院内報
こあら通信 第108号 2007 April
目次
・治療法をどう選ぶか
・ジオくんのお薬教室
・ヨコピーの子育て知恵袋
・おすすめの絵本
・編集後記
・こあらの絵
治療法をどう選ぶか
4月になり、入園入学を控えた子どもたちは期待に胸を弾ませていることでしょう。インフルエンザがまだ衰えずに流行を続けていますが、体調を壊さずに順調なスタートを切ってほしいと願っています。
3月はタミフルの問題でいろいろと考えさせられました。インフルエンザの時に起こる異常行動が、タミフルによるものかもしれない・・ということがわかってきて、インフルエンザへの対応がずいぶん変わってきたからです。
最近10年の間に、インフルエンザの診断が迅速キットで確実にできるようになり、タミフルを初めとするいわゆる特効薬が使えるようになりました。
インフルエンザはカゼじゃない、というキャンペーンのもと、ワクチンの接種が勧められ、早期診断早期治療が大切だと言われるようになりました。確かに老人はインフルエンザをきっかけにした肺炎などで亡くなる方がたくさんいることが分かっています。また、乳幼児ではインフルエンザ脳症で亡くなる方が毎年かならずいます。しかし、それ以外の年齢の人たちにとってインフルエンザは怖いものなのでしょうか。
世界のタミフルの相当数を日本で消費しているという事実からみても私たちは何か考え違いをしているのではないかと感じます。マスコミもインフルエンザ脳症について必要以上に報道しタミフルの使用を扇動しておきながら、今度の対応です。
新しい技術や情報を手にしたとき私たちは喜んですぐに飛びついてしまいますが、その前に少し立ち止まって考えてみることも必要です。インフルエンザは基本的には自然に治る病気です。重症になりやすい人にタミフルを使うことは誰も反対しないでしょう。数日後に受験を控えた人はどうですか。家族に老人がいる人にはどうしましょう。保育園に通う子どもならどうでしょうか。
医療は杓子定規にはできません。正しい情報を持ち、自分が何を求めているか、何が一番大事なのかをしっかり自覚して、医療従事者と相談しながら行動を決めてゆかなくてはならないだろうと思います。
ジオくんのお薬教室
皆さんこんにちは!薬は、処方された日数分をそのときにきちんと使用し、もし残れば、廃棄した方が良いのですが、小さいお子さんがいる家庭では夜間や休日などに急に症状が出た場合に備えたり、”お守り”代わりに解熱薬などを保管していることがあると思います。今月は薬の保管方法についてお話します。
特に水で希釈したものは長期保存ができません。保存期間は冷蔵庫に入れて2週間程度です。飲み残したら廃棄しましょう。また、お子さんが一気飲みしないよう手の届かないところに保管しましょう。
◆散剤◆
湿気が入ると成分が変質する可能性があります。湿気が入らないようにお菓子の乾燥剤などと一緒にユニパック・缶・薬箱などに入れるようにしてください。
冷蔵庫に保存すると、冷蔵庫内と室温の差があるため薬を冷蔵庫から出したとき、かえって湿気てしまうことがありますのでやめましょう。
◆坐剤◆
冷蔵庫での保管が必要なものがほとんどです。ただし、制吐剤ナウゼリン坐薬は室温です。未開封で約1年保管可能です。気温の高い時期には坐薬は溶けやすくなります。一度、溶けてしまった坐薬は使わないでください。
◆軟膏◆
チューブの軟膏は使用期限が書いてありますが、使用期限は未使用状態の期限です。開封後、しばらく経ったもの、先が固まって変色しているようなものは使用しないでください。チューブの口部分や、軟膏容器の縁から軟膏があふれて汚れていれば、きれいにふき取って保管し
ます。
◆点眼剤◆
開封後、まれに1ヶ月保存可能なオゼックス点眼液などもありますが、開封後の有効期限はだいたい1週間程度です。添付の遮光袋に入れ、室温または必要なものは冷蔵庫で保管します。しかし、小児の場合は、うまくさせずに点眼剤の先から雑菌が入る可能性が高いので治療が終わった後は廃棄しましょう。
◎年齢や体重の変化により、効果が十分に発揮できる用量ではないこともあります。医師・薬剤師に相談してから使用しましょう。
◎また、薬局でお渡ししている薬剤情報書(薬の説明書)・薬袋・一般薬に付く添付文書なども一緒に保管することをお勧めします。薬袋に効果や使用する目的を保護者自身がわかりやすく記入しておくのも良いですね。
◎また、薬を車の中においておくことにも注意しましょう。真夏の車の中は50℃以上になります。
なるほど、何でも冷蔵庫に入れておけばよいということではないのですね。来月は、どんなことをお話ししようかな?お楽しみにね、ワン!
ヨコピーの子育て知恵袋
<なくて七癖>
人間は誰でも、歩き方、話し方、ご飯の食べ方、眠るときの姿勢などに特徴があり、固有の癖を持っているのが普通です。赤ちゃんの指しゃぶり、夜泣き、幼児の歯ぎしり、性器いじり、吃音など「神経性習癖」という言葉でまとめられるこれらの癖は、しばしば両親の心配の種になっています。幼児期後半から学齢期にかけて、目立って増えてくる癖に「爪かみ」があります。爪の代わりに、鉛筆や消しゴムなどをかんでぼろぼろにしてしまう子どももあります。素質的に神経質な子どもに現れやすく、不安感や、緊張感を反映する習癖と考えられていますが、中には指しゃぶりと同様に単なる「所在なさ」の表現と考えられるものも含まれているようです。その場合には何か子どもの好む遊びを探して興味をそらすと効果があります。また、比較的年齢の高い子どもで神経質傾向が目立つようなときは、育児態度や生活環境に注意し、子どもの緊張をほぐすように努力することが必要です。
おすすめの絵本(紹介:おはなしたんぽぽ)
『うちがいっけんあったとさ』 岩波書店
R. クラウス 文 M.センダック 絵
わたなべ しげお 訳
”ちんとんしゃん”ではじまり、とてもリズミカルで大人も子どもも 思わずにっこりしてしまう楽しい絵本です。なんだかハチャメチャなのに、 とても愉快で、ちょっと羨ましい感じ。
色数はとても少なく、すっきりした線で描かれていて、それがセンダック の絵の力強さをひきたてています。とにかく、声にだして読んでみてください。理屈なんか抜きで体当たりで楽しむことをおすすめします。
編集後記
2月と3月が入れ替わったような気候でしたが、桜の花も咲きようやく春らしくなってきました。4月から入園、入学された方。おめでとうございます。新しい環境に慣れるまで緊張して体調を崩しがちです。お子さんの様子に注意しましょう。こあら通信100号記念誌を発売中です。受付に声をかけてください。