横田小児科医院

院内報

こあら通信 第139号 November 2009

目次

・娘が生まれた日
・新型インフルエンザワクチンについて
・ヨコピーの子ども講座
・ホームケア
・編集後記

娘が生まれた日

 朝夕はだいぶ冷え込むようになり秋も深まってきました。学会の仕事で急に出かけることになり、小児科医4年目になった長女に初めてクリニックの診察を頼むことにしました。ドキドキした気分でしたが、その娘が11月に結婚します。

 結婚して間もなく家内は妊娠し、結婚1周年を迎える前に娘は我が家にやってきました。娘が生まれた日のことを思い出そうと、古い手帳を見直してみましたが、前日の3月30日に「当直」と書いてある以外、「長女誕生」くらい書いてあるかと思った31日の欄は真っ白。これはしまったと思い、当時のことを思い出してみることにしました。

 長女が生まれた1982年は東京の大学病院に勤務しており、悪性腫瘍の患者さんの診療や、当時始まった骨髄移植の勉強会に忙しい毎日でした。予定日を過ぎ、早生まれではなくなってしまうかも…と思っていた時です。当直が明け、朝の仕事を始めようとしていると小田原の父から医局へ電話がかかってきました。「俊一郎、落ち着いて聞くんだよ。」と妙に慌てた第一声だったのを今でもはっきりと思い出します。要は破水したら羊水が濁っていて、臍帯が首に巻いて胎児仮死の状態になっているので、緊急で帝王切開をしなければならないということでした。お隣の小杉先生にお願いしていましたので、今でもお世話になっている小田原のお医者さん方に集まっていただき、父が赤ちゃんを担当するという体制で準備が進められ、私はただお任せするしかありませんでした。

 携帯もポケベルもない時代でしたから、経過もよくわからないまま私は仕事を引き継いで小田原へ向かいました。かなりの雨が降っている中、大学から地下鉄の駅まで傘をさしながら走ったのを思い出します。走りながら母子共に元気でいてほしいと心から思ったものです。これが子どもへの願いの原点かもしれません。

 相模沼田の駅に着いたとき、雨がすっかり上がって青空が顔を出し、急に暖かくなったこともあって、駅前にあった大きな桜が満開でした。無事に生まれたに違いないと確信して病院へ向かったのはついこの間のようです。娘が幸せに過ごし、命が繋がっていってほしいと願います。

新型インフルエンザワクチンについて

 10月から医療従事者を皮切りに新型インフルエンザワクチンの接種が始まりました。今までの経験からもお分かりのように、インフルエンザワクチンを接種してもインフルエンザにかかることはあります。ワクチンを接種する本当の目的は死亡者や重症者を減らすことにあるのです。ですから、妊婦や基礎疾患を持っている方など、インフルエンザにかかると重症化しやすいと考えられている方から接種が始まります。スケジュールの目安は以下のとおりです(神奈川県のホームページ:10月20日現在の予定)。

10月・・・・医療従事者
11月中旬・・妊婦、基礎疾患を有する方
12月後半・・小児(1歳?小学校3年生)
1月前半・・1歳未満児の保護者
1月後半・・小学校4年生?高校生
1月後半・・高齢者(65歳以上)

接種回数:小学生以下は2回です。中学生以上はまだはっきりしません。季節型インフルエンザワクチンとは別に接種が必要です。

接種料金:国で決められた統一価格です。

 1回目 3600円、2回目2550円
 初回を他医療機関で接種し2回目を別な医療機関で受けるときは、2回目も3600円。自費ですが、生活保護を受けている方などは減免措置があります。

基礎疾患を有する方とは:

 小児科領域の慢性疾患があり、小児慢性特定疾患受給者証を持っている方、特定疾患対策事業の対象疾患受給者証持っている方は最優先となります。気管支喘息と診断されている方で次の方も優先的に接種できます。
1)継続して喘息の治療を受けている
2)喘息の経過観察のため定期的に受診し
  ている
3)5年以内に喘息で1年以上定期的に治
  療を受けた

