横田小児科医院

院内報

こあら通信 第127号 November 2008

目次

・久しぶりの出会い
・相談室からの風景-ファイル・11
・外来小児科学会報告 後編
・ヨコピーの知恵袋-尿路感染症と包茎
・お知らせ
・編集後記

久しぶりの出会い

 急に空気が乾いてきました。小児科の外来は忙しい季節を迎えます。カゼや喘息の患者さんが増えると同時にインフルエンザの予防接種が始まるからです。夕方からの接種も多くなり、スタッフもたいへんなのですが、楽しみもあります。それは久しぶりに会う患者さんが増えることです。

 小児科の外来は小学校に入るまでの小さなお子さんが中心です。月に10回くらい受診していた患者さんも、小学校に入るとパタッと来なくなります。これは体がじょうぶになるからだけではなく、ちょっとした病気ならお母さんの判断で乗りきることができるようになるからです。また内科を受診するようになる方が増えてくるのも理由の一つです。

 久しぶりに出会うお子さんは急に背が伸びていたり、大人っぽい態度になっていたりしてうれしいものです。自分自身はあまり変わらないのに、時代はどんどん進んでいることを感じます。

 小児科の外来にはいろいろな病気のお子さんが来るわけですが、私たちは病気だけに関心があって医療を続けているのではありません。クリニックに通うお子さんがどのように成長し、どんな親になるのだろうかと考えていますし、家族がどのように暮らしているのかということにも興味を持っています。

 二世代、三世代でクリニックを利用してくださる家族をみていると、心配性のお母さんに育てられたお子さんは、親になるとやはり心配性であったりします。小さい頃の子育てが子どもに及ぼす影響についても、時間が経つにつれてだんだんわかるような気にもなってきます。病気や健康に関する考え方が世代を超えて受け継がれてゆくのはとても面白いことですし、家族全体をサポートすることが子どもの健康につながることもよくわかってきました。

 インフルエンザ予防接種の機会に年に一度でも顔を見られるのはうれしいことです。心配なことやうれしいことがあったら、ぜひお話を聞かせていただきたいと思っています。

相談室からの風景ーファイル・11
6歳児の飛翔

いよいよ5歳~6歳になると、2次元の世界から3次元の世界に入ります。「大-小」だけでなく「中くらい」「真ん中」が分かります。空間認知では、縦と横の組み合わせだけでなく、「ナナメ」も自分のものとして使えるようになり、三角スカートの女の子や、遠足で登った山の絵が描けます。また、地面と空が登場し、天・地・人の構成ができます。水彩では、青と赤を混ぜてあじさいの「紫」を作るなど、中間色を使いこなします。

 時空間でも、「過去」と「未来」の間に「現在」が位置づき、「赤ちゃんの時」「大きくなった時」「今」の自分をかき分けます。「昨日」「今日」「明日」が分かり、カレンダーの「おいもほり」の予定を心待ちにします。時系列の理解は、ストーリー性のあるお話を理解することでもあり、結末に至るまでのプロセスが分かります。季節ごとの行事や活動の積み重ねを実感し、「夏のお泊り」「秋の運動会」「クリスマス会」「生活発表会」など、仲間とともにやり遂げてきた年長さんの一年間が、卒園に向けての気持ちを盛り上げていきます。
また、ルールを理解することで集団遊びの質が変わり、お当番活動もこなせます。価値判断では、「デキル-デキナイ」「○-×」の世界を脱し、中間項ができることで、「今は休憩中」「ちょっとだけ好き」「ここならやってもいい」「○○くんいつも乱暴だけど、やさしい時もある」と、自己評価も他者評価もより柔軟になることで、ずいぶんと人間関係が楽になります。「前向き」「後ろ向き」「横向き」を描いてもらう「3方向人物画」という課題がありますが、5歳児はほぼ、「後ろ向き」の絵が描けますし、6歳児は「横向き」もなんとかとらえようとします。3次元空間の中で軸を回転させて、別の視点から見た自分が描ける、ということは、「他者の視点を理解する」ことにつながり、年少児のクラスでお手伝いもできますし、障害を持った仲間へのまなざしも豊かに、こまやかになります。

