院内報
こあら通信 第111号 2007 July
目次
・感情を育てる
・ジオくんのお薬教室
・ヨコピーの子育て知恵袋
・おすすめ絵本
・編集後記
・こあらの絵
感情を育てる
梅雨らしくない天気のまま、夏休みも目前に近づいています。
仙台で「怒りをコントロールできない子ども」というテーマで講演を聴く機会がありました。ずっと良い子で育ってきた子が、あるとき突然切れてしま い、暴力を振るったり、学校へ行かなくなったりする。このことの意味を教えられ、自分の子育ても改めて反省し、皆さんにも少し考えていただければと思いました。
誰にでも「楽しい、うれしい」という感情とともに、「恐い、悲しい、怒っている」という感情がありますね。こうした子どもの感情について、「うれしい」というようなポジティブな感情に対して親は喜び、ほめてあげます。しかし、ネガティブな感情に対して皆さんはどうしているでしょうか。
子どものこのネガティブな感情に対して、叱り過ぎたり、うろたえたりしていると、子どもはこの感情をじょうずに表現できなくなって、心の中に未解決のままため込んでしまうというのです。
そして、あるとき一気にそれが爆発し大きな問題となってしまう。講師の心理学の先生は、ネガティブな感情も小さい頃から大事にすることが必要なのだと説いています。子どもが恐がったり怒ったときに、思いっきり泣かせて自由に感情を表現させることで、子どもはネガティブな感情を、安全な形で心の中にしまうことができるようになるのです。それによって相反する感情の統制が取れるようになり、情緒が安定してくるのだと説明されましたが、「なる
ほど」と私には思えました。
「良い子」をかわいがることは誰にでもできますが、大人からみて「悪い子」のときにこそ、しっかり関わることが大切なのですね。もちろんしつけも大事ですが、年齢にあった適切なしつけは堅持し、ネガティブな感情を持った子どもを、じょうずに抱きしめてあげましょう。
年齢不相応にいつも良い子でいるのはある意味で心配なことです。ネガティブな感情はあって当たり前・・良いところも悪いところも、すべて自分の子どもとして大切にしてあげてほしいと思います。
ジオくんのお薬教室
皆さんこんにちは!ジオくんのお薬教室です。薬の説明のときに抗生物質ってよく耳にしますよね。「でもいったい抗生物質ってなんだろう?」と 思ったことありませんか?ということで今回は、少しくわしくお話します。
抗生物質とは、微生物によって作られる化学物質で、感染症の原因となる他の微生物に対して効いて、増えるのを抑えたり死滅させる物質です。最近は、化学的に合成された物質も抗生物質と呼んでいます(抗菌薬と呼ぶこともあります)。
抗生物質には非常に多くの種類があり、その代表的なものに、ペニシリン系、セフェム系、マクロライド系、テトラサイクリン系等があります。現在、抗生物質は多くの感染症の治療に用いられているので、これらの名前は、どこかで一度ぐらい耳にされたことがあるのではないでしょうか。細 菌性の肺炎や気管支炎、溶連菌感染症、中耳炎など感染症の治療に用いられます。熱を下げたり、ウィルスを直接やっつけることはありません。抗生物質を含む抗菌剤は、細菌が増えるのに必要な、体の中のいろいろな代謝経路に効くことで細菌のみを倒す(人体への害はそれに比べはる かに小さい)化学物質です。アルコール、ポビドンヨードなどのように、単に化学的な作用で細菌を死滅させる殺菌剤、消毒薬とは区別されます。
【服用上の注意事項】
大きな効果をもたらす抗生物質も、服用方法が不適切であれば、十分な効果が得られないばかりか、耐性菌(抗生物質が効かなくなる微生物)の 発現、感染巣(微生物が感染している部位)の拡大や副作用の発現などにつながる可能性があります。
抗生物質の服用に関しては、以下の事項に十分注意して下さい。
1)服用後、短期間で症状が軽減したとしても、服用を中止することにより再発することがあります。自己判断で中止することなく、医師の指示通りの期間、服用を継続することが大切です。
2)皮膚に発疹が現れたり、腹痛・下痢が続くような場合には、服用を見合わせて受診してください。
ということで、抗生物質を必要以上に怖がったり、軽く見たりせず、先生の指示通り正しく使いましょうね。
次回で、お薬教室も10回目となるけど、お薬のことがだいぶわかってきたかな。来月もたのしみにしていてね。暑いけれど、これから散歩に行って きますねワン!
ヨコピーの子育て知恵袋
<人見知り>
生後7ヶ月頃になり赤ちゃんの智恵が発達してくると、いつもそばにいるママや家族と他の人との違いがわかってきます。ママや、パパなどの身近 な人の顔を見ると、にっこり笑ったり、「アー」とか「ウー」などと、うれしそうな声を上げますが、見慣れない人が来ると、じーっと見つめたり、何となく 表情がかたくなったり、泣き出したりすることがあります。これが人見知りの始まりです。人見知りが激しくなると、それまで平気で抱かれていた人でも 嫌がってママにしがみついたり、離れて住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんに会うと大声で泣き出したりします。でも、このようにママへの強い愛情を示すのは、赤ちゃんの心に情緒が発達してきた証拠でもあり、また、周囲の人へ関心が広がってきたということです。人見知りの程度はいろいろですが、ほとんどの赤ちゃんが通過する成長の一過程なのです。
おすすめの絵本(おはなしたんぽぽ)
「だいくとおにろく」
松井直 再話 赤羽末吉 画 福音館書店
村人に橋かけを頼まれた大工が、流れる水を見つめて困っていると、流れの中からぶっくり鬼が現れて「おまえの目だまをよこせば、橋を架けてやってもええぞ」。さてそれからどうなるのでしょう。
大工と鬼のとぼけたかけあいが面白い昔話です。おなはしの雰囲気をよくつかんだ力強い絵本で、ぜひ日本の昔話を親子で楽しんでください。
編集後記
麻しんのワクチンが足りないと騒いでいたら、急に日本脳炎のワクチンが全く入手できなくなってしまいました。最近、接種を希望する方が増えていたので、対応に追われています。それはさておき、いよいよ夏の到来ですね。今年の夏は暑くなりそうだとか。元気で夏休みを迎えることができるよう、体調を崩さないように気をつけてください。