副作用:まだ詳しいデータがありませんが、国産のワクチンは今までの季節性ワクチンと大きな変化はないだろうと予想されています。

接種場所:国の指定医療機関でのみ接種できます。当院で接種できるものと考えていますが、まだ正式な通達はありません。当院にかかりつけの方のみの接種を行う予定にしています。ワクチンの入荷量も全く連絡されていませんが、混雑を防ぐため基礎疾患を有する方から登録を開始します。

    「予約登録について」     
 基礎疾患、年齢などにより、登録開始日がことなります。

①11月6日から・・基礎疾患(主に喘息) 
②11月20日から・1歳から就学前
③12月4日から・・小学校1年から3年
④12月中旬予定・・・小学校4年生以降

 この予約登録は、ワクチンを希望する方を確認するものです。ワクチン接種ができるという予約登録ではありません。予約はワクチンの入荷次第こちらからご連絡いたします。

 登録方法はインターネット予約の「空き待ちメール」を使用します。(手順についてはHP参照)自宅にパソコンがない、携帯を持っていない、どうしてもできない方は、受付までご連絡下さい。また、予約カードをお持ちでない方は登録番号を作るのでご連絡下さい。

ヨコピーの『こども講座』

「ケガの応急手当」

 切り傷は、刃物でなく紙や植物の葉でも切れます。出血の程度にもよりますが、傷口をきれいなガーゼ、布などで直接押さえて止血します。大きく深い傷だと縫うこともあり、深い傷でも傷口が小さければ、テープで止めるだけでふさがることがあります。力が入ったり、よく動かす部分だと傷が治りにくいので、小さくても縫うこともあります。いつまでも出血が止まらない場合は、外科を受診しましょう。

 すり傷は、汚れがあれば洗い流し、傷が乾かないように保護します。市販されているハイドロコロイド素材のテープを使用すると、傷が早くきれいに治ります。出血がひどい場合は、止血を先にします。

 また傷が大きかったり、打撲をともない、皮下出血や痛みがある時は、きれいなガーゼや布でおおい、冷やしましょう。

ホームケア 「胃腸炎」

 晩秋から春先(11月?3月頃)まで、ノロウイルスやロタウイルスを代表とする嘔吐下痢症が流行してきます。この症状は突然やってきます。慌てないための、少し早めのアドバイスです。

 胃腸炎には、半日?1日の嘔吐のあと、ついで水様性下痢が1?3日続く、発熱はあっても1日程度の、俗に「おなかのかぜ」といわれるものや、高熱が出て白っぽい下痢便が続くロタウイルスによるものがあります。

 ロタウイルスによる「白色便性下痢症」「乳児嘔吐下痢症」は、突然のはげしい嘔吐で始まり、発熱をともないます。やがて米のとぎ汁のような水溶性の白っぽい下痢をするようになります。1日に十数回出ることもありますが、熱と嘔吐は1?2日で治り、下痢は2?3日後に黄色っぽくなり、5?7日後に普通の便に戻ります。急な嘔吐や下痢で、脱水症状を起こしやすいので、尿が極端に減ったり唇が乾いたりしてぐったりするようなら早めに受診しましょう。

 嘔吐の強い場合は、絶食して水分を少量ずつ(一口ずつか、ティースプーンなどを使って)与えます。下痢がひどい時期には、ミルクの量を減らしたり、乳幼児用のイオン飲料や野菜スープ、麦茶、みそ汁のうわずみなどをあたえましょう。下痢がおさまってきたら、おかゆやうどん、パンの柔らかいところなど、消化の良いものを与えましょう。

編集後記

新型インフルエンザが流行してきました。連日学級閉鎖の情報が入ってきます。診察は別室で行っているため、混乱のないよう案内していきたいと思います。ご協力お願いいたします。今月から新型インフルエンザワクチンの予約登録を開始します。お待たせいたしました。
来年には乳幼児の肺炎球菌ワクチン、子宮頸癌のワクチンも発売予定です。外国ではロタウイルスに対するワクチンもあります。ワクチンの種類だけでなく、他にもまだまだ準備が必要です。

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