横田小児科医院

院内報

こあら通信 第119号 2008 March

目次

・セロトニン神経を鍛える
・相談室からの風景-ファイル・3
・ヨコピーの子育て知恵袋<食物アレルギー>
・お知らせ
・スタッフ紹介
・編集後記

セロトニン神経を鍛える

 まだ寒い日が続いていますが、梅の花も咲いて春が近いことを感じます。毎年2月に日本医師会が母子保健講習会という講習会を開催していて、今年も出席してきました。今回印象に残った「セロトニン神経」についてお知らせしようと思います。

 ヒトは眠っているときにはメラトニンという脳から放出されるホルモンが体を休ませていて、逆に起きているときにはセロトニンをいう脳内の伝達物質が心の安定を調整しています。このセロトニンが欠乏している子どもが多いというお話です。

 セロトニンが関係する神経は、脳幹部という最も発生学的に古い脳の部分にあって、脳全体に神経刺激を送って覚醒、痛みの抑制、心の状態の安定などに関係しています。セロトニン神経が弱るとうつ病、パニック障害、摂食障害、慢性疲労症候群などの心身の異常が起こることがわかっています。子どもたちに起こっている軽いうつ状態(やる気のなさ)やキレやすい状態も、おそらくはセロトニンの欠乏に関係しているのではないかということなのです。

 では、セロトニンを増やすためにはどうしたらよいのでしょうか。セロトニン神経を活性化する要因として、呼吸、歩行、咀嚼などのリズム運動と太陽の光を浴びることの2つが大切であることがわかっています。座禅や読経、ウォーキングやジョギング、よく噛んでご飯を食べること、外遊びなどがセロトニン神経を鍛えることになるのです。

 逆にパソコンやゲームにはまって家の中ばかりで生活し、昼夜が逆転するような生活をしているとセロトニン神経は弱って、いろいろな問題が起こってくるというわけです。

 また、おんぶや抱っこでスキンシップをとりながら、トントンとリズミカルに子どもに刺激を与えると、セロトニン神経を活性化することもわかってきたそうです。

 私は天気が悪い日が続くと気持ちが滅入ってくるのですが、この理由もセロトニンで説明できるかもしれません。セロトニンは食べものでは増やせないのだそうで、健康的な生活習慣を保つしか方法はありません。「早起き・早寝・朝ご飯・テレビを消して外遊び」にも、しっかりとした科学的な裏付けがあるのです。

相談室からの風景 -ファイル・3

 第1回、2回と、相談室の内容を、簡単にご紹介しました。第3回目となる今回からは、「相談室」からは少し離れ、相談員の小倉が担当して、発達心理学の道すじについて、少しずつお話していきたいとおもいます。

 お母さん、お父さんが日々、子どもたちと向き合い、生活していく中で、子どもたちは、身長・体重など体の成長ももちろんですが、どんどん「できるようになったこと」「わかるようになったこと」を増やしていきます。それは、赤ちゃんが小さければ小さいほど、毎日ものすごいスピードで変化していくので、子どもとの生活は、毎日が新しい発見に満ちた冒険の連続です。

 それは、なだらかな坂を上るような道のりではなく、しばらく壁にぶち当たっているような時期のあと、ふっとその壁を乗り越えていくように見える、階段状の、ダイナミックな道のりです。

 しかも、彼ら・彼女たちは、自分ひとりで何かができるようになったり分かるようになったりするだけでなく、例えば、(笑顔)や(ジェスチャー)、(話ことば)や(文字)といった、コミュニケーション手段を獲得していきながら、他者をかかわり合うことで、その人なり個性を磨き、かけがえのない人格を形成していきます。

