院内報
こあら通信 第113号 2007 September
目次
・診療と研究
・ジオくんのお薬教室<ぜんそくの薬>
・ヨコピーの子育て知恵袋
・おすすめ絵本
・おしらせ
・編集後記
・こあらの絵
診療と研究
8月の終わりの週末、スタッフといっしょに恒例の日本外来小児科学会年次集会に参加してきました。
今年の開催地は熊本、想像どおりの暑さでしたが、転居した患者さんが学会場まで面会に来てくれたの
は嬉しいエピソードでした。
17回目を迎えた学会ですが、今年は研究の大切さ改めて感じた学会でした。研究というと、血液を採
ったり、いろいろな検査をして新しいことを見つけ出す、患者さんは実験の材料・・というようなことがすぐに頭に浮かぶかもしれませんが、実はそうではありません。
難しい病気の原因をみつけたり、治療方法を考え出したりするのも大切ですが、私たちのクリニックに
も分からないことはたくさんあります。熱が出ているときにお風呂に入ってよいの?、熱が高いときは解熱剤を使った方がよいの?、下痢止めのお薬は本当に効いているの?・・日常の診療の中にもわからない
ことはたくさんあるのです。
そしてよくわかっていないことについては、他の人から教わったことや、昔からの慣習で治療や説明を
することが少なくありません。しかも、一度身に付いたものを修正するのは容易ではないのです。でも、それはほんとうに正しいことでしょうか。
小児科医の仕事は子どもの健康を守ることです。自分の診療を反省し、子どものためになるよう勉強す
ることは小児科医の使命でもあります。これは医療だけではなく、おそらくどんな仕事にも共通していることではないでしょうか。
しかし、私たちが日常の診療の中で感じる問題は、正解がなかったり、人間の行動学や心理学など、
深く人間を洞察しないと答えがみつからないものが少なくありません。そのために新しい研究方法が開
発されつつあることも学会で感じ取りました。
たくさんの先輩達が研究してきたことをしっかり勉強することも大切ですが、わからないことを自分の手で解き明かそうとする意欲を持ち続けることが、医療に携わる人には欠かせないのだと思います。
ジオくんのお薬教室<ぜんそくの薬>
夏休みも終わって、新学期が始まりましたね。まだ残暑が厳しいですが、涼しくなると咳やぜんそくもひ
どくなりやすいですから、今回も引き続きぜんそくのお薬についてお勉強しましょう。
・ オノン、キプレス、シングレア
ぜんそくの大きな原因の1つにロイコトリエンという物質があります。体の中にホコリ・ダニ・カビなどのアレルギーをおこす物質が入ると、ロイコトリエンは空気の通り道に炎症をおこしたり、狭くしたり、刺激に過敏にしたりします。それが元で咳が出て、息が苦しくなりぜんそく発作になるのです。
オノン、キプレス、シングレアはロイコトリエンが悪さをしないようにブロックする薬です。(商品名は違いますがいずれも同じ薬です)発作をおこりにくくしてくれます。そのため年単位で服用することもありますが、副作用はほとんどなく安心して続けられます。症状の軽いお子さんには単独で、重いお子さんには他のお薬と一緒にと、幅広く効果があります。
ただし効いているか実感できるまで、時間のかかることもありますので、数日飲ませて効かないからや
めるのではなく、有効かどうか医師とお話してください。
・ ホクナリンテープ
ぜんそく以外で苦しそうな咳をしているお子さんにも処方されますが、長時間にわたり気管支を広げる
効果のある薬です。テープという名前のとおり肌に貼って使用し、形は四角いばんそうこうのようになっていて真ん中に薬がついています。薬の成分は肌から吸収され、気管支に届き効果を発揮します。
一日に一枚貼ることで飲んだり、吸入したりする必要がなく、一日中安定した効果が期待できます。胸
、上腕、背中どこに貼ってもかまいませんが、お子さんの場合はいたずらしないように、手の届かない背
中が良いでしょう。ばんそうこうなどに比べて貼りつきが悪いので、貼ったあと上から指でよく押さえてください。汗や水分が残っていても貼りつきが弱くなってしまうので、お風呂上りにはよく水分をふき取ってから貼ってください。
また、何度も同じところへ繰り返し貼っていると、かぶれの原因になってしまうことがあるので、毎日場所をずらして貼りかえるようにしてください。
まれに手足のふるえや心臓のドキドキがでることがありますが、使用を中止すればおさまりますので、
医師・薬剤師に連絡してください。
喘息の薬には、いろいろな種類がありますね。来月も、喘息のお薬についてお話しますね。では、今
回はこの辺で終わりますワン!
ヨコピーの子育て知恵袋
<あかちゃんは薄着?厚着?>
暑かった夏も終わり、秋になりますね。季節の変わり目に診察を受けに来る子供達にも、厚着の子と薄
着の子がでてきます。子供の服装には個人差があり、重ね着をして来る子がいるかと思えば、夏物のT
シャツ姿の子もいます。厚着・薄着の習慣は生活習慣によっても違いますし、われわれの体が感じる温
度は、温度計で測定される温度だけで決まるものではなく、風速や湿度などの温度以外の環境条件に
も左右されます。それでは、あかちゃんは薄着の方が良いのでしょうか、それとも厚着の方がよいのでし
ょうか?
基本的に大人よりも暑がりなので、1ヶ月未満の新生児を除いて乳児から幼児までは、室内屋外にか
かわらず大人と同じか一枚少なめの薄着を目安にすればよいでしょう。ただし、あかちゃんにおいては、
体温調節が未熟なため、気温の変化が激しい季節の変わり目には特に様子に目を配ってあげる必要が
あります。
おすすめの絵本(おはなしたんぽぽ)
「がちょうのペチューニア」
ロジャー・デュボアザン 作 まつおか きょうこ 訳 冨山房
がちょうのペチューニアは、野原で本を見つけました。そして、パンプキンさんがビルに、「本を持ち、これに親しむものは、かしこくなる」と言っていたことを思い出しました。それから、ペチューニアは、この本を持ち歩き、得意になって次々と友だちの悩みや心配ごとにアドバイスをしてあげるのですが、どれも見当はずれで皆を困らせてしまいます。
白いがちょうがすましている表紙を開くと、ユーモアたっぷりの絵とお話が広がります。いろいろな年齢の読者が楽しめる一冊です。
おしらせ
インフルエンザ予防接種の予約を開始します。インターネット予約(Web予約Station)では9月1日から、受付での予約は、9月3日からお受けします。接種は10月から始めます。(小学生までは2回、中学生以上は1回接種、費用は1回3000円です。)ご予約は、日程、予約状況が確認できるインターネット予約をご利用ください。(携帯でもご利用いただけます。また、予約カードをおもちでない方も「新患予約」でご利用いただけます。)
受付での予約は、状況によってはお待たせすることがありますので、ご了承ください。
編集後記
暑かった夏もようやく終ろうとしています。9月からはインフルエンザ予防接種の予約が始まります。パソコン・携帯でインターネット予約を利用して予約をとるようにご協力をお願いいたします。幼稚園、学校が始まってしばらくすると体調を崩す方が多くなってきます。体調には気をつけましょう。