 「文字」への興味は個人差がありますが、3次元の認識の中で「全体」と「部分」の関係が分かることは、「りんご」という言葉が「り」と「ん」と「ご」からなることの発見でもあり、「りんご」の「ご」と「ゴリラ」の「ご」が同じだ、ということの発見でもあります。これがしりとり遊びや言葉遊びを可能にしていきます。数字も、ただ10まで数えられるだけでなく、系列の中でプラス1、マイナス1の関係を理解し、操作できるようになります。これらが、就学後の文字や算数の学習の基礎を用意していきます。

 理解可能になることと、本格的な学習の開始は必ずしも一致しません。学びたがっている子どもに教えることはかまいませんが、たいてい自分であっという間に覚えてしまいます。逆に、まだ興味のない子どもに無理やり学ばせることは、「お勉強」そのものを嫌いにさせてしまいかねず、その後の学習への意欲や態度を大きく損ねてしまう可能性があります。「伝えたい」心躍る体験と、「伝えたい」相手、そして「伝わった」喜びを大事に、「学ぶ」ことの楽しさを守ってあげてくださいね。

(小倉)

外来小児科学会報告 - 後編

「乳児健診を考える」
地域によって、健診の特色や抱えている問題があることを知りました。また、母親の接し方が子の発達に影響を与えている現状を知り、健診の意義・指導の必要性を感じました。
「外来でできる母乳支援」
卒乳をテーマにした話し合いでは、母の気持ち・子の気持ちを大事にしてそれぞれに合った卒乳の支援をしていく大切さを学びました。
(吉澤)

「コメディカルスタッフができる事故防止活動」
子どもの誤飲事故についての報告がありました。事故を防ぐためには、周りの大人が、ペットボトルの蓋のような身近な物でさえも事故につながるということを知る事、そしてそれをいつも心に留めておく事が大切です。そのために出来る事は、私達スタッフにもまだまだたくさんありそうです。       (小笠原)

「クリニックにおける育児支援のありかたについて」等
今年は、医院で発表もさせて頂き、とても実り多い学会でした。
(伊藤)

ヨコピーの『こども講座』
「尿路感染症と包茎」

 尿路感染症は尿が作られてから排尿するまでの経路で、腎炎、尿管、膀胱、尿道のどこかに炎症を起こしていることをいいます。風邪症状がないのに、38度以上の高熱が出たり、排尿後に痛みを感じ、尿の回数が増えたり、残尿感などの症状があります。乳幼児では、顔色が悪く、不機嫌、食欲がない、嘔吐などの症状もみられます。診断には、尿の検査が必要です。症状がある場合には、診察前に尿を採ることもありますのでスタッフに声をかけてください。また、乳幼児期の男児の場合、オチンチンの先が皮で被われているため、白い垢が溜まりやすく、炎症をおこしやすくなります。乳幼児は皮をめくってオチンチンの先を出し、石鹸で洗ってあげましょう。しかし、うまくむけない時は無理をしないように。全くむけない時は、真性包茎が疑われますので、気になったときは相談して下さいね。

お知らせ

受付の吉田さんが小学校に勤務することになり、退職されました。今後の更なるご活躍を期待しております。ありがとうございました。

編集後記

秋のお福分けを頂きました。まるまるに太ったさつま芋です。園児達が楽しんで育てたのだろうなと想像して、おいしく頂きました。そういえば、今年は当医院の屋上にゴーヤとスイカを植えました。ゴーヤは幾つか実をつけ、スイカも一つ実をつけました。食べるより、グリーンカーテンを目的に植えたのですが、思うように葉が増えずに終わりました。自宅でもエンダイブを幾つか育てましたが、これもまた難しく・・・確かに愛情は足りなかった・・・・・・・
最近の報道を聞くにつれ、おいしい実りを育ててくれた方達へ感謝する今日この頃です。

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