 私が大学で発達心理学を学んだ、田中昌人・田中杉恵の両氏は、京都大学の心理学チームとの共同研究で、滋賀県大津市の乳幼児健診での膨大なデータや、「びわこ学園」における障害を持った子どもたちの発達を詳細に検討し、また国内外の発達心理学研究や理論も取り入れながら、独自の発達理論をつくりあげておられました。言葉は難しいのですが、本当に子どもたちのいきいきしとした姿を的確にとらえる視点、あくまでも子どもの人格を尊重する、ヒューマニズムに満ちた優しさ、子どもたちの発達を保証していくために、まわり道をいとわず、周囲を乗り越えていこうとする姿勢に、多くのことを学んだ、本当に貴重な数年間でした。

 私達も、たくさんの子どもたちと出会う中で、相談の中で彼らが見せてくれる姿に心から感動しつつ、その努力と笑顔に応えたい、と思いながら仕事をしています。子どもたちの力ってすごい!その感動を、少しでも分かち合うことができれば、との思いをこめて、できるだけ難しい言葉は使わないで、お話ができればと思っています。

小倉

ヨコピーの子育て知恵袋<食物アレルギー>

 離乳食の心配事の一つとして食物アレルギーがありますね! 離乳食の食物アレルギーの代表的選手は、卵・牛乳・小麦です。乳幼児は、大人に比べて胃腸などの消化機能が発達していないため、タンパク質がうまくアミノ酸に分解されず体内に入ってしまい、それを体に有害な異物として認識して攻撃するとアレルギー反応が現れることがあります。一般的な症状として一番多いのは発疹で、重くなるとアナキラフィーを起こします。治療薬としては、抗ヒスタミン薬、ステロイドなどの薬が使われます。乳幼児期のアレルギーは、6才頃までには70?80%の割合で良くなるといわれていますが、果物やそば、魚介類などは比較的治りにくいといわれています。また、普段食べて大丈夫な物でも体調が悪い時に食べてアレルギー反応が出る場合があります。心配な時は、医師と相談してみましょう。

 まだ食べたこともないのに、アレルギーが心配だから血液検査をしてほしいという方が少なくありません。しかし、血液検査では本当にアレルギー反応が起こるかどうかはわかりまん。少しの量に火を通して、あるいは加工食品として食べさせて反応を見るしか方法はないのです。まずは病院の開いている時間帯に、慎重に食べさせてみてください。

おしらせ

1.アレルギー外来しばらくお休みします。
 
 アレルギーの診察をご希望の方は、一般診察と同じ診療時間になります。詳細は受付までお問い合わせください。

2.4月から小学校入学のお子さんへ。
 
 4月から入学のお子さんは、MR(麻しん風疹)予防接種を3月31日まで公費(無料)で接種できます。まだ接種していない方はお早めに!

スタッフ紹介

 吉田事務長の後任の小笠原安子です。

 出身は茨城で、結婚、出産、育児中は、横浜・福岡・東京を転々としていました。今は、北ノ窪に住んでいます。医院では「じむちょー!」などと呼ばれておりますが、私自身4才の男の子のママでもあります。慣れない職場で失敗の連続。「ふーっ」とため息をつきたくなる時もあり・・。  

 でもそんな時は息子の「ママがんばって!」の笑顔の一言が、他のどんな栄養剤を飲むよりも、私を元気にしてくれます。直接子どもたちの病気と向き合えるのは医師・看護師ですが、私も、不安な気持ちで来院した皆さんに安心して帰って頂けるようお手伝いがしたい、といつも思っています。診察室で聞き忘れたことがありましたら、遠慮なく受付スタッフにお尋ねください。

 私もまだまだ新米ですが、子ども達とパパ・ママ達に少しでも笑顔と元気が戻るようにがんばります。よろしくお願いします。

編集後記

昨年のこあら通信に、「今のところインフルエンザの流行がないに等しい」と書いてありました。今年もインフルエンザの流行はないに等しい状態です。これは暖冬のせいばかりではなく、予防接種のおかげかも!? その代わりに花粉が3倍だそうです。朝、山にうっすらと黄色い靄が立ち昇ってくると、一句詠むどころかため息が?・・。卒業シーズンですが、別の涙が出てしまいそうですね。 卒業・卒園の皆様、おめでとうございます。

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