のために、抗生剤を飲み終わって3-4日したら尿検査をしています。
【治療】
抗生剤がよく効く病気です。飲み始めて1-2日で症状はよくなりますが、途中で薬をやめると再発することが多いのが特徴です。指示通り最後まで飲むことが大切です。
【家庭で気をつけること】
・兄妹や両親に同じような症状が現れたときには、すぐに受診しのどの検査を受けましょう。
・のどの痛いときには、熱いものや辛いもの、すっぱいものは避けましょう。
・熱がなければ入浴してもかまいませんが、発疹があるときには温まるとかゆみが増すのでシャワー程度にしておきましょう。
・ 治っても十分な免疫ができないため何度もかかることがありますので注意しましょう。